クラシック・ミニと一緒-06
「うーん……」
ガイア氏は小さく唸っていた。
「ミニのクーパーモデルって、GSRじゃなくて、RSエボなのか……」
ランサーのエボリューションモデルのグレードのこと。公道走行を前提に快適装備を備えたGSRと、競技用ベースモデルのRSの2グレードで展開されている。
「言いえて妙ですね」
僕はニッコリ微笑んだ。
「脚をいじれば……」
ガイア氏は何かを言いたげだ。僕は彼が口を開くのを待った。
「戦闘能力の向上が望めるなぁ……」
「望めますね」
何か悩んでいるみたいだな。
「どうするべかなぁ……」
「どうしたもんでしょうね」
僕はしばらく待ったが、ガイア氏はこれ以上この話題には触れてこなかった。2人がコーヒーを飲む音が響く。
「今後の参考のために聞かせて下さい」
ガイア氏は真剣な様子だ。悪魔の囁き、効いたのかな?
「ネガキャン化にあたって、注意する点ってありますか?」
「パーツのチョイスとしては、街乗りであればピロボール式は避けた方がいいみたいですね。メンテに手間が掛かるし、寿命も短いって聞くし……」
「ふむふむ」
「延長テンションロッドは調整式がベターでしょう。キャスターがズレてるケースが多いらしいですから」
「ズレてるんだ……」
絶句するガイア氏。
「ミニですからねぇ……」
僕は苦笑を浮かべて答えた。あまりほめられたことじゃないけど、事実だ……。
「パーツの取付が終わったら、必ずアライメントを再調整して下さい」
「アライメントですか?」
ポン付けでOKって認識がまかり通ってるなぁ。
「フロントのトー角は再調整しないと、直進安定性に難アリですよ」
「………………」
ガイア氏は考え込んでしまった。
「そうですよね。調整しないとダメですよねぇ」
納得してくれたらしい。追い討ちをかけるようだが、これも言っておかないと。
「あと、リアのトー角。これがズレてる固体は多いらしいです。ちなみに、ウチのもズレてました」
「ズレると?」