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2本の尾  作者: ジャニス・ミカ・ビートフェルト
第一部 ”みけ”
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お昼休み…

  前にも言ったけど、この学校の生徒は学食でお昼を食べる人が多い。

 瞳も朝が早いし友達は私と一緒でほとんどいないから、

 いつも学食の隅っこで一人で食べてるってイメージがある。


 けどどういうわけか今日は、

 珍しくもっというか初めてかな?私の前に…満面の笑みで座ってる。

 ご丁寧に前の席の木田さんに断って机を回転させて私の机にくっつけてだ。


「 えっと…瞳ぃ、どうして急に? 」

 私の言葉に瞳はニヤッと笑って机に白いレースのランチョンマットを敷いて、 

 菓子パンとサンドイッチとミルクティーを並べる。


「 何って、飯食うんだよ…お昼ご飯 」


 いや、それは分かるけどさ…なんで急に教室で食べるのよ。

 

「 お昼って…いつもは学食で食べるじゃん。

  それに、購買のパンなんて学食より高くつくんじゃないの? 」


 実際の所そうだ、瞳の用意したものを見ても分かる。

 菓子パンは150円、サンドイッチは200円、ミルクティーは500だから130円

 都合480円…学食でカレーライス280円とサイダー60円の方が安いじゃん。


「 まあね…学食の方が便利だし安いけど。

  あたいみたいに一人だと寂しいし、もうそう言うの飽きちゃったんだ。

  みけなら、星の海でよく一緒に食べるから丁度いいかなって思ったんだけど? 」


 そうなの?でもバイト仲間も1年以上たつじゃない?

 

「 そりゃあ…休憩時間が一緒だし、無料の賄いだから… 」


「 あたいと食べるのは嫌か? 」

 瞳の顔が少し不安そうに見える…怒るんじゃないのそう言うときって?


「 そ…そんな事ないけど…どうしたのよ? 」


「 うん?ま、友達になりたいかなって思ってさぁ… 」

 少し赤くなってる顔がいつもの投げやりな雰囲気と違って…やだ、純情?

 えっと、まさか…


「 友達…って瞳ってさ~そう言うの必要ないって感じで生きてるじゃない?

  まあ、私は瞳の事嫌いじゃあないし別に構わないけど…」


「 お前はさ、あたいを何だと思ってるんだよ。

  作らないじゃなくて避けていただけだよ…あたいは馬鹿が嫌いだし

  この私立に来る奴って大体がお金持ちじゃん。話が合わないし… 」


「 馬鹿が嫌いって…私馬鹿じゃん。」


 自信がある答えだ…通知表は見せる様な友達もいないけど、

 定期テストは2クラス70人しかいない家政科だから…全員張り出される。

 私は大体がブービーかドンケツだもんね。


「 はああ、お前流石だよなぁ…

  勉強の成績じゃないよ…生き方とか考え方が馬鹿なのが嫌いなの。

  大体、同じ学校通ってるんだから大して差なんか無いんだし… 


  いいか、恥ずかしいから一度しか言わねえから…

  お前に興味が出来たから友達になって下さいて言ってるんだよ 」


 へええ、友達が欲しかったんだ…私もだけど、瞳がってのは意外だなぁ。

 私と違ってしっかりしてるし、一人だって何も困らない人だし…

 そうか…ゴリラの言ってたことは本当だったんだ。


 瞳が私の方をじっと見て来る…う~ん、返事はちゃんとした方がいいかなぁ。

 瞳はこの学校の生徒の中ではバイトで一緒なんで初めての友達には…とっつきやすいか。

 何気に優しいし頭がいいんでいつもバイトじゃあ助けてもらってるしね。


「 う~ん、いいよ。私で構わないならね…」


 嫌だなあ、まるで告白された後の返事みたいでなんか恥ずかしい。 

 友達っていうのは今まで生きてきて初めてだったから…なんかお尻がこそばゆい。




  まあ、そう言う事だったら友達として一緒にご飯食べてもいいや

 私は、趣味がほとんど無いけど

( パソコンは暇つぶしだからねェ… ネット以外は殆どチンプンカンプンで使えないし)

 家事は大好きだから料理には凝っている。


  黄色い大き目のハンカチで包んだ弁当箱をバッグから出して机に置く。

 傷みやすい食材も使っているし梅雨時だし、

 昔は猫だったんでお腹はあんまり丈夫じゃないんで、

 バッグには保冷材のでっかいのが2つ入って万全を喫しているので弁当箱は冷たい。

 

 「 えっと、みけ…そんなに食べるの? 」


 デカい弁当箱を見て瞳が不思議そうに私を見る。


 「 そう?こんなもんだよいつも。

   私ってば、お昼を食べるのだけが楽しみで高校通ってるんだもの…

   ま、その分朝は少なめだし、夜も控えめなんだけどね。 」


 「 お前…飯を食いに学校来てるのかよ?凄いねェ…


   ま、朝と昼を控えてのは凄いけど、

   そりゃそうか…バイト先で見たときは普通だったもんな。

   一食にそれだけ食べて…あたいよりスリムってのは不公平だもんなぁ 」


 私は、瞳が学食で大盛りのラーメンとカレーを一緒に食べてるのを

 教室の窓から見たことあるんですけど…それは黙っておこう。

 それに、体が大きいし胸もお尻も立派だからいいじゃない…

 スリムっていうのはさ、お洋服着るにはいいかもしれないけど、

 胸は洗濯板だわ、お尻は骨っぽいわ、って事で女としてはどうなんよって感じですけど。


 私はハンカチを解いて、ランチョンマットの代わりに敷き、

 大判の形(小判型っていうのには抵抗があるほど大きいからね)の弁当箱のふたを開け、

 更に上下を割ってハンカチの上に並べる…


  今日のお弁当は昨日作っておいた揚げ物に、

 朝さっと作ったアスパラとエリンギの甘辛炒め、甘めの卵焼き、

 朝ご飯に多めに作っておいたゴーヤチャンプルーと香の物とたっぷりのご飯…


「 美味そうだなぁ…ってか、量が半端ないわ 」


「 そう?普通だよ 」


 瞳の眼が何か物欲しそうに感じる。


「 えっとさ、菓子パンとちょっと交換してくれない? 」

 って瞳が言ってきたので、頭を縦に振る。


 正直、お弁当に菓子パンは合わないけど友達になったし…お腹膨れるしね。


「 んじゃあ、これに入れて食べてみる? 」


 私の大判の弁当箱のふたを渡す。

 ついでに、お箸落とした時の予備の割りばしを渡すと瞳の目が輝いた。


「 いいの? 」


「 まあ、パン貰うし…私はお茶だからミルクティーも貰えるなら… 」


 瞳がその言葉にコクコクと頭を上下に動かして、割りばしを…凄い勢いで動かした。

 私の大判の弁当箱の蓋は2センチほどの端の高さがある…

 瞳はその端から零れ落ちそうに次々と…載せて…ご飯も沢庵も更に載せていく


「 ちょ… 」


 と止めようとしたが、既に蓋にはちゃんとしたお弁当の量が乗っかって

 私の弁当が…かなり減っちゃった。

 うええ…楽しみが、楽しみがぁ…


「 あ… 」


 私の泣きそうな顔を見て、取り過ぎたことに瞳は気付いたが

 お弁当をお箸で返すなんてことはしなかった。


「 ゴメン、ゴメン… 」


 って言いながら、サンドイッチの包みを破って一切れだけオマケを付けてくれた。

 正直割が合わない気はしたけど、

 私のお弁当が美味しそうに見えたんだって…作り手の満足感で忘れることにする。


 

「 ふえええ、美味いはこれ… 」

 必死になってお弁当を書き込んでいる瞳を見ながら、

 私も一緒にお弁当とパンを食べる…やっぱ、量は物足りないなあ。


 ただ、今日のお弁当はいつもより美味しく感じたけどね。


 

 



 

 





 

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