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後悔

作者: マーク
掲載日:2026/03/06

『判決。地獄行き』


淡々と、告げられた。


私は、少し考えてから言った。


『あの、価値観が人に寄りすぎてる気がするんですけど』


『どういう意味だ』


『いや、その…人の法律で、人を裁くのは分かるんですけど』


『ここ、人の世界じゃないですよね』


『それに。最初から罪を犯さないと生きていけなかった人は、どうなるんですか』


『………』


『それも、同じように裁くんですか』


『…環境がどうであれ、罪は罪だ』


『どんな状況でも、同じ裁量で裁いているということですか?』


『というか、僕が地獄行きなのおかしいでしょ。仮病ぐらい誰でもしますって』


『えぇ…。閻魔様、流石にそれはかわいそうですよ…』


秘書だろうか。

閻魔様の隣に立ってた人が、喋った。


『私も昨日仮病だったし…』


『え?!仮病だったの?!』


『…だって、ずっと立ってるだけで、最近暇ですし』


『…秘書~。なんで今言うのぉ?めんどくさいことになったじゃん』


雰囲気が変わった。


『適当にあしらって、さっさと終わらせたかったのに~』


『それで地獄に行く人は、たまったもんじゃないですよ』


『地獄って言ってもね?ただちょっとだけ労働するだけなの。お願いだから地獄行ってくれない?』


地獄行ってくれない?なんて言葉初めて聞いた。


『君頭良さそうだしさ、数字の管理とかしてくんないかな』


『えぇ…』


いつの間にか面接みたいになってきたぞ。


どうなってんだ。


『残業はないですよ』


秘書さんが言った。

残業ってなに?給料とか出るってこと?


『あー、えっと、見学とか出来ます?』


いろんな質問が湧いたけど、口から出た言葉はこれだった。

なにか、期待していたのかもしれない。


『…案内頼んだ』


閻魔様が、目線を秘書さんの方へ向けながら言った。


『分かりました~』


ということで、案内されることになった。











んだけど、なんというか、めちゃくちゃ普通の仕事場って感じだった。

見た目が鬼っぽい人がいただけだった。


『あの、ここって本当に地獄なんですかね』


『あー…なんというかですね。もう一つの世界みたいなもんです』


『はい?』


『ここは万年人手不足でして。よさげな人材を死んだ人から見繕って、完全に消滅するまで働いてもらってるんです』


『…えっと、騙して働かせてるってことですか?』


気になったのは、そこだった。


『まぁ、場合によりますね。あなたが消滅するまではそうですね…二年ぐらいでしょうか』


二年。それで、僕は消えるらしい。

なんだか、それぐらいがちょうどいいと思った。


『通貨は同じようなものですし、街あるので、お金を使う場所もあります。休みについては…そうですね。希望によりますかね。なるべく叶えますけど』


『働かないと、どうなるんです?』


『今、消えます』


『え』


『そういうものなんですよ。まぁ、途中で辞めたかったらやめれますし、とりあえずやってみればいいんじゃないですかね』


『死んだあとまで働きたくないんですけど』


『まぁまぁ、とりあえずやってみましょうよ』


『あー…そう…ですか?』


『はい!てことで、戻りましょ!』








『どうだった』


閻魔様が聞く。

あれ?閻魔様なのか?


『とりあえず、やってみることにしました』


『おお!じゃあ、契約内容を決めよう。…秘書~』


『…はいはい』




契約内容を決めた。

トントン拍子だった。


『週休三日、残業なし、一日七時間労働。これでいいですか?』


『え。逆にいいんですか』


『はい。ここで納得されずに消えちゃう方が、私たちにとって損害なので』


『あー。確かに』


すごく、納得がいった。


『住む場所については、後で案内しますから』


『わかりました』


『それじゃ、契約成立ということで』


秘書さんが紙を出した。


『別の契約の仕方もあるんですけど、こっちのが分かりやすいと思うので』


名前を書けばいいみたいだ。


一応、読む。


そうした方がいい気がした。


『はい。ありがとうございます』


『これで正式に、こちらの住人ですね』


『…実感ないですね』


『そんなもんですよ』


『さて、今日はもう休みましょう。家、案内しますよ』


久しぶりに休める気がした。







『終わりましたー』


『お疲れ様』


『はい。最後の願いがホワイト企業で働きたい。だなんて、変な人ですね』


『彼らしいんじゃないかな。…願いってのは、創造力で決まる。彼の世界には、それが眩しく見えたんだよ』


『…もっと、こう、ありません?』


『私たちが、彼の決めたことをとやかく言っちゃいけないさ。君は、最後の願いと言われたら、なにがいい?』


『そうですね…私の最後の願いは、家族で過ごすことでしょうか』


『素敵だね。私は…たくさん感謝されたいかな』



地獄なんてあってたまるかってんだ。


私は、最後に何を願うかな。

…何も思い浮かばないかも。


最近喋ると全部倒置法になっちゃうんだけど。

助けて。

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