8.冒険者ギルド
王立第二学園に通い始めて最初の休日、俺は王都の中央区にある「冒険者ギルド」を訪れた。
石造りの堂々とした建物。内部からは酒場さながらの喧騒が漏れている。
鎧に身を包んだ戦士、杖を抱えた魔術師、軽装の斥候……人種も装備もまちまちだ。
(これが冒険者ギルドか……さて、登録とやらを済ませてみるか)
カウンターに近づくと、若い女性がにこやかに迎えてくれた。
「いらっしゃいませ。冒険者登録でしょうか?」
「はい。冒険者の活動を始めたいと思いまして」
「かしこまりました。まずは冒険者ギルドの制度を簡単にご説明しますね」
「依頼は討伐、採集、護衛、探索などさまざまです。難易度に応じてFからSまでランクが定められていて、冒険者も同様にFランクから昇格していきます。実績を積み、審査に合格すれば上位ランクへと進める仕組みです」
そう説明しながら、受付嬢は掲示板を指さす。羊皮紙に書かれた依頼書がびっしり貼られていた。
「初心者の方には、薬草採集やゴブリン程度の小型魔獣討伐をお勧めしています」
(なるほど。……一応、この人を鑑定しておくか)
【マリーナ】
年齢:23歳
身長:165cm
体重:53kg
スリーサイズ:B87(D)/W62/H89
誕生日:夏の月・第2週・6日目
血液型:A型
職業:冒険者ギルド受付嬢
学歴:なし
魔力量:41/41
攻撃力:6
防御力:8
俊敏:10
魅力:18
好感度:0
(なるほど、Dか……それと、攻撃力や防御力は低いが、魔力量はそれなりにあるな)
マリーナはにこやかに説明を続ける。
「また、冒険者カードが身分証明を兼ねます。登録には名と年齢、職業、得意とする技を記載する必要がありますが……」
俺は軽く頭を下げて答えた。
「バルトシュタイン家のアレン。騎士爵家の嫡男だが、得意なのは剣術と魔法です」
マリーナは目を丸くする。
「……騎士爵家の御子息が、冒険者に?」
「鍛錬の一環で……」
彼女は納得したように頷き、手続きを進めてくれた。
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登録を終えた俺がホールを出ようとすると、不意に声をかけられた。
「おい坊主、ずいぶん偉そうにしてやがったな」
振り返ると、ガラの悪そうな三人組が立ちふさがっていた。
見るからにチンピラといった風情。
念のため、鑑定を発動する。
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【ドルフ】
年齢:29歳
身長:183cm
体重:92kg
誕生日:秋の月・第3週・2日目
血液型:B型
職業:冒険者(Eランク)
魔力量:12/12
攻撃力:28
防御力:19
俊敏:14
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【バルド】
年齢:24歳
身長:176cm
体重:77kg
誕生日:夏の月・第1週・5日目
血液型:O型
職業:冒険者(Fランク)
魔力量:8/8
攻撃力:21
防御力:13
俊敏:15
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【ギルス】
年齢:25歳
身長:174cm
体重:70kg
誕生日:冬の月・第4週・7日目
血液型:A型
職業:冒険者(Fランク)
魔力量:9/9
攻撃力:19
防御力:12
俊敏:14
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(ふむ、俺の攻撃力はすでに40を超えている。全員まとめて来られても問題ないな)
ドルフがニヤリと笑った。
「ガキのくせに“騎士爵家”だぁ? そんな肩書きここじゃ通用しねぇぞ」
バルドが腕を鳴らす。
「ちょっと痛い目見せてやるか」
ギルスが取り巻きのように笑う。
「いい酒代になりそうだ」
俺は小さく息をつき、腰に差した木剣を抜いた。
「やめておいた方がいいぞ」
「なにぃ?」
次の瞬間、身体強化を発動し、地を蹴った。
俺の姿が一瞬で三人の懐に入り、木剣が閃いた。
ドンッ!
衝撃音が響き、ドルフの巨体が吹き飛んで床に転がる。
続けてバルドとギルスの武器を弾き飛ばし、軽く背中を打ち据えると、二人も悲鳴を上げて尻餅をついた。
ホールにいた冒険者たちが一斉にざわめく。
「な、なんだあの速さ……!」
「子供に負けたぞ、あのドルフが!」
俺は木剣を納め、冷ややかに言い放つ。
「冒険者になるのは自由だが、くだらない喧嘩を売るならその前に実力を磨け」
三人は顔を真っ青にして立ち上がり、逃げるようにギルドを後にした。
⸻
マリーナが慌ててやって来る。
「アレン様、大丈夫ですか!?」
「問題ありませんよ。怪我を負わせてませんから」
「……それにしても、あの三人を一瞬で……」
驚きと畏敬の入り混じった視線。
俺は小さく息を吐き、心の中で思った。
(これでようやく、冒険者としての一歩を踏み出せるな)




