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2本の尾  作者: ジャニス・ミカ・ビートフェルト
第二部 夏休み編
97/100

出迎え

  凄く背の高い女性だった。

 勿論、ジャニスさんのような規格外って感じじゃないけど175は超えてる。

こちらは珠ちゃんの170センチが最高だから、さらに凄く大きく感じる。

 見た目はスレンダーだけど弱弱しくなく筋肉は引き締まった感じ…胸は無いよ…仲間だね。


 そしてすごく足が長い…でも猫のような柔らかさを持った歩き方で

 その長い脚を大股で先生まで一直線に向かってくる。


 年齢は…30はいかないお姉さん?おばさんて感じじゃない。

 整った顔だけど少し潮風や陽の光の強さで少し肌は痛んではいるけど…

 

 「 おかえり!愛ちゃん。」


 少し低い声だけど明るい感じの声と共に先生に抱き着いた。

 結構勢いよく

 156センチの先生にぶつかった様な気がしたけど先生はびくりとも動かなかった。

 凄い体幹。


 「 ただいま!姐さんが出迎えなんてびっくりしたよ。

   それから…船で俊彦と一緒に横断幕あげてくれて…泣きそうになったよ 」


 (声を上げて相手から見えないように屈んで泣いたくせに)


 とその声を聴いて

 瞳は思ったけど満面の笑みを浮かべて女性の肩をトントンと叩いている愛の姿に

 まあしょうがないかと思った。

 島から離れて10年以上経つそうだし帰りたくても帰りずらい状態だったって聞いてるしと。


 「 お久しぶりね…にしきさん。」


 先生の後ろから少し隠れて瑞希さんがちょこんと頭を下げた。

 顔は少し青ざめてるような気がする。


 「 ? 」


 にしきと呼ばれたその人は少し頭をかしげて記憶の糸を手繰って

 思いついたかのように瑞希さんを指さした。


 「 な…あんた…瑞希か? 」


 「 はい…卒業以来だから忘れちゃったかもしれないけど。」


 瑞希さんが驚く相手の視線から目を地面に落とした。


 「 は?忘れる訳ないやん…昔と比べるとあんまりにも印象が違ってなあ。

   昔は…まあ、あんな事ありゃあしょうがないか… 」


 瑞希さんが少し唇を噛むのが少し離れた私にも分かった。


 すっかり暗くなったので天井の照明でコンクリートの床に影が出来る。

 にしきって人の少し重く息を吐いて一瞬辛そうな顔をしたけど直ぐに笑顔に変わった。


 「 まあ10年は昔の事やし気にするなって。

   あれから、いろいろあって最後には梅ちゃんも海人も一緒になったしなぁ… 」


 その言葉に瑞希さんが急に顔を上げる…目に涙が滲んでるような気がする。


 「 そかあ…よかったやんか。 」


 先生が大きくため息をついた。


 「 やから気にすんなってば。うちは瑞希も歓迎するってば。

   帰るんなら帰るって言ってくれれば方々に声かけて友達集めてやったのに 」


 「 な…なんや。うちの場合ははなだけって事か? 」


 先生が不満そうに口を尖らせると、相手は苦笑いを浮かべる。


 「 まあ…愛の場合はさ…不味いんだよね。

   北村君…じゃねえわ和夫君と沙紀の事もあってみんな渚の家に遠慮してるし

   帰ってきたって沙紀が知ったらおめでたの体にも障るしね。 」


 「 は? 沙紀ちゃんっておめでたなの? 」


 瑞希さんが驚いて声を上げる。


 「 まあ…知らんかったんかぁ。

   冬に帰ってきたんだよ…和夫の子供を… 」


 はっとして彼女は手を口にやり先生の顔をさっと見るけど先生は相変わらず笑顔のまま。

 瑞希さんは垂れ目の目がどうしてそこまで丸くなるって感じで先生を見る。


 「 終わったことやん…気にしない気にしない。」


 「 でも…愛ちゃん それって 」


 瑞希さんが真っ青な顔になると言葉を飲み込んだ。


 「 もう気にしてないってばさ。

   それより瑞希は今日どこに泊まるの?この島には瑞希の身寄りもいないしね。 」


 「 そこらへんは樹先生に…えっと、”海風”って旅館に部屋を取ってもらってんだ。

   別に寮のあった”星屑”って言ったんだけど… 」


 「 へえ…樹先生ねえ…ホント何も知ってないんだなぁ南島の事 」


 「 うちも知らんけど…何かあったんか?樹先生。」


  私たちを置いてけぼりに3人で話が盛り上がっているところで、

 ナディアさんが3人に声をかけてくれた。


 「 積もる話はあるでしょうけど、もう迎えが来るみたいなんで

   そちらで皆お話したら?


   偶然でしょうけど私たちも瑞希さんと同じ旅館に泊まるみたいだし 」


 事情を知らない私たちには重い荷物を足元に置いてぼっとしているだけなんで

 いい話のタイミングで声をかけてくれたと思った。

 とりあえず長旅で疲れてるし、何はともあれお風呂には入りたいもん。

 猫は水は苦手って言われてるけど

 人間の”みけ”は昔からお風呂大好きなんだよね…現実逃避かもしれないけどさ。

 


  

  島の中はもうすっかり夜のとばりが降りてまばらな街路灯に

 シャッターが下りた商店街に、静かな住宅街が広がっていた。

 まあ、商店街って言っても小さな商店が軒を連ねて、赤ちょうちんのお店に

 ”みゆき”って書いた紫色の電飾が光るいかに持ってスナック

 

 駐車場に出てみる島の風景は凄い田舎って感じ?

 山奥の方とは言ってもショッピングセンターやホームセンターもちゃんとあった

 (結構バス乗るけど)

 田舎から出た私達でもそんな風に感じている中、


 駐車場に結構って言うか凄くくたびれたマイクロバスが入ってくる。

 バスの横腹にはちょっと文字の一部がはげた看板


 ”愛知県指定旅館 海風館 ”と書かれてあった…いやあこれ乗るの?ぼろい

 


 んで、私たちの前に車が停まるとそこから綺麗な女の人が降りてくる。


 にしきさんがにやにや笑ってはいたけど、

 先生と瑞希さんは凄くびっくりした顔になった。



「 そん…なんで”みどり”が? 」



 

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