二次創作の二次創作
駄文ですいません。
「はぁ、なんで俺がこんなこと」
俺は今友人の部屋にいて部屋の中を散策している。
そこに散らばっている友人の私物。
「馬鹿野郎が悲しくなっちまうだろうが」
なぜ俺が友人の部屋を散策せねばならんのだ。
「何で死んじまったんだよ、あの阿呆が」
愚痴を言わねば涙が出そうだったのだ、あいつは俺の目の前でトラックに轢かれそうになっていた幼女をかばって死んだ、本当にアホだ。
「なんで最後の言葉がPCのデータ消しといてなんだよ、もっと他に言うことあるだろうが」
あきれて涙も出ない、おっとこれか?
「あいつパスワードぐらいかけろよ……」
立ち上げるとパスワードの確認もなしに直ぐに立ち上がる。
「こいつのデータを消せばいいんだよな?」
しかし勝手に死んでしまったあいつに少なからず腹を立てていた俺はあいつの消してほしかったデータを見せてもらうことにした。
「エロゲー……ゲーム、RPGツクールもあるな――――うわぁ」
あいつ、小説なんか書いてたのか……しかも題名があいつが俺に進めてきた小説なんだけど……これは見なければよかった。
データを消せと言われたが残念なことにやり方を知らない俺は仕方なく一つ一つゴミ箱で消去することにした。
「ふぅ……これで最後っと」
何ということでしょう、背景は女の子から自然の風景に、デスクトップにはゴミ箱と電子メールとインターネットのアイコンしかありません、履歴はもちろん何もない。
「これであいつも浮かばれるだろう……たぶん」
400GBいっぱいにエロゲーとアニメと自作小説が入ってたら親は引くよな、うん。
パタン、と黒く光沢するパソコンを閉じ、立ち上がる。
一度部屋を見回して……
「消した意味あるのか?」
エロゲーのポスターがでかでかと張られた部屋を後にする――――
「あ、忘れ物した」
消せない時の為にバグを入れたUSBを部屋に忘れてきてしまったようだ、戻らねば。
いったん出た部屋に華麗にターンして戻る、するとさっきは閉じていたはずの黒いパソコンが開いていた。
「あれ?」
疑問に思っている間に、ブゥゥンという起動音とともにパソコンの画面が強い光を発し始める。
「え、ちょ!?」
光の本流は俺をパソコンの画面へと押し流そうとする、あまりの光景に呆けてしまって力が入らない俺はそのままパソコンの画面に引きずり込まれてしまった。
「おぎゃぁおぎゃぁ」
なんですと?
俺は気が付いたら赤ん坊になっていた、あまりに突然すぎて突っ込みもできそうにない。
困惑しているといきなり厳つい顔が目の前に現れて喋りだした。
「お前の名はイリス、イリス・イスフィリア、王国の第一皇女だお前の人生に幸多からんことを願おう」
「えぅー」
「そうかそうか」
いや何も言ってないんですけど。
というより皇女ってことは俺女ですか?
「というか、よくよく考えてみればこの世界あいつの書いた小説の中じゃね?」
自分の広すぎる自室に置いてある机に肘をついて考え込む。
あ、今五歳です、時は吹き飛びましたがそれがなにか?
魔法があるとんでも世界設定に思わず苦笑してしまったが、この世界をあいつ、あのアホな友人の書いた小説とわかるにはかなり時間がかかった。
まず第一に今の自分の名前イリス・イスフィリア、あいつの小説の中だったら嫉妬に狂って魔王と契約した悪い皇女なんだ、これが。
そして第二に五歳離れた妹の存在、彼女は光の巫女という存在で、生まれた当時から全ての存在に愛され、魔力チートのテンプレ的存在、つーか笑ってるお父様なんて初めて見たわ。
そして最後に妹を生んで死んでしまった母親、まあこのぐらいしか判断材料がないから、どうともいえないけど。
「しかし精霊に嫌われる体質だったっけ?自分」
確かそんな設定だった気がする、小説は進められて仕方がなく一度だけ読んだだけなのであまり覚えていない、覚えているのはこのままだと自分は不憫な結果にしかならないということだ。
「まあ自分に限ってそんな失敗はしないと信じたい」
この国はぐらついた棒の上に成り立っているといっても過言ではない、表向きは平和なこの国は裏では腐った貴族や商人がこの国を虫食いだらけにしている。
まあそこらへんは妹が10歳になれば何とかしてくれるから気にしない方針で、今の俺が目指すのはいかに楽して過ごせるだから、どうでもいいわ。
妹が生まれてから父はそちらにかかりっきり、貢物はぱったりと止んで妹へ、教育係も今では週一だ、正直自分の時間が増えるのは嬉しいことだ、妹には精々頑張ってもらうことにしよう。