表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2本の尾  作者: ジャニス・ミカ・ビートフェルト
第一部 ”みけ”
2/100

お買い物

 ダボっとしたカットオフ(上のお兄ちゃんのジーンズを改造した)ジーンズに、

半袖の白いカッター(下のお兄ちゃんのを改造した)姿の私は

お気に入りの長めのポニーテールを揺らしながら、坂道を下って住宅街を抜ける。


 時々、お友達(猫や犬)に挨拶しながら、川沿いの歩道の縁石をスキップしながら

のんびりとした雰囲気の商店街に着く。

少し…車かバスで行くなら(10キロ離れてるよ田舎だから)量販店やスーパーもあるけど

値段も安い(スーパーと変わんない)し、専門店も多いんで品ぞろえ豊富なんで

交通費が馬鹿みたいなんで、ここらの人は私と同じでこの商店街で買う。


 「 よう、今日もこの時間かい?みけちゃん 」

商店街の入り口で自転車乗ったお肉屋の梶さんに声かけられた。

みけちゃんって…

ここらのお店のおじさんは飲み屋のお姉ちゃんたちに話すみたいに馴れ馴れしい。

でも、御山みやまみけって変わった本名だからこれが自然かもね。


 「 こんにちわ!また仕事さぼってパチンコですかぁ? 」

サンダル履きで咥え煙草の格好はいつもパチンコ帰りだもんこの人。

しかし臭いよね煙草…鼻がいいから鼻摘まんで鼻声だ。


 「 まあな、このぐらいからだろう客が来るのわさ。

   そうだ、今日はよ豚肉の良いのが仕入れたんだけどさ、寄ってかないか? 」


私の鼻摘まんだ格好見て、気を使って携帯灰皿で煙草を消しながら

頭描きながら梶さんがお買い得なお肉を教えてくれた。

ついでにお店に行くまでなんのお料理がいいかまで教えてくれた。

で、今日は豚肉に決まりでいいや。


 「 そういやさ、ギーちゃん達ってまた来るの? 」

お店でお勧めのお肉を受け取りながら梶さんが尋ねて来る。


 ギーちゃんっていうのは私がバイトで仲居をしている旅館の常連さん。

そういや、予約表で見たっけ。


 「 何で知ってるの? 」


 「 いやさ、午前中に肉を下ろしに行って事務所でチラッと名前見たもんでな

   ギーちゃん以外で3名様ってなってたけど他は誰かなって思ってさ 」


 「 はあ、また盗み見て…一応、守秘義務があるんだけど 」


 「 200g追加でおまけ… 」


 「 ナディアさんと、清美さん、それとリンドさんね 」


 ちゃんと、200gおまけしてもらった。


 「 それとさ…予約取ってくれないかなぁ?その日に宴会入れたいんで… 」


 「 はああ?う~んどうしようかなぁ。予約ぐらいならまだ空いてたと思うし 」


 そこまで言うと梶さんの眼がちょっと怖くなった。


 「 んでさ、さりげなくうちの宴会にギーちゃん達呼んでくれないかなぁ?

   飲み代にカラオケ代も全部奢るからって言ってさぁ… 」


 バイト先でそんなことできるわけないじゃん!

 って思ったけど、あの外人さん達ってば馬鹿みたいに飲むし、どんちゃん騒ぎも好きだしなぁ。

 全部タダって声かければ”待ってました!”ってノリの人たちだった。


 「 八百屋と、総菜屋の親父たちにも”おまけ”つけさせるように言っておくからさ 」


 と言いながら既にスマホが梶さんの耳に吸い付いている。


 仕方なく私はついでに魚屋さんも追加で引き受けた。


 でもさ、店の奥でソワソワしている奥さんも連れて行かなきゃいけなくなるから、

 間違いなんかないから予約とお話ぐらい通しても全然大丈夫なんだよね。

 


私は持ってきた買い物籠をいっぱいにして腹をすかした男どもが待つわが家へと帰ることになった。






 





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ