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2本の尾  作者: ジャニス・ミカ・ビートフェルト
第一部 ”みけ”
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当たり前の高校なのか…

  「 みけは高校の事はあまり話さないけど、実際のとこどうなのかなって?

  ほら、て…私立の高校って僕には経験ないし。」


 底辺って言いかけて省吾は反省したが、そんな機微を感じるほど翔子は繊細ではない。


 「 う~ん、入る前のイメージってのが酷かったですねぇ。

  凄まじい馬鹿しか集まらない底辺の高校だし、

  通っても苦手なヤンキーとケバいエロ姉ちゃんばっかと思ってました 」


 通ってる本人は底辺って事は特に気にしていないなと省吾は思った。

 なにせ全て過去形の話し方だからだ。


 「 ほら、特にあの人とか…一緒に入学って知ったときには怖くて泣きましたもん 」


 翔子が小さく指さした方を省吾はチラッと見る。


 「 珠美ちゃん?ちょっとスカート丈は短いけど普通じゃないの?

   さっきだってちゃんと挨拶も出来ていたし… 」


 特に違和感はなかったと省吾は思った。

 多少、制服は着崩しているし、年上に話す話し方としては稚拙な感じはしたけど

 はっきりいって、自分や琥太郎が通っていた進学校の女でもそんなもんだった。


 「 ”狂乱”って聞いたことあります? 」


 「 ああ、地元で暴れまわって警察に何度もお世話になってるって聞いた不良の事だろ?

   僕が高校の時には有名な中学生だったなぁ 」


 詳しいことは知らないが、県外にもその名を轟かす悪名高い不良だった。

 暫く前からプッツリ話を聞かなくなったが、

 暴走族を一人で潰したとか、やくざ者にスカウトされてぶん殴ったとかいう…

 かなり眉唾ではあったけどそこまで尾ひれがつくほどの不良という認識はあった。


 「 で、その”狂乱”ってのが中村さん。

   今では、ちょっと怖いって雰囲気だけ…170近くあるからってだけだけど 」


 「 は?”狂乱”って女の子だったの? 」


 「 ええそうですよ驚きました? 

   うちの高校ってのは確かに頭の程度はアレな高校だけど、

   どんな不良でも、変な子でもあんな風に普通の子に近い感じまでにはするんですよ。


   私だって、身の回りの事も満足にできない愚図で馬鹿で自信損失のせいで無口でした。

   中学のあだ名はナメクジって言われて虐めの標的だったけど、

   ちゃんと話せるようになったし、それなりに高校生に見えるようにはしてくれました  」


 「 えっと… 」


  省吾は珠美が”狂乱”と呼ばれた不良とはどうしても思えなかったし、

  更に目の前の翔子は、

  美人では決してないが愛想の良さそうでちゃんとした受け答えをしている。

  とても”ナメクジ”って呼ばれ虐められていたとは思えなかった。


 「 言葉でいうより見た目で判断したらどうですか?

   ”みけ”もしっかりしてるし、荒れた様子もないでしょ?そんな高校です 」


 「 そ、そうなのかい? 」


 どんな魔法だよ…と省吾は思った。

 学校の成績とか、体力なんかは比較的に割と簡単に良くすることが出来る。

 努力すればできるからだ。


 しかし、問題のある子を真面にするとか虐めなどの難しい問題を解決するのには

 明確な答えが無いからだ。

 ”みけ”の場合は妹ながらも容姿は端麗だし、

 頭を除けば受け答えは拙いけど好意の持てるほうだから心配はしてなかったけど…と

 妹には大甘の省吾はそう思った。

 

 「 勉強は今でも苦手だけど…昔よりはちょっと分かる様になったかな。

  分からないとちゃんと先生が教えてくれるもん。

  昔なんか先生に捨てられたような存在だったんですようちの生徒って。


  部活は強制参加ですけど、

  中学みたいに顧問の先生に見捨てられるってのはまず無いし、

  たまに先生が親睦って名目で食事会なんか開いてくれて、

  中学の時には一切出来なかった友達も出来るようになったんですよ。

  といっても、

  みんな馬鹿だから差別も少ないんですけどね 」


 何だそれ…当たり前の事してるだけかと思ったが、

 その当たり前の事が難しいのは省吾はよく分かっていた。

  







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