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2本の尾  作者: ジャニス・ミカ・ビートフェルト
第一部 ”みけ”
30/100

剛ちゃんのお姉さん

  「 初めまして、剛一郎の姉の熊田 早苗です。 」


  高校の駐車場で剛ちゃんのお姉さんと初めて会った。

 剛ちゃんに女性的な丸みと物腰が柔らかい感じを足せば出来上がりって感じの

 物凄い美人さんで、一目で剛ちゃんのお姉さんと分かる容姿だった。


 「 あ、木田 翔子です。いつも剛一郎君にはお世話になっています! 」


 一番最初にカワウソの様な素早い動きで頭を下げて木田ちゃんが挨拶し、


 「 初めまして、剛ちゃんの友達の中村 珠美です! 」


 負けじと、木田ちゃんを横目に中村さんが早苗さんと握手…


 あれ、いつの間に友達?しかもお姉さんに向かってちゃん付けって…

 で、木田ちゃんが握手している中村さんを物凄い目で見ている。



 「 堪んないよね…剛ちゃん 」


 と、何気に小声で瞳が剛ちゃんに声をかける。


 「 はは、僕って中村さんの友達だったんだ…悪い気はしないけど 」


 剛ちゃんが更に小声で言ったのを、

 中村さんが気持ち悪いぐらい可愛い笑顔でこちらを向き、

 木田ちゃんが目を丸くして驚いていた…大した意味があるわけじゃないのにね。

 

  瞳には西宮君って同じバイト仲間の結構モテる幼馴染がいるから、

 剛ちゃんを何とかしたい敵じゃあないって思われてるみたい。

( 瞳は否定してるけど、

  中学時代は結構噂になって二人ともその情報は聞いているんだよねぇ )


 フリーの私ならきっと、すごい目で睨まれるんだろうなぁ…

 



  剛ちゃんのうちの車は大きなワンボックスで、

 私が助手席に座って、中村さんと木田ちゃんが剛ちゃんを挟んで後ろの席に座り、

 三列目に瞳が四人分の鞄と一緒に座ってという配置になった。

 

 こういう時って普通、剛ちゃんが助手席じゃないのかなぁ…と思うけど

 中村さんと木田ちゃんがさっさと剛ちゃんの両脇に立って拘束するし、

 

「 ”みけ”は助手席で、瞳っちは後ろでお願いね 」


 瞳っち?初めて木田ちゃんにそう呼ばれて頭をかしげながらも瞳が奥に座って、

 中村さんが笑いながら助手席を指さしたんで、

 私は仕方なく助手席に座った…

 狂乱って呼ばれてるだけあって、無言の圧が強い。


 ただ、剛ちゃんの車なのに勝手に配置を決めて木田ちゃんたちが乗り込んでも、

 早苗さんはニコニコ笑いながらそれを見ていただけ。


 私の方は何故か丁寧に助手席のドアを早苗さん自ら開けてくれたけど…



  あと数日で7月になろうかという午後3時で、まだ空はかなり青かった。

 本当ならこれから部活があるんだけど、今日は剛ちゃんのお姉さんの用事って事で免除。

 ま、家庭の事情(お兄ちゃんたちの面倒)でハナから免除の帰宅部の私には関係ない。

 日本国拳法部の瞳、チビのくせにバスケ部の木田ちゃん、不良のくせに弓道部の中村さん

 の三人にはお早い時間だろうけど…



 「 ちょっと、カーテン閉めていい? 」


  丘を下りながら早苗さんが後ろの木田ちゃんに声をかける。

 私たちの席と後ろの席はウォークスルーになっていて、中間に仕切りのカーテンがあった。

 木田ちゃんたちの了解の元、カーテンを閉めると

 後ろの席の声が急に小さくなってあまり聞こえなくなった…遮音カーテン?みたい。



 「 ねえ、あなたが”みけ”ちゃんなのね…思ってた通りだわ 」


 初対面なのにちゃん付け…?


 「 ええ、思ってた通りって? 」


 「 ああ、ジャニスや剛一郎に聞いていたイメージどうりっていう意味。

  うちの剛一郎って、あまり学校の事は話さないし特に女の子の事は話さないけど…

  貴方の事だけは入学してから結構話すのよねぇ 」


 「 えっと… 」

  確かに一年から一緒だったけど…


 「 お店に着くまで30分はかかるしお話しましょ、お友達はこれでお話が聞こえないしね 」

  そういうとカーテンの裾をパタパタさせる。


 「 うちのが貴方を好きだって言ったら…どう思う? 」


  思いもかけない言葉に、私は目が点になった。


  


 

 






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