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2本の尾  作者: ジャニス・ミカ・ビートフェルト
第一部 ”みけ”
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お出迎え

  ご飯を食べて、みけ達はお腹も落ち着いたところで駐車場まで歩く。

 突然宴会をしに来るクライン社の皆さんのバスを出迎えに行くためだ。


 ”  クライン社は外資系企業で東京に日本本社がある。

 業務内容は、健康や美容に寄与する食品やサービスで、

 無農薬食物の生産や抗アレルギー性食材の開発なども有名だが、

 特にカイロプラクティック関連は

 著明な医学者の元で独特な理学療法として独自の技術を有している。

 痩身や体質改善、リハビリなどは当然だが、

 非常に眉唾な評判だが、若返りなどの効用もあるらしく女性の会員がかなり多い。


 今回、この旅館に来るのはそのカイロプラクティック関連の社員一行である。 ”


 一応、エレベーターもあるが、3階建てなので階段を使った方が早いから

 瞳もみけも階段を使ってロビーまで降りる。


 「 おや、みけちゃん達もお迎えかい? 」


 受付の若い女性がみけ達の顔を見て笑顔を浮かべる。


 「 そりゃあもう、なんせ旅館の上得意様だし 」


 と、暇つぶしが本来の目的の瞳が軽く笑いながら頭を下げた。

 

 


 


 

  流石に大枚を落としていく上得意様に、専務や若女将さんが直接お出迎え。

 案内係の仲居さんが本館係の浅間さん(31)と別館係の新藤さん(29)の二人がその脇に並び、

 私と瞳はぼ~とお出迎えの列の端にそっと並んだ。


「 あれ貴方たち、仕事熱心だねぇ。確か今は…休憩中だけどいいの? 」


 すっと入った瞬間に、若女将が声をかけてくれた。

 

「 いやあ、まだ大分時間あるしですね…この間…お小遣い貰っちゃってそのお礼を 」

 

「 ば…馬鹿かみけ!何をしゃべってるんだよぉ… 」


「 あ… 」

 瞳の言葉にはっと気が付いた。


「 へええ、それはそれは…正直なんですねえ 」


 若女将がニヤニヤ笑いながら私の方を見て来る…しまったなぁ…

 チップや付け届けは外国や大昔の旅館じゃあるまいし絶対禁止ですよっていつも言われてるのに

 あ~私のバカバカ。


「 ま、いいんじゃないの貰ったことは感心しませんが正直に話したんだし。

   でも、次からはちゃんと辞退してくださいね。

  それでも無理やり渡されたらちゃんと報告に来なさい…お礼の手紙を書きますから 」

 専務さんが助け舟を出してくれた。


「 まあ、甘い事…でも、お礼の手紙はうちの便箋使ってみけちゃん自身が書くのよ。

  貰ったのはあなただから、あなたの感謝の言葉じゃないと意味ないからね。


  しかし…可愛い高校生には優しいんですね貴方は… 」

 棘のある言葉に、専務さんが狼狽える。


「 そ…そんな事は…瞳ちゃんでも同じ事を言ったと思うけど  」


「 はあ?いやあ…専務さん。私って可愛くないんですかねェ… 」

 瞳が頬を膨らませた。


「 え!いやそんつもりじゃあ…そ、そうだ瞳ちゃんもみけちゃんと同じぐらい可愛いから

  っていう意味だから 」

 少し焦って瞳に謝る専務さんを見て仲居さん達がクスクス笑いだした。


「 じゃあ、私たちも可愛いから同じでいいですか? 」

 仲居さんの言葉に専務は少し驚いたが、ここで言うことは一つだけだった。


「 ああ、そうだね。でも、ちゃんとお断りするのが前提… 」


 冷や汗を流す専務さんの横で、呆れて笑いながらも若女将は言った。


「 未成年だからこのぐらいで許せるんです!

  お二人とも私とそうは変わらないいい大人なんだから自覚してください。


  サービスはして当たり前なんですよお金いただいてるんですからね。

  それに、商店街の梶さんあたりにチップ貰うのも平気なんですか? 」


「 いや、あのセクハラ親父には…おっと、やっぱりそれは良くありませんわ。

  以後、ちゃんと対処します 」


 いやあ、梶さんてどんな風に見られてるのかよく分かる。

 仲居さん達の顔が曇ったもの…


「 ああ、貴方しっかりしてくださいね。本当に女性には弱いんだから… 」


 若女将はそう言うと専務さんの二の腕あたりを軽くつねった。


 なんだか力関係がはっきり見える光景だけど、微笑ましい感じに見えた。

 男の子は苦手だけど、こんな風になるんなら付き合ってもいいかなと思う…

 あ、でも、専務さん並みに二枚目限定だからね!


 夫婦漫才を見せられてすっかりみんなが和んだところで、

 駐車場に、いつもうちを利用してくれるバス会社の2台の大型バスが入って来る。

 磨き上げられた真黒な車体に、周りの美しい山並みと旅館を映し出しながら

 私たちの前で停まった。


  前席側の大きなスライド型の自動ドアが開いて、最初に見知ったガイドさんが降りてきて

 最初に若女将、次に潤んだ瞳で専務さんに挨拶をしてくる。


 「 お待たせしました。後はよろしくお願いします 」


 「 ええ、突然の事だったんで御社の皆様はうちの自宅になります。

   大した御持て成しも出来ませんが… 」


 すまなそうに頭を下げる専務さんにガイドさんは


 「 いえいえ、とんでもありません 」

 

 と、ガイドさんが専務さんの手を握ってそう言うと、

 少し頬を緩めた専務さんの二の腕に若女将が、営業スマイルのまま摘まんでいるのが見えた。

 いやあ、駄目だね専務さん。


  そして、バスからクライン社のカイロプラクティック部門を締める部門長が降りて来る。

 ベス・ハートランディア・クラインさん(34歳らしい)という女性だ。

 名前の通りクライン社の現社長の娘で相当なやりてらしい。


 「 ハ~イ 礼二ぃ久しぶりねぇ 」

 と言ってベスさんはパンプスなのに専務さんの基に駆け寄ると抱き着いてキスをした。


 頬に真っ赤な口紅の後を付けてにやけた顔をしている専務さんの背中に、

 再び営業スマイルの若女将の今度は手刀てがたながめり込んでいく。


 でも、こればかりは専務さんの顔が緩むのはしょうがないと思う。

 ベスさんは、

 160センチそこそこで日本人から見ればちょうど良い身長だし、何より綺麗だもの。

 真黒な髪に済んだ茶色い目に鼻筋も通って小鼻が小さい。

 なかなか見かけないくすみのない白い肌も魅力的で顔の欠点と言えば口が大きい事ぐらい。

 その口だって、妖艶な目の形と相まって物凄く色っぽい。

 胸はⅮカップでくびれがちゃんとあってヒップラインが美しい。


  こんな女性に抱き着かれて鼻の下を伸ばさない男なんていないって思うもの。


 「 みけちゃんも久しぶりね! 」

 って直ぐに私や、瞳、仲居さん達にも口紅を頬に残す癖はやめて欲しいと思うのだけど。



 

  





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