第12節
芸術の都、カルナバル。ここを擁するシュライン・フォレスト共和国は、いくつかのアミニズム信仰を持つ民族が寄り合って出来た共和制国家だ。大陸の北方の広大な森林を領土とするこの国は、常に霊気の齎す神秘、そして危険と隣り合わせだ。彼らは生きるために、霊気を味方に付けようと試みた。そうして生まれたのが技巧という身体コントロール法だった。大気中に含まれる霊気のエネルギーを肺から吸収することで筋力を補助しパワーアップを図るこの方法は、濃厚な霊気の中で彼らを無二の強力な戦闘員たらしめた。沿岸部の人々が使う魔法は、精神に感応する霊気の性質を利用して物理的現象を引き起こすが、戦闘用に複雑化したそれは内陸部ではしばしば暴走を起こし使い物にならなかった。このことが、大国同士がこぞって領地争いをしている今の大陸で、シュライン・フォレスト共和国が独立を維持している大きな理由でもある。
「そんな訳で、アクトが如何に重要か分かったかと思います。早速今日から貴方にもやって貰いますわよ」
「…ねぇ、"先生"?」
真新しい、シワひとつない楽士の制服で動き辛そうなウェイドが遠慮がちに手を上げる。呼び止められた"先生"は、それまで退屈そうに半開きだった目をキッと吊り上げると、大きなルビーのような瞳を露わにした。
「ねぇ、じゃなくて「はい」でしょうが、ウェイド・ビーツ!!」
しっかりとした体幹で振り返り、ピタッとウェイドに向けて人差し指を向けたのは他でもない、エコーズ・ギーガーであった。相変わらずこの娘はしょっちゅう人のことを指差すな、とウェイドは思った。
「はい先生。で、なんで君が先生やってるわけ?」
「これはアルバイトですわ。恩師の頼みで、毎年この時期には新人の面倒を見ていますの」
「そうか、ありがとう。それじゃあもう一個教えて欲しいんだけど、なんでボクらだけ別行動なの? さっきの広場にもっと人いなかったっけ!?」
2人は通常の訓練に使用されるグラウンドから外れ、楽士の詰める「楽士堂」という建物の陰の一角に居た。他の新人同様、ウェイドも先程までグラウンドで待機をしていたが、エコーズから呼び出され、ここまで連れてこられたのだった。
「貴方、自分が誰だか忘れてるんで無くって?」
エコーズが片眉を持ち上げる。新人楽士殿はいまいち要領を得ない、という様子だ。
「誰って、ウェイドだけど?」
「そう、そして貴方はフィフストラベラー。"喉の魔法"が無ければ、3分であの世行きのね」
「あぁ…そういう」
彼は肺の"ひりつく"感覚を覚えた。
この星に連れてこられたとき、ハルと最後の会話をしたとき、霊気はウェイドの喉と肺を焼き尽くさんとしていた。あんな痛みは、もう二度と御免だと思っていた。
だが、アクトを使うとなれば、そうはいかない。霊気を身体に取り込まなければ、その恩恵は得られないのだから。
「ですが、フィフストラベラーでもある程度までは、霊気を取り入れられるよう訓練することができます。仲間と同じメニューに入る前に、貴方はこの「霊気順化」から始めて貰いますわよ」
「ちぇ、またマイナスからのスタートかぁ」
ウェイドはため息をついて猫背になるが、エコーズは興味なさそうな顔のまま「そう珍しくもないですわ」と続ける。
「ここより霊気の薄い土地からも人が来るから、毎年、初日は何人かブッ倒れますの。そろそろ頃合いですわ」
言った途端、建屋の向こう側からホイッスルの音がした。
「今のは?」
「楽士の警笛。貴方も明日か明後日には支給されるんでなくって? 知りませんけど。要は体調不良者が出た合図です」
続けて2回、警笛が鳴る。それからは静かになって、エコーズは「まぁ、こんなもんでしょう」と呟いた。そしてウェイドの方を見た。
「それじゃあ、今度は貴方の番」
ウェイドは生唾を飲み込んだ。気をつけの姿勢で黙って直立し、喉仏に彼女の指が向けられた。
「母なる大地よ 父なる霊気よ 我が言霊に力を与えよ 言霊に形を与えしもの 駆け巡り 母の恵を届けるものよ」
人差し指の周りに白熱するリングが現れ、呪文が唱えられるごとに輝きを翠に変えていく。そして指先は、彼の喉元へ突き立てられた。
「父の恵み 阻し薄衣 この手に集いて形を為せ」
人差し指と同じく立てられた親指が、手首の回転に合わせて角度を付けていく。ウェイドの喉に、風邪のひき始めのような痛みが感ぜられた。エコーズが指を離して右手をひらひら振ると、指に纏っていた輝きは霧消した。
「最初はこれで行きますわ。ほら、胸いっぱいに深呼吸してご覧なさい。きちんと肺を意識することね」
「…よし、わかった」
口を「お」の発音の形に変えて、限界まで息を吐き出した。そして、彼女のいう通りに空気を吸い込む。改めて「肺を意識しろ」だなんて言われると、なんだか胸元がもやもやして気持ち悪い。だか、順調に吸い込めているような気がした。なぜなら肺が膨らむにつれ、視界が白くなっているからだ。目に見えて変化があるということは、おそらくこれで合っているのだろう。
(あれ? でも、これ吸い切ったら何も見えなくなるんじゃ…)
そう思った瞬間、白は黒へと反転した。
*
急激な重力を感じたと思えば、「ざばぁ」という威勢のいい音と共に、水から引き上げられた。脚をあちこち打ち付けて、そのまま無様に床に転がった。
「おええ!げほっ!げほっ!」
荒く息をして、顔をめちゃくちゃに擦った。
ぼんやりと視界に広がるのは、ただ暗闇だった。遠くに2つ、オレンジ色の、ゆらゆらと揺れる光源が確認できる。
上体を捩る。その瞬間、急に、胸から上腕にかけて燃えるような痛みが走った。
「かひゅっ」
息が詰まる。微かに取り込んだ空気の通った気管までもが、燃えるように痛い。硬い地面に伏して、じたばたともがき始める。今、自分が寝ているところは石造りの床だろうか…?
「何をボサッとしている!早く呼吸を確保しろ!」
突然、怒声が響く。
「うるせぇな、今やるよ」
もう一つ、今度は気怠げな低い声が聞こえた。背中に何かがのしかかるのを感じる。髪を掴まれ、頭を上へ持ち上げられると、首根っこを掴まれた。
「母なる大地よ 父なる霊気よ 我が言霊に力を与えよ」
覚えのあるフレーズを男が呟き、それからまた二言、三言ブツブツと言葉を続ける。
「父の恵み 阻し薄衣 この手に集いて形を為せ」
首と髪から急に手を離され、顎が床へと落ちていく……
*
「痛ってェ!!…く、ない?」
起き上がると同時に、胸に刺すような痛みを覚え、思わず手で押さえる。が、それは気のせいだったようだ。喉の痛みも消えており、冷静になったウェイドは自分がベッドの上にいることに気がついた。それほど高さがあるわけでもなく、造りも簡素なパイプベッドが部屋にはいくつも並んでおり、そこにはウェイドと同じ緑の楽士章を付けた仲間たちが何人か寝ている。
「気がつきましたのね、良い倒れっぷりでしてよ? しっかりと息を吸っている証拠ですわ」
右後ろから声がしたので振り返ると、椅子に座って読書をしているエコーズが居た。眼鏡をかけていて、その向こうの瞳は、気持ち小さく見える。
「エコーズ、見ててくれたの?」
「監督責任ですわ。ワタクシは他でもない、フライヤ様から貴方を預かっているんですもの」
そう言って彼女は本をパタリと閉じると、丸椅子から立ち上がった。スプリングみたいな縦ロールがよく弾む。
「気分が良くなったら今日はもう上がってしまいなさい。今焦ると、この仕事、長くは続かなくってよ」
そして医務室から出て行ってしまった。出口まで後ろ姿を視線で見送ると、視界の左隅で誰かが咳き込むのが見えた。
「ぐっ、畜生…こんなところで躓くとは……」
老婆のように"しわがれた"声だが、それが呼吸器の不調から来るものであるのは明らかだ。声の主はエコーズと同じくらいの、少しばかり幼さが残る顔立ちで、ショートカットの髪は生え際が黒く、毛先に向かうにつれ栗色になっていた。
「君も、今起きたの?」
なんとなく親近感を覚えて、ウェイドは少女に声をかけた。苦しげに胸を摩る彼女は恨めしそうな顔のままこちらを見た。
「むむ…あなたも倒れたので?」
「そうさ。どうもここにいる緑の楽士章は、みーんなそんなカンジらしい」
周囲の同輩たちは、未だ眠っているか、目眩を起こしているかのように顔を擦って苦しそうにしている。この様子では、自分たちの寝起きは比較的マシなようだ。少女も辺りをぐるっと見回して、同じ感想に至ったらしく、小さくため息をついた。
「さいですか…で、あれば、我々は決して落ちこぼれた訳では無いってことですね、ウェイド・ビーツ?」
少女は急に目線を向けてきて、微笑んだ。急に名前を呼ばれたウェイドは、驚いた拍子に中身がぐちゃぐちゃになった鞄のような脳みそを引っ掻き回して、目の前の女性の心当たりを急ぎ探し始めた。
「え、あれっ、どこかで会った?」
そんな彼の反応はある程度織り込み済み、とでも言うように、彼女は半目で笑いながら首を横に振った。
「いんや、初対面です。が、あなたは知らなくても、みんながあなたを知っています。イクスビーの寵愛を受ける大型新人、と」
なんだそりゃあ、と思った。確かに詰所の敷地を歩いているときには、ちらほらと見られている気がしなくもなかったが、単に東洋系の顔が珍しいのかと考えていた。まさか、そんな風に周りから思われていたとは。
「いや、ボクはそんなんじゃないけど……」
当然に否定の言葉を述べるが、少女は「ご謙遜なさってぇ」と、まともに受け取る様子は無い。
「"あの"エコーズ・ギーガーが、フライヤ・イクスビー以外の人間の近くに長時間いるなんて驚異です。と、我々を指導してくれていた先輩楽士が噂していました。つまり、あなたはそれだけのベリー・インポータント・ピーポゥ……」
あぁ、なるほど。この子は先ほどのエコーズとの会話を、直前まで意識を失っていたせいで聞いていないのだ。確かにフライヤが特別に頼んでくれた講師なのには違いが無いが、変な形で噂が一人歩きされては困る。というか、既に困りそうな予感しかしない。こんなときは、話を脱線させるのに限るのだ。
「だから違うってば。それより、君のことだって教えてくれよ。このままじゃあまりに不公平だ」
少し語気を強めたつもりだったが、相手が悪いらしく、彼女は気にするそぶりもなく、へらへらしている。
「ふふ、これは失敬。私はワンダ・フレデリカ。みんなフレッドだの、フレディだの好きなように呼びます」
「クイーンかよ」と喉まで出かかったが、ここは惑星エム・フォウティ。通じるわけもないので、虚しく引っ込めた。口調も態度も変わり者で、エコーズとはまた違ったやり辛さを感じるが、適当に対応して、お高く止まっているとか思われるのだけは嫌だと感じた。
「よろしくフレディ。ボクのことはウェイドでいいよ」
「よろしくです。このコネクションによって、また一歩、わたしの成り上がり伝説に1ページを刻むことができました」
「だからそんなモンは無いって…成り上がり?」
引き続き脱線を試み、フレディのパーソナリティを掘り下げようと試みた途端に、医務室の扉がガチャリと開いた。来訪者はウェイドが視線を向けたドアの採光窓よりいくらか下に頭頂があり、エコーズと同じか、それよりも背丈が低いらしい。浅黒い肌に、白髪混じりの黒い長髪を雑に後ろで束ねている。なんとなく自分と同じアジア系のような顔つきの男性で、やはりカルナバルには多様な人種が集まるのだ、とウェイドは安堵するやら、先の自意識過剰が恥ずかしいやらだった。楽士章の色は緑。つまり、この男も同輩である。
「やぁやぁフレディよぉ。約束通り笑いに来てやったわい」
言葉の悪さと裏腹に、男はニカッと笑ってみせる。それに対し、フレディは「うえ〜」としかめっ面をするが、冗談っぽい態度だ。
「来やがりましたね、デリカシーなし男。ほれほれ、アンタはアッチに行くんですよ。せっかくVIPとコネコネしてたってのに」
シッシッ、と手の甲で彼を追い払う仕草をする。しかし見るからに神経の太そうな男はびくともしない。というか、コネコネとは何だ。
「がっはっは、フレディの様子を見に来たのもあるが、本命は同じじゃあ。のう、ウェイド・ビーツ!」
男は急に、地球では見ない黄金色の瞳をウェイドに向けた。肌の色に対して、歯は驚くほど白い。
「ワシはクロウ。クロウ・ワイトと言う者じゃあ。同期としてよろしゅうな、VIP!」
一々声のデカいヤツだ。目覚ましみたいな東洋男のクロウは右手を差し出してきた。同じく右手を差し出して握手すると、かなりの密度の筋肉が張り巡らされているような力強さを感じた。
「VIP呼ばわりも、フルネームで呼ばれるのもあんまり好きじゃ無いんだ」
「なら、ワシもウェイドって呼ばせてもらおう」
「ありがとう、よろしく」
握手の終わりに少しはにかんでみた。前にエコーズから表情筋が死んでいると言われて少し気にしていたので、無理くりにでも動かしてみている。どんな風になっているかしれなかったが、このクロウという男は相手がどんな顔をしてようと、自分自身は気持ちよく、カラッと笑ってみせることは後々知っていくこととなる。
「ちぇ、あっという間に優位性が崩れちまいました」
「抜け駆けしたからバチが当たったんじゃあ。お主ら今日はもう上がるんじゃろう?」
頬を膨らませるフレディをからかって、得意げな顔をしながらクロウが訊いてくる。ウェイドは鼻から息を逃してから、「それをオススメされたよ」と答えた。
「なら2人とも、ライタイにメシでも食いに行こうや。付き添いで早上がりできる、救護係の特権じゃあ」
「大声で言うバカがありますか。でも、メシは賛成です。ウェイドはこのあとヒマですか?」
「まぁ、予定は無いけど……」
2人と食事に行くことはやぶさかでは無いが、「予定は無い」と答える以外に選択肢がなかった自分に、一瞬だけブルーになった。そんなウェイドと対照的にニッコニコのクロウが、手のひらに軽く拳を打ちつける。
「なら決まりじゃあ。さっ、行くぞ行くぞぉ」
さっさと部屋のドアへと踵を返してしまう彼の後ろへ、フレディとウェイドはのそのそとベッドから降りて着いていった。
*
クロウとフレディに案内されたのは、川沿いの細い路地にあるダイナーだった。カルナバルに来てからというもの、2人は毎夜ここに入り浸っているのだという。
「本当はレフタイでオシャレライフを決め込みたかったのですが、あまりにも家賃が高くって断念しました。ですが今となっては、ここでガチャガチャやるのも悪くありません」
フレディはリンゴくらいのサイズの木の実、クヤッシュの殻斗(どんぐりの帽子にあたる部分)を捻って外すと、現れた飲み口から景気良く呷った。
「ぷへぇ、仕事終わりの一杯はコイツに限ります」
しっかり満足げなフレディに対し、隣のクロウの飲みっぷりは意外と大人しい。それどころか、少し物足りなさそうなくらいだ。ちょっと気になって、ウェイドは「どうかした?」と聞いてみた。「あ、いや」と言って、クロウは苦笑いする。
「この街は20より下には酒を出さんと言うんじゃあ。クヤッシュも美味いが、アルコールが恋しゅうてのう」
「なぁんだ、そういうことか…待って、今ハタチより下って言った? 君らいくつなの?」
「ワシが17で、フレディが15じゃあ」
「今期は私が最年少だそうです。いぇい」
フレディはピースサインをチョキチョキさせる。
その年齢差は8歳。ウェイドは目眩のするようだった。
「そういうウェイドは、酒は飲まんクチか?」
「いんや、ボクは禁酒中。霊気順化の最中は飲むなって、医務室の人に言われてさ」
「かーっ、合法的に飲めるっちゅーのに、そんな理由で禁酒なんてたまらんのぅ!」
うっかり舌を噛んだときのような、苦悶の表情をクロウは浮かべる。想像だけでよくもそこまで、と思うほど彼の酒類への執着は強いらしい。
「そんな理由でって…君は、楽士になりたくてカルナバルへ来たんじゃないの?」
言われて、クロウは眉間を上げて小首を傾げた。逆にウェイドが戸惑ってフレディの方を見るが、彼女も不思議そうな目でこちらを見ていた。
「だってフライヤが、楽士はヴォイスを慕う人達の集まりだって」
「そりゃあ楽士団のポリシーには賛同しとるが、ワシの1番の目的は絵じゃあ。ワシは、カルナバルに絵を描きにきたんじゃあ。まぁ版画じゃから、正確には彫るっちゅー方が正しいんかのぅ」
「君、絵描きだったの?」
にわかには信じがたかった。そういったことからは最も縁遠そうな風体、言動のクロウ・ワイトは、今のウェイドが足元にも及ばないほど、「カルナバルの人」であるということが。フレディはウェイドの反応がわかるという風に、うんうん頷いた。
「コイツの言ってるコトはマジですよウェイド。クロウ自身には美意識のカケラも見当たりませんが、それはどうやら作品に全部注いじまってるからと見てます」
「がはは!あまり褒めるなフレディ!」
クロウはありとあらゆるものを風通しの良い笑い声で流してしまう。それをフレディは鬱陶しそうに手で「しっ、しっ」とやった。
「それじゃあ、フレディも何かやってるわけ?」
「やー、私は文化的な趣味が無いんでさ。食うに困って仕方なく楽士になったモンで」
ウェイドの問いに彼女は初めて、少し困り顔ではにかんだ。
「両親が早くに亡くなって。ずっと祖母と暮らしてたんですが、祖母も昨年の冬に亡くなっちゃいました。荒事や力仕事は得意なんで騎士になろうかと思ったら、ギリ年齢が足りず…。貯えも1年持つか微妙だったんで、思い切ってカルナバルに来ちゃいました。結果オーライでしたが」
成る程、フレディが昼間言いかけた「成り上がり」とは、どうやらこの辺にかかってくるらしい。
「そっか、大変な思いをしてきたんだね……」
2人の境遇、そして目的、そのどれもがウェイドと違っているし、なんなら他の楽士とも違うだろう。それが、一つのポリシーのもとに集まっている。ウェイドはようやく、人が集団を作ることの面白さを少し感じ取った。
「でも、今日みんなと会えたのは良かった。…これからも仲良くしてもらえると、嬉しいな」
疲れによる微睡のせいか、変に力まずに目尻を下げられたような気がする。そして、意図もキチンと伝わったことは、2人の柔和な笑顔で察せた。
「こちらこそよろしく、ウェイド」
「ワシら、きっと上手くやれるだろうよ。ガハハ!」
その夜の若人の語らいは、飲み会というにはお行儀の良い時間に解散し、各々家路に着いた。ウェイドは道中、新しい友達が出来たとフライヤに言ったならば、どんなリアクションをするだろうと考えながら歩いていた。




