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夜の支配者

 暗い森をランタンを持った1人の人間が進んでいく。

 夜の静けさはどこか不安を感じる。


(この辺のヴァンパイアはスパルトイを操ってくるんだよねぇ、っと早速なんか来たね)


 地面が盛り上がり緑色に変色した人間の腐乱死体が現れる。手には剣を持ち元が冒険者であったことを示している。


 ナダルは一瞬で距離を詰めて武器を弾き二振り目で首をはねた、ゾンビは一体一体はかなり弱いが、仲間を呼ばれて増えるとかなり厄介なので効率が命だ。


(ナダル、正直魔法使いより魔剣士のが向いてるよ。なんで魔法使いやってたの?)


「魔法使いってなんかこう、カッコイイだろ!?下手の横好きってやつだよ」


(いやまあ別に魔法使いとして下手じゃないっていうか普通に超強いんだけどね、魔剣士としての才能がずば抜けてるというかさ)


 その後もゾンビとスパルトイを倒しながらヴァンパイアの住む屋敷へ向かう。

 やがて黒い壁の屋敷が見えてきた。


「ここだな、入るか」


 扉を切断し侵入する。中は掃除が行き届いているようで妙に小綺麗だった。

 玄関ホールは広く目の前から2階が続いており、左右は別の部屋に繋がっている。


「招かれざる客が来たみたいですね」


 男の声を聞いた瞬間ナダルは戦闘態勢を取る。黒マントを羽織った顔立ちのいい長身の男が天井からぶら下がっていた。男は姿を消し、階段の上に出現する。


(あいつヴァンパイアじゃない。ヴァンパイアより上の存在だ)


(さしずめ、ヴァンパイアロードはんどすね)


「1、2、3、4・・・ふむ、4人ですか。うち四大精霊が3人、人間は武器持ち。相手取るには面倒ですね。お前達、歓迎してあげなさい」


 地面から大量のスパルトイが染み出してくる。ヴァンパイアロードはナダルに一礼すると、どこかに消え去っていった。

 残されたスパルトイ達は骨をカタカタと鳴らしながらナダルを襲う。


「せいやっ!」


 スパルトイを薙ぎ払いながら2階への道をこじ開ける。しかし階段は謎の力で封鎖され階層を上がる事はできなかった。

 仕方なく右の部屋へ目的を変え、増えたスパルトイを倒しながら扉を開いた。


 スパルトイの侵入を防ぐため扉を閉める、暗闇に目が慣れた頃、ぼんやりと白っぽいもやがいくつかふよふよ浮いているのが見えた。


(ゴーストどすなあ、ちょい邪魔くさいやっちゃね)


「とりあえず斬る!」


 ゴーストに飛びつき剣を振るう。が、剣はゴーストの体をすり抜けてしまった。物理攻撃は効かないようだ。


 ゴーストはナダルを認識すると、無言でレーザービームを放ってきた。

 存在していたゴーストが全てナダルの方を向きレーザービームを放つ。


「うおっぶね、おっと。どう倒すんだあいつ」


(水魔法使いや)


「よし、湧水!」


 水が湧き部屋中を破壊しながら幽霊に襲いかかる。水が消えた時地面に真っ黒いスライムのような物が落ちていた。


(溶けたゴーストだよ。食べれるって昔人間が言ってた)


「本当か?あ、美味しい」


 荷物に幽霊を突っ込むとノームが叫びながら飛び起きた、ビクンビクンと痙攣しながら地面に這い蹲る。


「わ、私の特等席が、あ、おはようございます」


「ノーム、アンタ何しはっとるの」


 ウンディーネが現れノームの表情が真っ青になる。ウンディーネは素晴らしい笑顔だ。


「聞いたよ、人様の土の国は科学が発展してるって、頑張りはったねえノーム」


「す、すいません・・・でも見つかりましたので・・・」


(なあシルフ、ノームとウンディーネって仲悪いのか?)


(ウンディーネちゃんは皮肉屋だからねぇ、ノームちゃんにも火精霊のサラマンダーちゃんにもあんな感じだよ)


「ちょいとはシルフを見習いや、どうせあの子もシルフが先に見つけはったんやろ」


「おっしゃる通りです・・・面目ないです・・・」


 ウンディーネがノームを締め上げ終わり、先へ進む。次の部屋に紫色の光る玉を見つけた。

 ノームが玉に触れて解析した。


「魔力を感じます、破壊すれば二階へ上がれるかもしれません」


「じゃあ壊すか」


 剣を振り下ろすとガキィィン!と音がして弾かれる。とてつもない硬度だ。


「これ、風魔法を吸収できるみたいです。その剣も風魔法の力を帯びているから通じないのでしょう」


 それならばと土魔法と水魔法を放つがまったく歯が立たない、血の無駄であった。

 どうするかとナダルが座り込んで考えているとシルフが玉に触れた。


「こんなもの作られちゃ風精霊の名前が廃るってものだよね、ボクがぶっ壊す」


 シルフの言葉にウンディーネとノームが止めに入るが、シルフは聞かず魔法の準備を始める。

 玉はシルフの魔力に反応し光を強めた。


「狂風っ!!」


 玉の光量が更に増す、吸収すればするほど光が強くなっていき、ついに目を開けていられないほどの強さになった。


「狂風!狂風!狂風!」


「熱い!光が熱い!」


「いけない、伏せてくだい!」


 ナダルはノームの声で突き動かされるように伏せる、シルフは声を張り上げついに上位魔法を放ち始めた。


「疾風ぅぅ・・・怒濤!!」


 玉はついに限界を迎え粉々に砕け散る。それでも疾風怒濤の勢いは衰えず建物の壁に穴を開け屋敷の右半分が消し飛んだ。


「なんですかこの騒ぎは!」


 ヴァンパイアロードが破壊された二階から覗いている。シルフを見ると怒りの表情になり発狂しながら叫んだ。


「シルフゥゥゥゥ!!貴様だけは許さん!!この私が直々に叩きのめす!!」


「血を吸うだけの能無し如きがボクを叩きのめすなんて随分大層な口を聞くね。だいたいあんな物作っておいて破壊されないだなんて思うなよ!」


 ヴァンパイアは姿を消し、剣を持って1階に姿を現した。

 その剣を抜刀の構えにして大きく踏み込み、目にも止まらぬ速度でシルフに突撃する。


「疾風迅雷ィッ!」


 雷鳴が鳴り響き、シルフの上半身と下半身が切断される。その体はもやとなって消え、完全に見えなくなった。


「どこ狙ってるのさ!威風!」


 ヴァンパイアロードの背後、シルフが威風を叩き込みヴァンパイアロードの胴体に風穴が空く。

 血が飛び散り、地面を赤く染め上げた。


「ウチらに介入できるもんじゃないわ。ナダルはん、逃げはりますよ」


 ヴァンパイアの身体はすぐに再生し肉でシルフを捉える。シルフもすぐに肉を破壊し、後ろに下がった。


「逃がさんぞ!威風!」


「わぁぁ!?」


 シルフが吹き飛び残っていた家の壁に叩きつけられる。それを見のがさずヴァンパイアロードは剣を構え斬り付けにかかった。


「死ねッ!」


「かっ鎌鼬!」


 何度も何度も交錯する魔法。木々は崩壊し、月明かりが地面を照らした。高く飛翔し2人の争いは空中戦へと移行する。

 数多の風が極夜の森上空を行き来する。ナダル達はそれを見ている事しかできない。


「疾風迅雷!」


「がはぁ!?」


「すげえな、いつ終わるんだあれ」


「シルフは回復で実質不死身、ヴァンパイアロードは不死身、決勝つかんねぇ」


 2人が地面に降り立つ。


「「鎌鼬ッ!」」


 鎌鼬の相殺が起こる。2人はまた飛翔し空中戦第二ラウンドが開始する。


「できました、魔法吸収装置。長いのでこれと鉄鎖でヴァンパイアロードを川に括りつけます」


「たまにはノームも役に立ちはりますなぁ、今日が毎日続けばええんにねえ」


 ノームが鉄鎖で空中にいるヴァンパイアロードを捉え川まで引きずって行く。

 シルフも息切れさせながらナダルの頭の上に倒れ込んだ。


「やめろ!何する気だ!」


「川底に括りつけます。ヴァンパイアの弱点は流水、まあ死んだらその程度ですよ」


 ノームが川底に鉄鎖で縛られたヴァンパイアロードと魔法吸収装置を投げ入れる。ヴァンパイアロードの体が焼けるようなダメージを受け始めた。


「流水ダメージと再生能力の勝負どすなぁ、雅雅」


「疲れた〜。帰ろ帰ろ」


「き、貴様ら!帰るな!解放しろ!おい!」


 水中でヴァンパイアロードが叫んでいるがナダル達にはゴボゴボ言っているようにしか聞こえなかった。

 エレイフルのプレハブ小屋に戻る。明日用の武器を整えナダルは眠りについた。

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