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2本の尾  作者: ジャニス・ミカ・ビートフェルト
第一部 ”みけ”
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〆のポタージュご飯

  窓の外のオレンジの光が入り込む、遠くに見える高校のある丘は燃えるように赤い

 外には出たくない暑さだが…

 時刻は6時半…7月ももうすぐのこの時期はあと1時間ほどで日の入りとなる。

 

 そんな夕日を背負って”みけ”が残しておいたポタージュを温め直して居間へと入って来る。


「 おいおい、まだ食うのかよ? 」


 瞳が呆れた様に呟いた。

 一人頭 小さめのコロッケ3つ メンチカツにエビフライの重い揚げ物

 ペンネがたっぷり入ったボリュームのあるサラダ…その上、スープにライス

 運動部の馬鹿高校生じゃあるまいし、いくら美味しいとはいえ腹がはち切れそうだった。


「 んとね、〆よ〆。作ってる時から楽しみにしてたから… 」


 瞳はふと、”みけ”の場所を見る…少し残っているけど


 大きめの深皿を置いて、その残しておいたエビフライを2尾入れてペンネの残りを入れ、

 そこに暖かご飯を入れてポタージュをスープレードルで流し込み…


「 おいおい、太るって 」


 瞳の言葉を無視して更にバターを2切れ上に乗せ…

 じゅるじゅるとポタージュに溶け込んでいく。

 クリームシチューにご飯ならギリギリ許せる日本人でも恐ろしい組み合わせ。

 瞳はその超高カロリーの不思議な物体に目を見開いた。


「 大丈夫、大丈夫…いくら食べても太らないから、うちの妹はさ 」


「 嘘…、超羨ましい 」


 胸もお尻も大きめなので、お腹が出ると悲惨になるからと食べ物は控えめ

 小学校の時には”健康だね~”って近所の小母さんに言われていた悪夢が蘇る。


「 なんで、太らないんだよ…ガリガリじゃん”みけ”って 」


「 胸が無いって事かな…無いけど。でも、結構ぷにぷにだよ 」


 そう言いながら両の頬を指で押すとポンポンと頬が揺れる。


「 それはそれは…若いっていいわね。 

  作ってる時から、ちょっと多めかなって思ってたけど…凄い食欲だわ。


  あのね、その頬は若さの弾力で太ってるわけじゃないから… 」


 早苗は、ほっそりとしてバネのありそうな”みけ”の脚を見てため息を漏らす。


「 しかし、なんていう食べ方なん? 猫かよ… 」


 翔子が呆れている隣で珠美が手を上げる。


「 なあ、まだ残ってるかい?私も欲しいんだけど 」


「 あんたもまだ食べるんかい! 」


 ”みけ”と違って机の上の皿は舐めるぐらい綺麗に食べている珠美に驚く。


「 ポタージュとご飯ぐらいしか…バターはまだあるけど 」


「 いいよいいよ、俺のエビもやるよ 」

 苦笑いしながら琥太郎が自分の皿を出す。

 超巨体のジャニスが思いのほか小食なので、その分余分に食べていたので

 全く手を付けていないエビが3匹乗っていた。


「 んなら…私もコロッケ上げるわ。最近胸が重くて 」

 ”健康”という言葉が頭に浮かんで瞳も皿を出すが、

 洗濯板1号、2号の”みけ”と翔子の顔は少しひきつった。


「 大丈夫?これ…ものすごいカロリーだし。それにあれだけ食べたし

  油油してるからお腹にもたれるわよ 」


 早苗が心配そうに珠美に尋ねる。


「 大丈夫、バイトの賄で豚汁ご飯にチーズ入れて食べるから変わらないだろうし

  あたいも食べても太らないんだよねぇ 」


 170近い長身で筋肉質でスリムな珠美を見て”みけ”を除いた女性陣は

 ため息と、豚汁ご飯にチーズが乗っかる絵面を思い浮かべて胸がむかむかしてくる。


「 それに、こういう料理は大好きなんだよね。えっと… 」


 そう言って、木製のサラダボールを中央から取り上げる。

 中には追加用の葉野菜がまだ残っているがお構いなしに貰ったエビとコロッケを入れる。


「 ご飯は…茶碗2杯ぐらいでいいか 」


 と呟いたところで、これまた”みけ”以外の全員が頭を抱えた。




「 う~ん、もうお腹いっぱいかな~ 」


 満足そうにそう言って空の容器を片付け始める”みけ”と、

 凄まじい量が入っていたサラダボールを全て平らげてコーラで口直ししている珠美を見て

 その場にいる全員が胃が重くなった。


「 お腹もいっぱいになったことだし…これでお開きにしましょうか? 」


 ジャニスの言葉に、実は足腰が重く感じるほど”みけ”達に引っ張られて食べていた全員が

 立ち上がれない事に気が付いて


「 立てませ~ん 」と翔子が笑いながら万歳をして、


「 運転が…もう少し後でもいいかなぁ 」

 冷静だと思っていた早苗の言葉に全員が頷いて帰りの出発は1時間後となった。


「 じゃあ、それまでさっきの話の続きでもするか… 」


 と、省吾が声をかけると、

 立てないって言っていた翔子が瞬間移動のような速さで直ぐ目の前に飛んでくる。

 

「 じゃあ、私たちも 」


 と、ジャニスが琥太郎の背に覆いかぶさって話をし始め。


「 さっき、友達って言ってたけど…あれはどういう 」


 と、剛一郎が珠美に近づいて話し出す。

 

「 う… 」


 コーラの炭酸でゲップが出そうになるのを必死にこらえて顔を赤くするが、

 標的を変えた翔子は一瞥するだけでそれ以上は干渉はしなかった。



「 お泊りかぁ…パンツどうしよう? 」

 鼻歌交じりに一人だけ洗い物をしだした”みけ”は脳天気にそんな事を考えていた。



 そして、一時間後には早苗が例のワンボックスで皆を連れて出ていった。



 






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