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5.特訓!

翌朝、俺は目を覚ますと同時にベッドから飛び起きた。

昨日、クラリスとのやり取りで「創造ポイント」が増えることを確認したばかりだ。

まだ仕組みの全貌は分からないが、クラリスが喜ぶと共に数値が上がったことは間違いない。


(今日も試してみるか……)


そんなことを考えていると、窓の外から元気な声が聞こえた。


「アレン様ー! お散歩に行きましょう!」


声の主はもちろんクラリス。俺は慌てて服を整えて庭へ向かった。


「アレン様、今日は森の奥まで行ってみませんか?」


「森って……危ないんじゃないか?」


「大丈夫です、私が一緒ですから!」


(いや、俺が守る立場だろ……)


苦笑しつつも、俺はクラリスの差し出した手を取った。柔らかい小さな手。たったそれだけで、クラリスの頬が赤く染まる。


【創造ポイント:+1】


森の中で咲いていた小さな花を摘み取り、クラリスの髪に挿してやると、彼女はさらに目を輝かせた。


「アレン様、私、本当にお姫様になったみたいです!」


「似合ってるよ。可愛いお姫様だ」


【創造ポイント:+1】


俺は平静を装ったが、胸の奥で妙な感覚が芽生えていた。

(……こうやって、クラリスが喜ぶたびにポイントが増えているのか?)



夜、父のガルドと庭に出る。木剣を握り、基本の素振りから始めた。


「振れ! もっと速く、もっと強く!」


「はっ!」


何百回も木剣を振り続ける俺を見て、父の目が細くなる。


「……三歳児がここまでやるとはな」


さらに翌日、木の切り株を持ち上げてみせると、父は思わず息を呑んだ。


「おい、アレン……。それ、本来は大人の兵士でも一人じゃ無理だぞ」


(バレるわけにはいかない……。身体強化をこっそり使っただけだ)


俺は知らぬ顔で笑ってみせた。



ある日、俺は前世の知識を活かし、簡単な絵本を作ってクラリスに渡した。


「わぁ……アレン様が描いたのですか?」


「まあな。クラリスにプレゼントだ」


クラリスは絵本を胸に抱きしめ、瞳を潤ませた。


「大切にします……!」


【創造ポイント:+2】


(……確信した。このポイントは、クラリスの“心”と繋がっている)



父との特訓に加え、創造ポイントを稼いで毎晩意識をなくすまで魔法を使うことで、かなり強くなったと思うが、世の中、脳筋な父の言うように「力が全て」なんてことはない。


母から学問を教わるのも大切な時間だ。

彼女は、地理や歴史、文学などの基礎的な教養を身に付けさせてくれる。


それだけでなく、貴族としての礼儀や人前での立ち振る舞いを丁寧に叩き込んでくださる。


(礼儀作法を教える母は、美女ではなく鬼にみえる)


こうして、剣術、魔法、学問をひたすら鍛え、五歳になった。



【アレン・バルトシュタイン】

年齢:5歳

身長:110cm

体重:19kg

誕生日:春の月・第1週・3日目

血液型:A型

職業:騎士爵家嫡男

学歴:家庭教育


魔力量:210/210

攻撃力:62

防御力:54

俊敏:71

魅力:35


――所持スキル――

・鑑定 ユニークスキル

・創造魔法 ユニークスキル

・鑑定 オリジナルスキル

・創造魔法 オリジナルスキル

・ライト

・ファイアボール

・ウォーターボール

・クリーン

・収納

・ヒール

・身体強化

・基礎剣術Lv2

・基礎体術Lv2

・礼儀作法Lv1

・読解力Lv1


――特殊項目――

・創造ポイント所持数:26



ある日、庭に面した中庭で、俺はクラリスと追いかけっこをしていた。

木々の間を駆け抜けるクラリスの笑い声が響く。

俺も年相応に走り回るのは嫌いじゃない。

むしろ身体強化で一気に追いつく瞬間のクラリスの驚いた顔が楽しくて仕方がなかった。


だが、その日――つい、やりすぎた。


「クラリス、危ない!」


足元の石に気づかず転びかけたクラリスが怪我をしてしまった。


俺は反射的に魔法を放った。


「〈ヒール〉!」


淡い光がクラリスの足を包み、すりむいた膝が瞬く間にふさがっていく。

クラリスは呆然と俺を見上げ、やがて嬉しそうに微笑んだ。


「アレン様……魔法まで使えるなんて……!」


その笑顔に俺は安心した――が。


「……今の、魔法じゃないか?」


振り返ると、庭師の一人が茂みの陰から目を丸くしてこちらを見ていた。


(……しまった!)


「御曹司が、まだ幼いのに魔法を使った」という話は瞬く間にひろがった。


その日の夕餉の前、食卓で父のガルドが厳しい顔をして俺に問いかける。


「アレン……本当なのか?」


「……はい。俺、魔法が使えます」


正直に告白すると、母エリナは驚きつつも息を呑むように手を口元に当てた。


「まさか……。アレン、あなたは……」


父はしばらく黙り込み、やがて腕を組んだ。


「本来ならお前は、グラナート騎士学校に入れて剣を学ばせるつもりだった。だが……魔法が使えるとなれば話は別だ」


母が心配そうに俺の顔をのぞき込む。


「王都の学園なら……魔法と剣術、どちらも学べるわ。でも、そこには各地の子女が集まってくる。身分も価値観も違う子たちと肩を並べることになるのよ」


「……危険も多い、ということですか?」


俺の問いに、父は低くうなずく。


「そうだ。剣だけを学ぶなら騎士学校で十分だが、王都の学園では魔法を学べる代わりに、人間関係も複雑になる。だが……」


父は俺を真っ直ぐに見据えた。


「お前が本当に魔法を使えるなら、その力を埋もれさせるのは惜しい。アレン、お前は王都で学ぶべきだ」



その夜。


自室で一人、俺はベッドに腰掛けながら自分の手のひらを見つめていた。

火も水も光も生み出せる。治癒さえも可能だ。五歳の子供にしては、いや、成人でもここまで使える者は稀だろう。


(……あの時、クラリスを守るために魔法を使ったのは間違いじゃない。でも、こうして大ごとになるとはな)


小さくため息をついた時、部屋のドアがノックされた。


「アレン様……」


声の主はクラリスだった。


「どうした?」


「その……今日のこと、私のせいでこんなことになってごめんなさい」


「そんなことないよ。クラリスは悪くない」


俺は微笑んでそう答える。


クラリスは少しほっとしたように笑い、続けて言った。


「でも……アレン様が学園に行ってしまうと、離れ離れですね」


その瞳には寂しさがにじんでいた。


「……クラリス」


言葉に詰まる。


「俺がいなくても、クラリスなら大丈夫だ」


クラリスは寂しそうな表情をみせたが、しかし強く頷いた。


「はい。……アレン様が立派になって戻ってきてくださるのを、待っています」



(……そうだ。王都の学園で、もっと強くなろう)


俺はこの世界で成り上がるために、更に突き進もうと決心した。

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