剣より依頼が似合っているっ!! 【編集番】
編集しました。多分また変えるかもしれません
編集日、3月29日
冒険者とは言わば採っても生えてくる雑草のようなものである。
その理由の一つとしては冒険者になるのには簡単な手続きだけで良いってのがある。
名前の登録さえ済んでしまえば後は誰を殺そうが殺していようがオールオッケーな無法地帯へと変化するのだ。一度つついたら永遠と出てくる蟻の巣の如く。だが、驚異は蟻などではなく猛獣の勢いで迫ってくるため国家権力もそう易々と手を出せない。その為、犯罪者や奴隷落ちした者、そして現在進行形で奴隷な者が集って登録してくる。依頼を一定数受けていれば冒険者としての肩書きを剥奪される訳じゃないので良い雲隠れになるのだ。
冒険者ギルドとしては依頼の掲示料として依頼主から金をもぎ取り、失敗したときの契約金の請求を軽減してくれる保険を受注主に請求し、成功した場合にはその報酬の数%を紹介料としてもぎもぎしてもぎ取れる。犯罪者の雲隠れになったとしても十分元以上に利益が出る簡単なものである。
諸々の金が払えなくなったらこれまでしてきた悪行を取り締まる騎士に叩き付け、その報酬としてまたお金を貰う。冒険者ギルドが動くところには必ず金が動くとも言われている。
これまで一気に消化したがそんな理由があってか身寄りのない幼子から死期を悟った老人まで幅広く取り揃えているのだ。もう、犯罪者集団って認識で良いじゃん。正にその通りである。
構成員の過半数が前科持ち、とある意味珍しい組織の扉を今、開ける。
内装は想像していた以上に清潔感溢れるものだった。
白く、光を反射する白石は全二階を誇る冒険者ギルドの床に所狭しと敷き詰められ、倒壊を防ぐ柱も同様に滑らかな白石によって作られていた。そして次に目を引くのは冒険者ギルドをぐるりと一周するようにして飾られた垂れ幕には何とも幾何学的な模様が施されていた。そしてそんな内装を壊すようにガヤガヤとした冒険者の声が二階から聞こえてくる。
圧巻し、少し押される印象があったのだが感じることはそれだけでそれ以上は無かった。
何事もなかったかのように入って正面に見える受け付けに足を進める。三つほど場所があるが一番真ん中に佇むお兄さんの元へ向かう。これは別に本能的に男の元へ向かう習性がある訳じゃなく、そしてお兄さんから魅力的なフェロモンを出している訳でもない。自分で言って何だが両方昆虫じゃないか。
おはようございます、登録ですかね? と、恐らくマニュアル通りな問いが出される。それに応じるようにして頷き、流れるように手続きを進む。
名前を記入しろと紙を差し出され、個人情報と当ギルド内で発行するギルドカードを一緒にしますか? と、聞かれ良く分からなかったので否定しておいた。お兄さんいわくそれをすればギルドカードで個人を証明できるので便利ですよ。と、言っていたのだが…それだと身元を空かしたくない人にとって意味ないんじゃない? と、考えながらまた否定した。
その後のに軽いやり取りをして、鈍い光を放つ銅製の板を二つ手渡された。そこにはミーアのシャーネの文字がそれぞれ彫られていた。
「ほぇ~すげぇ…」
「こんな短時間で彫れるんだ…うわぁ、凄い」
「その為の雑談ですので…時間を取って申し訳ございませんが今日は依頼とか受けていきますか? 初心者には此方とかがオススメですけど…」
差し出された紙の束をパラパラと捲る。そこには薬草採集や逃げ出した馬の回収等パッと見ても簡単そうな内容の依頼が書かれていた。ふむふむ…報酬も結構高いのがあるけど…やっぱ、最初は薬草採取かな? そんな風に思い、軽くページをめくり丁度良い依頼を見付けたのだが今の今まで黙っていたシャーネが何か紙を持って来た。黙ってたんじゃなくてここに居なかったのね。
どれどれ内容は…
「『繁殖期に入った母龍の討伐。』…返してきなさい」
「えぇー!? ちゃんと狩れるって約束するから!」
「良いから、うちは狩れないの。大人しくゴブリン討伐とかなら分からなくもないけどさ…」
「ど、ドラゴンの討伐は色々と制限があるので受けれないんです。すいません…」
「え、あ、はい」
リアルに受注しようと考えていると思われたたの? 流石に心外っていうか初心者を舐めてないですかね? そこら辺の常識は腐ってないので持っている筈なんだけど。ほら、シャーネも呆気に取られて簡素な返事しか出来ていないじゃないか。いや、それを理解しろって方が酷か。
そんなこんなで薬草採集を受注する事に決まった。俺とシャーネのペットを飼おうとする親子あるあるのギャグは理解されなかったのかスルーされていた。それにあやかって俺らも無かったことにしたので元々無かったことになった。これが社会なのだよ…全く違うし、片鱗も理解できないのだが…そう言うものなのだ。最近口癖に成りつつあるのが最近の悩みだな。今日一日だけの悩みだけどな。多分寝たら忘れる。