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2本の尾  作者: ジャニス・ミカ・ビートフェルト
第一部 ”みけ”
88/100

森ノ宮スポーツ店にて その4

  「 う~ん、将来かけてるって結婚とか意識するの?16なのに? 」

 西宮智彦は翔子のその言葉に首を捻った。

 

 結婚なんて今時30前後じゃんか何を焦る必要なんかあるんだろう?

 僕だって”みけ”の事は好きだけどそんな先の事までは考えたことも無いや。

 

 「 高校出て18で~私、22までには子供作りたいんだよね。

  男の人は40でも50でも子供作れるけど女性ってそう言う訳に行かないし、

  子供だって若いお母さんって嬉しいと思うし 」


 「 は~ 」


 そういや、底辺高校(失礼!)の女子って結婚早いんだよねえ…考え方がヤンキーだよ。

 

 「 夢はいいけど子供育てるのって大変だし、若い時には自由って欲しいじゃん。

   しっかり勉強して社会人としてちゃんとやっていける土台作って… 」


 その言葉に翔子はコロコロと笑う。


 「 智彦君ってそれって先生や結婚の遅い人が言う言葉みたいだよ。

   生き物としては若くて健康なうちに子供作るのが普通だし、子育てだって体力勝負で

   若い方がいいって言うじゃない。

   

   私さ、こんなちっこい体だし出産だって年を取るたび危険になるし… 」


 その言葉に智彦ははっとした。

 超小柄で40キロも体重が無い女の子にしてみれば出産なんて命がけなのは間違いない。

 翔子の考えていることは至極まっとうな考えだと思った。


 「 30までにって考えてたら普通の人なら大丈夫だろうけど私はね無理だよ。

   それに一緒になってもいいかなって人って初めて出会ったんだし… 」


 「 …それって、16で相手決めるってことじゃないかよ 」


 「 いけない? 私みたいにチビで頭が軽くて顔も大したことも無い子が好きな人がいるなら

   早い方がいいのよ。

   それに、今は高校生で守られてるけど卒業したら変な奴に何されるか分かんないじゃん。

   結婚までは新品のままで居たいし…智彦君だってそうでしょ? 」


 智彦はすぐに返事できなかった。


 別に好きになった相手に処女性はあまり求めはしないけど、

 自分に出会うまでにちゃんと貞操を守っていてくれる女性のほうがいい事だとは思う。

 夜に寝床につくたび”みけ”を抱いている夢を見る普通の男としては虫のいい話ではあるが…


 「 まあそうだね…しかし、木田さんって真面目なんだね 」


 「 まあ、頭は悪いけどね。 」


 翔子は智彦に向かって声を上げて笑った。


 智彦は翔子を見ながら、こんな小さくても結構芯は強いのだなと思った。



 「 それより、似合う水着って中々ないんですよね…これだけあるのに 」


 その言葉を聞いて、智彦がすっと後ろのハンガーラックから水着を取り出した。


 「 本当はさ、木田さん自体が選んだものの中からって思ったけど似合う水着はこれかなって

   抑えてはいたんだよ。」


 白いタンクトップには花のプリント、フリルのピンクのミニスカート。

 肩と腰に同じ色のリボンフラワーがアクセントになっていた。



 「 へえ、素敵だね…流石だよね 」


 「 ま…まあね 」


 翔子はその服を手に持つと少し見上げるような仕草で智彦の周りを歩き出す。


 「 しかしさ、瞳にするか”みけ”にするかぐらいはちゃんと決めてよね。

   あんまり迷ってると両方逃がしちゃうわよ 」


 「 両方逃がすのは嫌だなぁ…はは 」


 「 逃がしたからと言って珠ちゃんに…手を出しちゃだめだよ私の友達なんだから 」


 「 出すかよ…それに熊田君に夢中なんだろあの子って 」


 「 そうよ…いつか二人で同じ日に結婚式上げるつもりだしね

   んじゃあ着替えてくるわ、覗かないでね 」


 翔子は智彦の方を見て少し笑って試着室へと向かった。


 「 すぐそこにお友達の”狂乱”がいるのにするかよ… 」


 智彦は幼いんだか大人なんだかよく分からない翔子に苦笑いした




 「 そこで見つけたからこれもどうかと思って 」


 白い麦藁帽を斜めに被って指で両端を抑えて翔子が智彦にお披露目した。

 身長差が大きいので

 見下ろす位置に翔子は立っていたけど、その姿はさっきより大きな感じがした。


 へえ…


 少し細すぎるけど、骨の感じはあまりなく緩やかに脂肪が乗って女子らしい体の線と

 強調しない胸や腰が逆に色っぽく感じるほど体の長さの比率が相当に見栄えした。


 顔の方は…まあ、仕方ないけど、それでも愛嬌のある顔で不快感は全くなく

 笑顔で自分を見ている顔は魅力的には見えた。


 迷うよね…


 16歳の智彦は小さく声にならないほどの音量で呟いた。




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