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2本の尾  作者: ジャニス・ミカ・ビートフェルト
第一部 ”みけ”
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お迎えのバス

 私の住む建売住宅団地には、私と同じ高校生の子もいる。

大概は、歩いてか自転車で同じ町内の全日制普通科高校か、

頭がそこそこいい子はバスに乗って市内(田舎の子が市の中心部を指す言葉)

の進学校でいずれも公立。


 私立の子は基本お迎えのバスだね。

団地の前で近隣の私立が出し合って作った共同のバス乗り場(屋根付き)。

お金に余裕がるんだねぇ…華やかだもの。


 ただ、学力最底辺の私たちの高校は何故かおうちの前までお迎えになっている。


幼稚園か?って思うかもしれないけど意味があるのよ。


 それはね、登校拒否できないようにゴリラ(指導の先生)が

首根っこひっ捕まえてバスに強制乗車させるからなの。


私はゴリラが降りてくる前にぴょんぴょんとバスに乗るから関係ないけど。


引きこもったり、サボろうとした生徒は結構乱暴ね。


 昔はこの学校は退学率も高く、留年も多いので入学者が集まらなかったけど、

存続の危機ってことになってちょっと過激になったらしいの。


どうしようもない馬鹿でも引きこもりでも、このやり方で出席させるんで

取りあえず何でもかんでも卒業単位は取れることになっているんで、

手に負えない子を持つ親には好評みたい。


 ”万が一、死んでもかまいません”って一筆保護者が書いているので

ゴリラも高校の他の先生も容赦なし。

でも、大怪我とか死んだとかは長い歴史で無いらしい。

ちょくちょく普段から体罰してれば加減は分かっているし、

生徒を叱るときは必ず2人で行うって決まりもある。

最低限の事だけど、そのおかげで部活や授業での事故も少ないけどね。



 バスは6時半に来るんで、家を出るのにまだ余裕のお兄ちゃんたちとは違う。

今日も朝の支度は戦場の様な忙しさだ。

お兄ちゃんたちの朝ごはんを用意し、人数分の弁当まで必死で作る。

お母さんが亡くなって、女は私だけってこともあるけど、

バカ高い授業料を払ってくれている、お兄ちゃん達に私が出来る事だもん。


 用意が出来てお父さんたちを起こして、

「 ちゃんと食器洗ってね! 」って言って今度は私の通学準備。

全部終わると、ちょうどお迎えのクラクションが鳴る。


「 おはようございます!今行きますね! 」


って言いながら玄関出るといつもの様に自動の折り畳みドアが開いて

バスに飛び込む。


「 ああ、おはよう 」


 ってゴリラがふんぞり返って椅子に座りながら軽く手を上げる。

おっと、先生は後藤 隆 って名前だかんね。


「 ほいほい 」

って、いつもの様に後ろの座席で同級生の瞳が手招きした。

私はそのまま瞳の横に座ると直ぐに雑談を開始する。

 まあ、他愛ない話だよ大体普通はさ。

クラスの事とか、今日の実習の事とか、宿題の事とかね。

でも、今日は昨日の事を話しておかないと…

この子さ、携帯電話持っていないし、

固定電話にも出ないから、用事は口頭で話さないといけないから面倒。


 「 電話だとさ、頭痛くなるんだよウチはさ。

  それに、面倒だし本当に必要なら面と向かっていやあいいじゃん? 」


ってポリシー。

変わってるでしょ今どき…って私だってスマホ使えないか。


前にも言ったけど、私に友達はいない。

瞳はさ、この町唯一の温泉旅館”星の海”で土日で仲居のバイトする仲間なんだよね。

親しいっちゃあ親しいけど、

バイト先と高校以外では会わないから、知り合いに毛が生えたぐらいかな?


 「 それでさ、梶さんに頼まれて会社には予約取ったんだけど… 」


と、業務連絡みたいに梶さんの話をしだす。

普通なら特に関係ないんだけど、二次会に瞳と一緒に遊びに来ない?って言われてるから。

2次会って言ったって旅館のラウンジなんだけどね。


 「 会費は? 」


 「 タダに決まってるじゃん。好きなだけ食べて歌っていいって 」


 「 まあ、ただ飯は魅力だけど…いくに決まってるじゃん 」


 

で、その後はメンバーの内訳と時間などを話しながらバスは高校へと向かった。


 


   






 







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