第7話 1日の終わり
どうも神薔薇です。
今回は家に帰ってからの話ですね。
では、どうぞ!!
「……魔法陣、読み出し。形成、完了」
先程、イメージを形にした魔法をデバイスから呼び出す。
目には見えないが、俺の足元には魔方陣が形成された。
《方陣の形成を確認したよ。次は魔力注入を開始してね》
「了解。魔力注入、開始」
通信越しのラーナからの指示に従い、デバイスから魔方陣へと魔力を注ぎ込む。
魔方陣が菫色に輝き出した。
《魔力量、適正値になったよ。魔法を起動させて》
「ああ。『変色する鏡』起動」
魔方陣は一際輝いた後、光を失う。やがて魔方陣は目に見えなくなる。
《魔法の起動を確認。成功だね。しっかり周りに溶け込んでるよ》
どうやら成功したようだ。
『変色する鏡』の中に居る俺には分からないが、外から見れば周りの壁と同じ色になっているのだろう。
「わかった。じゃあ完成だな。精々遊びで作った程度の魔法だ。これぐらいで良いだろう」
魔法を解除して、部屋から出る。
扉を開けると、モニター室に居たラーナが出迎えてくれた。
「お疲れ様。『反射する鏡』の効果を限定した魔法だから消費する魔力量も抑えられたね」
「ああ。工程も幾つか減って簡単になってるから起動に掛かる時間も短くなってる」
「これなら長時間使う事も出来そうだね」
「まあ、動くと割とバレバレだけどな。それに周り確認して使わないと、全然隠れられないっていう欠点もあるけどな」
「そうだね。でも隠れてやり過ごすのなら、座った状態で使ったりすれば大丈夫なんじゃないかな」
「そうだな。まあ、その辺は術者次第だな。そろそろ飯にするか」
「うん!!直ぐに片付けるね」
2人でテキパキと片付けを行って、実験室を後にした。
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今日はラーナが初めて作ってくれた日本料理だ。
今までずっと練習はしていたみたいだけど、納得の行く出来じゃ無いからと、作ってくれなかった。
だけど、やっと納得の行く出来の物が作れたらしい。
俺としては別に失敗しても気にしないのだが、以前、彼女にそれを伝えた時にこう言われた。
「確かにソラはそうかもしれないけど、やっぱり美味しい物を食べて貰いたいしね。だから上手く出来る様になるまでは待ってて欲しいな。ダメ?」
上目使いであんな事言われたら、我慢するしかない。
俺は目の前に置かれている唐揚げを口に入れた。
「どう?」
ラーナが不安そうに聞いてくる。
「美味しいよ。今までで一番美味しいと思える唐揚げだ」
「やった!!」
ラーナは笑顔でガッツポーズをした。
「間に合って良かったよ。唐揚げはソラの好きな物だから絶対に美味しい物を作りたかったんだ」
「ありがとな。最高の入学祝いだな」
まったく嬉しい限りだ。
今まで、中々食べさせてくれなかったのはそれが理由らしい。
多分、他の日本料理も作ってくれなかったのは、俺の好物を最初に食べて貰いたかったからだろう。
これからは他の日本料理も作ってくれるのだろう。
今から楽しみで仕方がない。
次は味噌汁を口にする。
「大丈夫?味、薄かったりしない?」
「大丈夫だ。丁度良いよ」
「うん!!いつもソラの味噌汁飲んでるしね。頑張って再現したんだ」
ラーナは嬉しそうだ。
まあ、誰かに自分の料理を美味しいと言って貰えるのは本当に嬉しいからな。
相手が大切な人であれば、尚更だ。
「それにしても、なんでお前の皿には唐揚げがないんだ?」
「え~と。失敗した奴を食べちゃったから。それにソラに一杯食べて貰いたかったし」
それは嬉しいけど……。
多分、この唐揚げは味見で一個食べただけなんだな。
唐揚げを1つ箸で掴み、ラーナの口の前に持っていく。
「へ?」
「美味しいんだから一緒に食べようぜ。その方が美味しく食べれるって。ほら、あ~ん」
「う、うん。あ、あ~ん」
ラーナは顔を真っ赤にしながら食べた。
「うん。美味しいね」
「だろ?ほら、2人で分けよう」
「うん!!」
その後もラーナの料理を美味しく頂いた。
本当に最高の入学祝いだな。
俺からも何か返せたらいいけど。
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今日は色々な出会いがあったな。
秋穂に信也、それに副会長と燐先輩。
秋穂と信也はこれから一緒に戦う仲間になる。
2人がどんな魔法を使うのか楽しみだな。
副会長もあの燐先輩を普段から捕まえたりしているだけあって、中々の実力者の様だし。
そして燐先輩か……。
あの時に感じた妙な感覚は一体なんだったんだ?
妙に心がざわつくというか、まるで本能が目の前に立つ人物は敵だと叫んでいる様だった。
一瞬ではあったが、本当にそう感じた。
会話の途中ではもう感じなくなったけど、あれは一体……。
「ソラ~」
ノックと共にラーナの声が聞こえた。
まあ、燐先輩については今考えても仕方ないか。
これから接していく内に見極めればいいだろう。
考えてた事を頭から追い出し、扉を開けると、パジャマ姿で枕を持っていた。
「入っていい?」
「いいぞ」
一緒に寝て欲しいのか。
まあさっきは美味い料理食べさせてくれたし、偶には良いか。
「え~と。一緒に寝ていい?」
やっぱり。
「相変わらず2人だと甘えん坊だな」
「甘えちゃダメ?」
上目遣いで傍に寄ってくる。
ていうかパジャマ前が肌蹴て際どい事になってるんだが。
「まあ、良いけど。俺の部屋とはいえ、男の部屋に来るなら服はちゃんと着ろ。危ないぞ」
ラーナのパジャマをちゃんと直してあげた。
彼女は顔を赤くして俯く。
「ソラの部屋じゃなかったら、パジャマ姿で来たりしないもん。……そ、ソラもそういう事に興味あるの?」
潤んだ二つの瞳が俺を見つめてくる。
思わず、ゴクリッと唾を飲み込んだ。
破壊力高過ぎだろ!?
パジャマを直しておいて良かった。
これでパジャマまで肌蹴ていたら危なかったな。
「ま、まあ人並には有るかもな。ラーナは自分が魅力的過ぎる程に可愛いという事を自覚するべきだ。じゃないと色々と危ない」
「そ、ソラだったら……いいよ?」
ナニが!?
いやいや、何が!?
待って。待ってくれ。
そういう事、しても良いという事か!?
「そ、ソラ?」
って、ダメだ!!
ラーナは確かに家族で大切な人だけど、恋人では無い!!
そういうのは恋人通しがやる事だ!!
「痛い!?」
彼女の額を小突き、布団に入らせる。
「ば、バカな事言ってないでさっさと寝るぞ」
彼女が布団に入ったのを確認してから電気を消す。
そして俺も布団に入った。
寝転がるとラーナが抱きついてきた。
どうやら膨れているようだ。
「ぶー。勇気だしたのにー」
「勘弁してくれ。そういうのは好きな人にしてやれ」
「……鈍感」
ラーナはさらに頬を膨らませてる。
どうやら機嫌を損ねてしまったらしい
「ゴメンゴメン。俺が悪かった。許してくれ」
俺はラーナの頭を撫でる。
少し、機嫌が直ったようだ。
その後もずっと撫で続けていると、やがてラーナは寝てしまった。
さっきまでの不機嫌そうな顔とは違い、機嫌が良さそうな寝顔だった。
「ソラ……ずっと一緒にいてね……」
ラーナの口から紡がれた言葉を聞き、顔が綻ぶ。
「ああ。ずっと一緒だ。どんなことがあろうが、俺はお前の傍に居るよ」
俺はラーナを優しく抱きしめた。
まるで壊れ物を扱うかのように、丁寧に。
そしてラーナの温もりを感じながら、意識が遠のいていった。
どうでした?
今回でやっと1日が終わりました。
1日書くのにまさか7話目まで行くとは、
思いませんでした。
それに魔法も出てきましたね。
本当にちょっとですが。
魔法考えるの大変です。
ではこれで、
次回もお楽しみに~~~~。
さよなら~~~