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古の水底

万物には神が宿る。そう言い始めたのは誰だろうか。唯一神か多数神かそれを知る者は人にはいない。水の国エレイフル、謎の存在、神を崇める神教の聖地は神の加護を受け今日も煌びやかに繁栄していた。


「随分復興したなあ」


「空気が懐かしいね」


建築の音はそこかしこから聞こえ未だ完全には直っていない事を知らせるが、確実に、1歩ずつ復興へ進んでいるのだ。トンカチが釘を打つ度に先へ進み、活気も溢れてゆく。

街中を歩きながら海を目指す、磯の香りがナダル達の鼻腔をくすぐった。


「海といえば海鮮丼だよなあ、魚の刺身なんて滅多に食えるもんじゃないけど」


「ご主人様ったらタコが苦手なんですよ。まあゲテモノなので私も好きではありませんけれど」


「ははは、まあ抵抗意識は誰でもありますよね・・・いやでもリアンさんはタコもイカも大好物だったな」


水属性に関係する人間は総じてゲテモノと形容される食物を食べることに抵抗がない事が知られている。リアンはその中でも群を抜いて抵抗が無いのでそういった人達でも拒否反応を示すムカデだろうとカエルだろうと食べてしまうが、基本的にはエレイフルの人間もリアンと似たような感じなのだ。


「食事なんぞみな嗜好品じゃろうて。さてウンディーネ、海底神殿には行けるか?」


「いける。そっちの準備できてはるなら、今すぐにでも」


「じゃ行くか!」


ウンディーネの魔法を受け海に飛び込む。シーサーペントを討った後海に落ちた感覚とは違い、浮遊感のようなものがナダルを包んだ。少し沈んだ所で止めていた呼吸が限界に近づき、息を吐いてしまう。しかし窒息はせず地上にいるかのような呼吸が可能であった。


「おっお、こりゃいいや」


「水中で喋れますよ!素晴らしいです!」


移動は少し遅いが飛翔の要領に近い、慣らしに身体や剣を振ると陸上よりも動作が重い事が分かった。空気と水の密度の違いにより抵抗が生まれているようだ


「戦闘はちょっと面倒か・・・?」


「ほれ、そこにケルピーが1匹おる。試しにぶっ殺してやるのじゃ」


「血の気が荒すぎるだろ、まあ驚異になるし処理はしとくか」


角を生やした青い馬、ケルピーが水中にいるナダル達に向かって突撃してきているのが分かる。ナダルは剣を構えゆっくりとケルピーに向けて移動した。


「流石に地上みたいな激しいな動きは無理か・・・」


「ブルルルァァァ!」


「しゃあ!来い!」


ケルピーは速く、比較にもならない速度で突撃を連発してくる。ナダルには容易に回避できるであろうその連撃は、水中戦というデバフにより回避困難になっていた。


(これは・・・想像以上だ・・・!)


ケルピーの突撃に合わせカウンターを振る。しかし動作が遅れ、左上に角が突き刺さった。


「ぐっ・・・!はあああ!!」


角が刺さったことによって動きを止めたケルピーの脳天に剣を突き刺す。ケルピーは叫んだ後角を折って脱出。しかし痛みであちらこちらを暴れ回り、頭に空いた穴から色々な汁を放出させて海に沈んでいった。

ナダルも同じく腕に空いた穴から血を放出させる。失血は少量であっても魔法使いにとって致命的すぎるため、ナダルは角を引き抜いた後腕を抑え失血量を減らす。


「大丈夫!?今治してあげるからね」


「すまん、地上に戻ったらいっぱい飯食おうな」


ユイレの回復魔法を受けながら、海底神殿へ向かう。見えてきた海底神殿はかなり深部にありラザリエは水圧や減圧症を気にしていたが、ウンディーネが諸々の説明をして納得した様子だ。


「ウンディーネの魔法と失血でちょっと血使いすぎたかな・・・シルフ、俺はあと何発使える?」


(風属性なら補助12、下級8、上級5かな)


(・・・あれ?水中での魔法ってどうなるんだ?)


海底神殿入口についた四人は入口の鉄扉で立ち往生する。扉は非常に重く、ナダルとリルの二人がかりで押しても開かなかった。

リルが扉に向かって暴言を吐いているのを見ながらなんとか開ける方法が無いかを考える。ラザリエとユイレが扉開けに加わった所で焼け石に水なため、現状では手の施しようが無かった。


「くそが!あのかす陰きゃが!余を苛立たせおって!」


「落ち着けって、暴れたってどうにもならないぞ」


座って精霊と壁破壊ができないか相談しているとモンスターの気配を感知する。一匹二匹ではない、数十匹は軽くいるようだ。


「移動中に引き連れちまってたのか?ユイレ、下がってな」


「ふむ、良いことを思いついたぞ。あの大群を扉にぶつけて扉を開く」


「そんな事できるのですか?」


「余に任せよ」


リルに全面的に任せ、ナダルとラザリエはユイレの保護に回る。リルはスイスイと移動してモンスターの大群を引き連れててゆき、その光景はさながら魚の大群のようだ。


「突撃準備じゃ!ゆくぞ!」


リルは速度を上げ扉に突撃する。それに続いてモンスター達も扉に突撃し、鉄扉はその勢いに負け屋内へ吹き飛んだ。ナダルとラザリエははユイレを抱えながら海底神殿へ侵入し、モンスターの群れを片付ける。ラザリエのアサルトライフルは魔法の影響もあってか水中でもしっかりと使用可能であり、射程距離はかなり短いものの殲滅には十分役立った。


「よっしゃ!行くぞ!」


ナダル達は意気揚々と海底神殿の探索を開始する。ここからが本当の冒険の始まりだ。

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