へんてこ とざんたい 3(くのじ山と へんてこなにもつ)
「へんてこ とざんたい」の3話目です。
へんてこ とざんたいは、 その名の とおり、 へんてこな 山のぼりをする とざんたいです。
こんかいは、 へんてこな にもつをもって のぼるようです。
さてさて、 どうなるのかな?
きのうまで ふっていた あめも あがり、 きょうは いいおてんきです。
6がつの ある日の あさ、 くのじ山の ふもとに へんてこ とざんたいが あつまっていました。
くのじ山は、 とおくから みると、 ひらがなの くのじのように みえる 山です。 たかさは 1000メートルです。
「うーん、 おやつは やかんに いれて、 すいとうは すいはんきに いれようかな?」
大きな やかんと すいはんきを 目のまえにして なやんでいるのは、 たいちょうの オカヤマさんです。
すもうファンの おじさんで、 ポケットが いっぱい ついた ベストを きています。
「よいしょっと。 ねえ クロロくん、 ちょっと てつだってよ」
じぶんの しんちょうよりも 大きな ふでを かかえているのは、 たいいんの ウサギの コミミ。
うたうのが すきな おねえさんで、 きみどりいろの シャツを きています。
「ああ、 はいはい。 こんなに 大きな ふでを もっていくんですか?」
コミミが 大きな ふでを せおうのを てつだっているのは、 ネコの クロロ。
ねずみいろの カッパを きています。
やきゅうが とくいな おにいさんで、 きょうは でんしレンジを もっていくようです。 なかには コロッケが 10こも はいっています。
「ぶふふ。 ぼくは これだよ」
ちいさな せんぷきを もっているのは、 ブタの ブートン。
くいしんぼうな わかい おとうさんで、 あおい ズボンを はいています。
「よし、おやつは やかんに いれて、すいとうは すいはんきに いれよう」
オカヤマさんが、うんうんと うなずいたときです。
へんてこ とざんたいの そばを これまた へんてこな ひとが とおりすぎていきました。
あおい ぼうしを かぶった おじさんと おばさんです。
おじさんは、くびから かばんを さげ、 『しらんぷりちゃん』と かかれた かんばんを せおっています。
手には 大きな サイコロを もっています。
おばさんは、りょうてに うんちの ぬいぐるみを もっていて、かいものかごを せおっています。
ふたりは、そのまま 山へ はいっていきました。
ふたりをみて、 ちょっと おどろいた へんてこ とざんたいでしたが、 すぐに きをとりなおしました。
「なかなかの へんてこだったな」
「ええ、 でも、 わたしたちだって まけてないわ」
「そうですよ。 さあ、 ぼくたちも いきましょう」
「そうだブー。 しゅっぱつだブー」
へんてこ とざんたいも あるきはじめました。
「ははは、 こんな 大きな やかんと すいはんきで 山のぼりを するなんて、 われながら へんてこだ」
にこにこしながら、 オカヤマさんが のぼります。
「よいしょ、 よいしょ。 これを みたら みんな おどろくわ。 『えーっ? おっきい おっきい おっきいわー!」てね。 うふふ」
うたうように いいながら、 コミミは のぼります。
「ほい、 ほい、 ほい。 山では でんしレンジは つかえません。 だから へんてこ とざんたい」
クロロは、 かたてで でんしレンジを もちあげます。
「よしよし せんぷうきちゃん、 のぼりますよー」
まるで あかちゃんを だっこするように、 ブートンは せんぷきを かかえて のぼります。
しばらくいくと、 くろい ぼうしを かぶった おじさんに であいました。 がいこくじんの ようです。
「ワオ!」
へんてこ とざんたいをみて、 おじさんが りょうてを ひろげ、 おどろいています。
「やあやあやあ。 われわれは へんてこ とざんたいです。 へんてこな にもつをもって 山のぼりを したくて やってきたんです。 おさきに しつれいします」
おじさんの じゃまに ならないように そっと とおりすぎ、 4にんは あるきつづけました。
へんてこな にもつをもって 山のぼりを しても、 ほかの ひとに めいわくをかけない――。
それが へんてこ とざんたいの きまりです。
4にんは、 じゅんちょうに 山を のぼりつづけました。 けれど、 だんだんと みちが けわしくなるにつれ、 いきが あがってきました。
「はあ、 はあ……。 やかんと すいはんきを もちつづけるのも らくじゃないなあ」
オカヤマさんが、 くるしそうな かおを しています。
「うう、 この 大きな ふで、 おもったよりも おもいわ」
コミミも かおを しかめています。
「ふう、 でんしレンジも ずっと もっていると、 うでが つかれるな」
クロロも ときおり うでをふって つかれを とっています。
「ブーヒー。 せんぷうき おもいブー」
ブートンは なきそうな かおです。
けれど、 こんなことで へこたれる へんてこ とざんたいでは ありません。
いままで なんども へんてこな 山のぼりを してきました。
とちゅうで あきらめたことなど いちども ありません。
「みんな、 だいじょうぶか? ここが がんばりどころだぞ」
オカヤマさんが そういったとき、 だれかが 山みちを くだってくるのが みえました。
それは、 ふもとで みかけた あの へんてこな おじさんと おばさんでした。
おじさんが、 おばさんを おぶっています。
どうやら おばさんが ひざを いためてしまい、 山のぼりが できなくなったようです。
しかたなく にもつを おいて、 かえるところだと、 おじさんが はなしてくれました。
4にんが しばらく 山みちを いくと、 さっきの おじさんたちの にもつが ありました。
「たいちょう、 これ どうします?」
クロロが、 サイコロを ひろいました。
「このまま おいておくのは よくないわ。 ほかの ひとの じゃまに なりそう」
コミミも うんちの ぬいぐるみを ひろいます。
「へんてこな かんばんだブー」
ブートンは、 『しらんぷりちゃん』という かんばんを おこしました。
オカヤマさんは、 しばらく うでをくんで かんがえていましたが……。
「よし、 われわれが もっていこう」
と ちからづよく いいました。
クロロたちも おなじ かんがえだったらしく、 3にんとも うんと うなずきました。
オカヤマさんが、 かんばんを せおいます。
コミミは うんちの ぬいぐるみをもち、 クロロは 大きな サイコロを もちました。
ブートンは、 かいものかごを かぶります。
おたがいをみて、 4にんは にこっと わらいました。
「さらに へんてこに なったな」
「はい! まるで スーパーへんてこ とざんたいに なった きぶんだわ!」
「ははは、 さっきまでの つかれも ふきとびましたよ」
「ちょっと まえが みにくいけど、 がんばるブー」
さあ、 スーパーへんてこ とざんたいの しゅっぱつです。
ほそい がけをとおり、 きゅうな いわの かいだんを のぼり、 へんてこ とざんたいは あるきつづけました。
にもつが ふえたせいで、 4にんとも さらに つかれが たまってきました。
「がんばれ、 がんばれ」
「もうすこし、 もうすこし」
「ファイト、 ファイト!」
「ブーヒー、 ブーヒー」
おたがいに こえを かけあいながら、 へんてこ とざんたいは のぼりつづけました。 そして――。
4にんは、 ついに ちょうじょうへ たどりついたのです。
たいちょう、 コミミ、 クロロ、 そして ブートン。 4にんは、 だきあって よろこびあいました。
くのじ山の ちょうじょうは せまく、 たたみ 1まいぶんの ひろさしか ありません。
4にんは そこに たって、 そらを みあげていました。
「のぼりきったな」
オカヤマさんが、 にっこりしながら うなずきました。
「はい。 くるしかったけど、 いまは さいこうの きぶんです」
コミミも ほほえんでいます。
「へんてこ とざんたい、 くのじ山も せいは!」
クロロは、 そらにむかって こぶしを つきあげました。
「きょうの おにぎりは、 いつもより おいおしいブー」
ブートンは、 もう おにぎりを ほおばっています。
オカヤマさんが、 ポンと 手を たたきました。
「よし、 ここは せまい。 とちゅうに もうちょっと ひろい ばしょが あっただろ? そこまで おりて、 ごはんにしよう」
「そうね。 はやく いきましょう」
「そうだ、 ぼくの コロッケを たべながら おりませんか?」
「たべるブー」
あははと わらいあいながら、 へんてこ とざんたいの 4にんは、 山を くだって いきましたとさ。
きょうの おべんとうは、 のりまきも たまごやきも ウインナーも ぜーんぶ くのじがた だったということです。
おしまい
読んでくれてありがとう。




