第1話 朝の一時
どうも神薔薇です!!
今回から本編に入ります。
出るのは空兎とラーナだけです。
朝の家出る前のとこですからね。
では、どうぞ!!
西暦2215年4月6日。
俺が師匠を失い、〈神の恩恵〉を授かる儀式を行った日から7年が過ぎた。
あの日、儀式の仲介を行ってくれた少女、ラーナ・ウェンデールはあれから一緒に行動している。
一緒に住んでもいるが、分からない事も多い。
まず、あの時に言っていた契約の内容が話してくれない。
「そのうち話すよ」とか言っているが、まったく教えてくれない。
聞くとなんか顔を赤くするし。
何故だろう?
他にも、俺が入っている風呂に突入するし、ベットに潜り込んでくる事もある。
しかも顔を真っ赤にしながらだ。
意味がわからん。
恥ずかしいならしなきゃいいのに。
それとも風邪か?
いや、それは無いか。
「風邪か?」って聞くと「違うよ!!」と言われ、ポカポカと叩いてくるし。
何故だろう?
しかも鈍感とか言われるし。
他にも、2人だとめちゃくちゃ甘えてくる。
まあ可愛いから良いけど、何回か理性が飛びかけたことがある。
あれは危ない。
いや、冗談抜きで……。
それに中学2年のころから大きくなってきているのだ、アレが。
だから風呂への突入はなんとしても防いでいる。
それを許すと後戻りできない気がする。
その代わりに添寝は許可してあげた。
少し顔を赤くして膨れていたが、渋々了承してくれた。
全てを禁止するといつ暴走するか分からないからな。
まあ、それぐらいが良い落しどころだろう。
それで、納得してくれて本当に良かった。
添寝も結構アレな気もするが……。
まあ、くっ付いて来るのに赤面するという意味の分からない行動をしている。
女って本当に謎が多いな。
意味が分からない。
逆に分かっている事も幾つかある。
ラーナは〈神の恩恵〉を授かる為の儀式を行える事。
その力と莫大な魔力を生まれつき所持していたが為に親に捨てられたそうだ。
その後、優しい人達に拾われて育てられたらしいが、とある組織にその人達を殺され捕まったらしい。
そしてずっと魔法研究の被検体にさせられていた。
実験されてた時に強く自分が助かる事を願った為、儀式が発動し、自らも〈神の恩恵〉を得た。
それと実験を行っていた組織と師匠を殺したテロ組織は同じという事。
それを知った時から、復讐する理由がもう1つ増えた。
ラーナは大切な家族。
ラーナに酷い事をしてたやつなんて絶対に許すわけにはいかない。
〈神の恩恵〉についても教えてくれた。
これを持つ者は体のどこかに刻印が現れ、使用時にはこの刻印が輝く。
俺は左腕に紫色の刻印が、ラーナは背中に白い刻印が在る。
儀式を行うには強い願いが必要らしい。
その時に何を願ったかにより、目覚める力の種類が異なるらしい。
それと属性魔法を使うのに必要な精霊が寄ってこなくなる。
だから俺は無系統魔法しか使えない。
ラーナは〈神の恩恵〉により、擬似的に属性魔法を再現できる。
ただ精霊の力が借りれない為、魔力を普通より多く使ってしまう。
〈神の恩恵〉の副次効果で魔力量が多くならなかったら、直ぐにガス欠になって使えなかっただろう。
俺の能力も同じく体力の魔力を使う。
本来、魔法では再現できない程の力。
いや、人間には再現するなど、到底出来筈も無い力だ。
そんな力を再現しようというのだから、大量の魔力程度の対価で済むのならマシな方だろう。
そして一番大切な事は、儀式を行える者はラーナ以外にも存在するという事。
希少な能力の為、数は少ないが確かに存在するのだ。
そして〈神の恩恵〉を持つ者もまた、俺たち以外にも存在する。
俺たちはこの力を持つ者たちの事を『ギフトユーザー』と呼んでいる。
まったく、俺たちの敵に『ギフトユーザー』がいるかもしれないと思うと気が滅入る……。
* * * *
朝食を作り終えた俺は、ラーナを起こしに来ていた。
2階に上がった俺は自分の部屋に入る。
ベットに目を向けると、カーテンの隙間から零れる光に照らされ、眩しいぐらいに輝く金髪が見えた。
「やっぱり……」と溜息を吐きながら、その金髪の持ち主の顔を覗き込む。
そのこの世に存在するとは思えぬ程に整った顔立ちの寝顔は、元々童顔な事も有り、まるで天使の様に可愛らしかった。
ずっと眺めていたくなる様な寝顔に、一瞬起こさなくてもいいんじゃないかとも思ってしまった。
まあ、今日は高校の入学式なのだからそんな訳にはいかないのだが。
だってラーナは総代だし。
仕方ないので、本当に仕方ないので、俺は心を鬼にしてラーナを起こす事にした。
「ラーナ、朝だぞー。起きないと飯抜きだぞー」
「うぅ~……あと5分……」
ラーナは往生際悪く、布団で顔を隠す。
やっぱり起きてくれないか。
仕方ないので、こちらも切り札を切る。
「さっさと起きろ。添寝禁止にするぞ~」
流石にこれで起きなければ俺にはどうしようもない。
文字通り叩き起こすしか無い訳だが……。
「ダメだよ!?起きます、起きましたから!?そんな事言わないで!?」
ラーナは勢い良く飛び起きた。
ていうか添寝禁止は嫌なのに、飯抜きはいいのか。
「……はぁ。お前はまったく」
本当にため息しか出ないな。
「良いでしょ別に。ソラに抱きついて寝たら落ち着くんだもん。もうソラ無しじゃ生きられない体になっちゃたよ」
最後の部分、少し色っぽいな。
普段は甘えん坊で、子供っぽいイメージが強いが、偶に大人っぽいというか、色っぽい仕草をする時があるから困る。
天然というか何と言うか、コイツの場合は無自覚なのだ。
だからこそというか、ふざけてる訳では無いから反応に困る。
「お前な。もう高校生だろ?もっと自覚を持ってくれ」
「へ?ああ。胸の事?あれはわざとだよ!ってにゃにひゅりゅにょ!?」
これはふざけてるというか、俺をからかってる。
それが分かり、俺はラーナの頬を引っ張った。
「生意気なことすんな。バカが。」
「いひゃいよ~~~!?はにゃして!!」
あまり遊んでると時間が無くなるので、頬から手を離す。
ラーナは頬をプクッと膨らませて文句を言う。
「もうひどいな~。今度からもっと抱きついてやる!!」
「(何それ、超可愛い)……もう一回いっとくか?」
「ごめんなさい!!……うー。」
危ない、一瞬本音が漏れそうになった。
いつも起こすだけでも大変だな。
恨めしそうな瞳で俺を見る彼女の頭に手を置く。
「ほれ。そんなことより下りてメシ食うぞ」
「えへへ。は~い!!」
ラーナは笑顔で返事をした。
こうしてこの長くて不毛な戦いは幕を閉じた。
* * * *
「おいしい!!」
「そりゃどうも」
いつも通りラーナの眩しい笑顔を見つつ、ご飯を口に運ぶ。
「相変わらずおいしいね」
「そりゃ師匠が料理できなくて、ガキの頃から俺が作ってたからな」
俺の言葉を聞いて、ラーナは暗い顔になった。
やっぱりまだ気にしてんのか。
ラーナは天真爛漫という言葉が似合う元気な女の子なのに、何かあると変に抱え込んでしまう所がある。
「気にすんなよ。師匠が死んだのはお前が遅かったからじゃねぇ。本々アイツらの目的に、師匠の排除もあったのは分かってんだろ」
「……うん」
やっぱり、こんなのじゃダメだよな。
一回落ち込むと中々戻らないからな。
「……ったく」
「へ!?」
俺はラーナの横まで移動し、肩を抱いて頭を撫でる。
「お前が落ち込んでるとこを見るのは嫌なんだよ。いつもみたいに可愛い笑顔でいてくれ。じゃないと俺も調子が狂うからさ」
「……うん。そだね、ありがと」
ラーナは顔を真っ赤にしながら、いつもの可愛い笑顔で答えてくれた。
「よし。さっさと食うぞ」
「うん!!」
師匠が死んだのはラーナの所為では決してない、悪いのはアイツらと、あの時に無理を言った俺なのだから。
師匠は俺の所為じゃないって言ってくれてたが、結局の所は俺の実力不足なんだよな。
もっと強くならないとな。
もうこれ以上失わない為にも。
ラーナは俺が護るんだ。
* * * *
学校に行く準備も終わり玄関で靴を履く。
「ラーナお前新入生総代だろ?大丈夫か?」
「うん。昨日の夜に一杯ソラ成分をもらったから大丈夫!!」
「フフ、なんじゃそら。まあ大丈夫ならいいか。よし、行くぞ」
「うん!!」
ラーナは家から飛び出していった。
「まったくそんなに急がなくても」
俺は呆れたような声を出す。
俺たちの戦いは本格的になるだろう。
魔法学校に入ると、多少世間に名が売れてしまうかもしれない。
特にラーナならその可能性は高い。
だが、それは俺たちで話し合って決めた事だ。
いつまでも隠れてる訳にもいかないしな。
アイツらは絶対に手を出してくるはずだ。
ラーナを取り戻す為に。
「師匠、俺は強くなります。ラーナを……大事な人を守れるように。今度こそ、失わない様に。だから見ていてください」
師匠と小さい頃の俺が移ってる写真を見ていると、外から彼女の声が聞こえた。
「ソラ~。速く行こうよ~!!」
「今いく!!行ってきます師匠」
師匠に挨拶をしてから家を出た。
そうこれからだ。
全てこれから始まるんだ!!
「あ!?携帯忘れた!!!」
本当に……………………始まるのか?
なんかかなり長くなってしまったような。
特に最初の説明。
自分で書いたけどなんだ!!
いちゃいちゃしやがって!!
このリア充が!!
マジでリア充もげろ!!
この鈍感野郎!!
すいません取り乱しました。
まあ自分で書きながら、
なんでこんなのになったかは不明です。
書いてて楽しくなってたので。
なんかご飯食べてるとこなんか、
すごい桃色な空間展開してたし。
まあそれはおいといて。
多分次回に親友の宗弥は出てきますね。
あと魔法のこととか日韓魔法対戦のこととか。
どうぞご期待ください!!
誤字や脱字があれば感想で書いてください。
ではまた次回!!
さよなら~~~~~~!!