剣より経済を回している感じが似合っているっ!!
魔法を使いたい、そんな男の夢……なのかは個人の考えで夢と言って良いか謎なのだが俺個人の夢であることは確かなのだ。
決して剣の腕を鍛えて護衛任務をする、そんな冒険のぼの字もない糞下らないことはしたくないのだ。まぁ、今のご時世剣士を雇う、近距離の役職を雇うくらいなら魔法職を雇って遠距離で安全に殲滅した方が圧倒的に有利な立場でいられるのだ。
自分から敵の懐に飛び込んで喉元を斬るって、そんな大昔な事はしないのだ。戦いの話になる時点で根本的な話はあんまし変わってないのだが皆、効率的って言葉が大好きなのだ。
「って、事でその魔法が使えるようになるかもしれないって言われてる精石とやらを採取しにいこうぜ」
「話が変わりすぎて追い付けないんだけど……って、それより精石の相場って見たことある? ちなみにだけど」
「相場って……この数日いなかったのってそのせいなのか? 金だけ渡しやがって……俺は小遣いもらっているサラリーマンじゃないんだぞ。てか、俺がそんな相場とか確認する奴に見えるか?」
「世のサラリーマンを完全に馬鹿にしているわよね……まぁ、確認とかしないよね。私が見た時には粉みたいな精石が確か……グラムで数百万とかじゃなかったっけ?」
「完全に薬物じゃん……その分効果が高いとか?」
「いや、聞いた話だと気分が良くなったり、少し弱い人だと幻覚を見たりする人もいるって言ってたけど……完全に薬物よね……」
俺が想像していたのは物語に出てくる魔法使いみたいに杖の先っちょに精石を取り付け、自身の魔力を高める的な石を想像していたんだけど……シャーネの話を聞く感じ完全に薬物っぽい感じなのだ。流石に粉を入手に数百万を使う度胸も手段もない。
「知っていると思うけど精石は魔力馬で……あー、何日だっけ? 確か数ヵ月とかそんな掛けて行った所の国にあるらしいな。完全に聞いた話だけど」
「何日からの月は流石に振り幅が大きすぎるわよ……」
ちなみに魔力馬とは魔力を流して稼働させる全自動な馬の事なのだ。完全に疲れを知らない非生物なのだが何故か見た目が馬の形をしている。もっと、良い形があると思うんだけどなぁ。
そんな魔力馬は一時間もあれば数十キロ程は移動できるらしいのだがそれを使っても数ヶ月。休憩をいれると……多分、一年は下らないと思う。計算できない俺を信じるべからず。
「……ミーアが欲しいって言うなら私は別に良いけどさ」
少し、頬を赤く染めてボソボソと言うシャーネだったのだが俺のゴットイヤーはそれを聞き逃さなかった。
「いや、普通に考えて一年掛かりそうな旅は精神的にキツいでしょ。流石に引きこもりぎみなお前を連れ出すってのはなぁ……俺、そんな趣味ないですし」
「インドア派って言ってよ……別に一切外に出なかった訳じゃないでしょ……」
「その殆んどがお菓子を求めて俺ん家に来るときだけどな。そんなお前がついてくるとは思わなかったけどな。そんなに俺のことが好きなのか……」
「引っこ抜くわよ」
「……よし、今日は何をしましょうかねシャーネさんっ!」
リアルに引っこ抜かれかねないのですぐに立ち上がって依頼を受けるため掲示板を求めて移動する。冗談が冗談に聞こえないのよあの子……。
貼られている依頼をずらーっと見てみるがどれもこれもピンと第六感を刺激する依頼はなかった。もっと分かりやすく言うと初心者である俺達に合う依頼が一つもなかったのだ。
「辛うじて悪鬼の討伐はやれなくもないかもだけど……」
「何で依頼の紙が真っ赤に染め上がっているのかが謎ね……謎って言うより怪奇ね。ほら、お化け屋敷みたいな感じじゃない?」
「何がほら、なんだよ……一切ほら要素出てないけどな……。今日は休むかまだ金はあるんだろ?」
そう言って俺は腰につけてある袋を取りだし中身を確認する。六千G位あるのを確認した。
樹齢ウン百年程の樹木と言っても過言ではない見ているだけで震え上がりそうな杖(白い手が何本か張り付いている)を壁に立て掛けいつのまにか買って着込んでいる魔法使いの装備一式、ローブの中から袋を取りだし確認し始めた。
確認し、確認し、もう一度確認し、何か満足いったのかふぅ、と息を吐き袋を逆さまにした。そこから出てきたのは食べ終わった串と何かを包んでいたと思われる葉っぱが出てきた。
「ごみ袋って線は?」
「……無いです」
「いや、え、お、お前……」
「だって、分かるじゃん! こんなにかっこいい装備見つけたら買っちゃうの分かるじゃん! この杖だって呪われている感じが出ていて格好いいし私が着ているローブなんて魔法少女って感じがするじゃん! それに、貯金するより使った方が経済が回って潤って良い感じになるじゃん! なるんだよ……」
「逆によく、それでお金足りたなって思うけどな……」
金遣いが悪いのは前々から分かっていたし、一目でこんな装備をしていて金は大丈夫なのか? と、思ったのだが流石に今後の生活費を使い果たすことはしないだろうと思っていたんだけどなぁ。
「効果」
「え、」
「いや、装備の効果だよ。ほら、魔力が四十%アップとかあるじゃん」
「魅力的……とか?」
「持っている杖で帳消しだな……今後は俺が管理するから……今日は何とか行けるし明日何とかしよう」
「ミーアが優しくて逆に何か辛い……」
「まぁ、今度は俺の剣を買うしその時までお前を頼るからな」
飽きれ半分、魅力半分でまぁ、ペット的な考えでいくとセーフかなと考えた所存であります。実際、こいつの……何だっけ呪詛? そんな感じの奴は強力だし頼りにしているってのは本当のところだしな。
今後は絶対にシャーネに大金を持たせないと誓った俺であった。