雫
傾向/過去有りリーマン×男子高校生/悲愛/微裏/年の差
最悪だ。
ガシャン。と、玄関の扉が開いた。
スニーカーの踵を擦りながらあいつは出て行った。
「ごめんな…」
9時間前ーーー
俺のマンションのお隣さんは、男子高校生だ。高校一年生で、一人暮らし。見習いたい程、しっかりしていて、とても、礼儀正しい。それは、今時には珍しい位に。
そんな、彼が、夜遅くに…
「好きっ、です…」
と。
「えっと…、何を、どういう意味、で?」
彼にしては珍しい、主語の抜けた言葉。
しかも、もう夜の9時が過ぎようとしている
俺の、帰りを見計らったように。
「齋藤さん、を、恋愛感情という、意味、で。です」
耳を疑った。
「本気なんです!!俺ん「ちょっ、」
大声でこんな事を言われては困るので、口を塞ぎ、部屋へと連れ込んだ。
「は、ぁのっ」
連れ込んだは、いいものの、どうすればいいのだろう。
健全な男子高校生が、もう30代に突入しているオッサンを好きって…
「俺っ、ずっと、好きで、引っ越して来た時から、ずっと」
本気、なのは見てわかる。
真っ赤な顔とか、涙で潤んだ目とか。
でも、
「じゃあ、抱かれてみろよ。」
「え…?」
突き放さないと。
「俺を、誘ってみなよ」
俺は、どうしようもない人間なんだ。
こいつは、もっと、真っ当な選択ができる。明るい未来が、あるんだ。
「できない、だろ?」
「っ…でき、ます」
泣いてるのに、無理すんなよ。
Yシャツのボタンを外し、俺の唇に自分の唇を重ねた。初々しいキスは、とても、可愛らしく、悲しいモノで、不安、恐怖に震えていた。
「ごめ、なさい…やっぱり「やめんなよ」
唇を離し、俺から目を背けた。
でも、とことん、俺の汚れ、醜さを教え込まないと、また、こいつが傷つくのは目に見えている。だから、
「やだっ、やだぁ!!」
ごめんな。俺みたいなので。
「黙れ」
でも、な。
「や、やああああっ」
俺は、こうするしか、方法は知らないんだ
「煽ったのはお前だろ?翔」
社会のゴミ、汚点、最低の人間。と、言われてきたような奴だ。お前と、付き合って、お前まで汚れるのは、ごめんだ。
「ん、ぁああ、や、だぁっ」
泣かせて、
「わりぃ。」
「は…」
翔が意識を飛ばしたのを確認して、抱きかかえ、浴室に運んだ。
服を全て脱がし、体を洗ってあげた。
綺麗で、傷がほとんど見当たらない。
「さい、と…さん」
つぅ、と、翔の頬を、お湯とは違う雫が流れた気がした。