クラシック・ミニと一緒-04
「あ、あはは……」
「その青いミニは、ミニとは思えないようなスピードで峠道を走り回っている……ってのも有名なハナシです。あんだけ上手く転がせるんだから、エース級にちがいないって言い出したヤツがいましてね。青いミニ乗りじゃなくて、カッコイイ呼び名を考えようじゃないかと……」
「青いクルマに乗って、エース級だから……ラル大尉!?」
「そうです。言いえて妙でしょ?」
「はぁー」
僕はため息を一つ。
「ランバ・ラルなんて、大それた呼び名は勘弁して欲しいなぁ……」
ランバ・ラル。ファースト・ガンダムに出てくるジオン軍のパイロット。青色のモビルスーツを駆り、ガンダムに挑んだ。
“ザクとは違うのだよ。ザクとは!”……というセリフが有名。
「ご本人がこんなにお若い方だとは、思ってもいませんでしたがね」
僕は苦笑していた。年齢的に、ファースト・ガンダムはダイレクトで視聴していない。再放送を見てハマッタのだ。オジサンは自分を指差し、こう言った。
「あ、自分のことはガイア……と」
「あ、あはは……」
笑うしかなかった。ガイアというのは、ファースト・ガンダムに出てくるジオン軍のパイロットである。愛機は黒色のモビルスーツ。“黒い三連星”というチームのリーダーであり、髭面の大男なのだ。
「よ、よろしく……」
僕たちは握手を交わした。オジサン……ガイア氏は嬉しそうに笑っていた。
「さっきのハナシの続きなんですけどね……」
ガイア氏が話の続きを始めた。
「自分を隣に乗せてもらえますか?」
僕はしばらく思案した。助手席はノーマルシートのままだし、3点式のシートベルトしか付いてないからなぁ。
「別に良いですけど、運転席に比べると条件悪いですよ」
シートとシートベルトがノーマルであることを説明し、危険性の説明を行った。ガイア氏はニッコリ笑ってこう言った。
「ノーマルシートでこの峠を走り回るのは慣れてますからね。全然問題ありませんよ」
僕はクルマに戻り、助手席の荷物を片付けた。
「どうぞ……」
「お邪魔します……」
ここにヒトを乗せるなんて、何年ぶりだろう。基本的に荷物置場だからなぁ。ガイア氏が座ったのを確認し、僕はドアを閉めた。車体を回って運転席へ。バケットシートに潜り込みレース用4点式シートベルトで身体を固定した。エンジンをかけ、クラッチを繋いだ。
↑MS-07・グフ
↑MS-09・ドム
2010/7/13 イラストへのリンクを追加