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2本の尾  作者: ジャニス・ミカ・ビートフェルト
第一部 ”みけ”
28/100

木田ちゃん

  お昼を食べたら机でお昼寝!ってのが日課だけど、

 今日は、私のお弁当を食べた瞳が先に私の机に気持ちよさそうに寝ている。

 う~ん、邪魔なんですけど…

 かといってその隣に顔を寄せて寝るのも…変態じゃあないんだから嫌だし。

 

「 あらま~瞳ってば寝ちゃったんだぁ~ 」


 瞳が座ってる席の持ち主の木田ちゃんの声がした。

木田ちゃんは146センチって小学生みたいな身長で、カワウソみたいな顔をしている(失礼)

 

「 あんたと話がしたいって頼み込んだのにすぐ寝ちゃうんだ… 」


 呆れながら木田ちゃんは私の隣の席に座った。


「 実はさ、私も”みけ”には興味があってさぁ… 」


「 へえ?いつも話してるじゃん 」


 一年の時も同じクラスだったし…仲はいい方だと思うけど?


「 まあそうだけどさ、あんたは何ていうかさ壁みたいなもんがあってさぁ

 ちゃんと話せたこと今まで無かったじゃん 」


 木田ちゃんはニヤニヤ笑って瞳の方を向く。


「 気取ってた瞳が頭下げて席を借りるのを頼むんだもの気になってね。


  まあ好奇心って言うの?

  で、中学の時はどうなんかなって思ってさ、

  あんたと同じ中学の人ってあんまいないけど、探し出して聞いたんよ。

  そしたら、あんま記憶ないっていうじゃん。

  おかしいよねそれ…”みけ”ぐらい可愛くて綺麗だと記憶に残らない方が変じゃん。


  まさか整形かなって聞いたけど、

  聞いたその子は、いや中学からあんな感じだけどって言うんだよねぇ。

  でもそれぐらいしか聞けなくて、他に具体的な思い出が無いのよねぇ…不思議よね 」


 うええ、面倒だなぁ。

 ジャニスさんの記憶操作とか言えるわけないじゃないの…

 それにいい思い出じゃないし、

 不細工で根暗で頭悪いって三重苦の中学生活なんて無かったことにしたいぐらいだもの。

 

「 さあ、偏差値が測定不能の”三谷澤”でもドンケツの頭の悪さのせいじゃないの? 

  馬鹿にされるから教室の隅に居たしね 」


「 はは、一応偏差値は30なんだけど。

 頭が悪いって言ったらここしか来れなかった私だって変わらないじゃん。

 ま、中村のねえちゃんといい勝負ってのは恐ろしいほど頭は悪いけどね 」


 確かに…中村さんは中学時代は狂乱って言われて市内でも有名な不良で、

 学校来なかったもんなあの人…勉強できなくて当たり前だけどさ。


「 ま、中村さんがいてくれて助かったけどね…完全ドンケツじゃあないし 」


 ブービーがたまにあるのが嬉しい…勉強で誰かに勝った事など無かったし。


「 まあ、私も中学の時は教室の隅で外を眺めて現実逃避してたし…無視もされてたし

 分からないでもないけどさ。

 まあいいや、きっと理由があるって思うけど、話したくなければいさ。


  で、話は変わるんだど…”みけ”って裁縫とか上手いじゃん 」


「 えらく話が飛びますねぇ 」


「 いやあ、あんま話したことないんで、ちょっと気になっていたこと聞いて

  きっかけを作っただけで、こっちが本命の話。

  ”みけ”ってさ、課題の浴衣って縫い上げているの?


  じつはさ、私まだ型紙も切っていない状態なもんで

  …そのちょっと助けてほしいって言うか 」


「 はあ…でも来週の金曜日ですよ締め切りって… 」


 浴衣は服飾の単位に必要で、出来なければ赤1になって補習になる。

 勿論、夏休みに学校に出て作らなければならないし反省文も書かされる重大な課題だった。

 なので私はちゃんとやっていた。

 大学に行くことのない私たちにとって後2回の夏休み!が潰れるのは…辛いもんね。


「 で、”みけ”は出来たの? 」


「 まあ、何とか終わってますけど… 」


 木田ちゃんの両手が私の右腕を力強く握った…


「 手伝って…裁縫って得意じゃないし、チャコ(裁縫用の印をつける道具)だって

 うまく使え無いし 」


 涙目だった…


「 あ、悪い… 」


 寝ていたはずの瞳の手も左手に伸びてきた。


 

 

 

 






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