作者のデジャヴ
「やっばーい!!!遅刻遅刻!!!」
俺はトーストを口に咥えて美少女にぶつかる17歳
その美少女は転校生で……その人の恋に落ち結婚するんだ。
「あれ?そもそも、起きたっけ?トーストってどんな味だっけ?」
俺はトーストを口にくわえて美少女にぶつかった。
ただ、美少女は車に乗っていた。
「やっばーい!!!遅刻遅刻!!!」
俺は口にトーストを咥えて転校生とぶつかる。
あれ?これ、前に見たぞ?
そうか……これがデジャヴと言うやつか
そして、車に轢かれた。
「やっばーい!!!遅刻ちこ……」
待て……これは流石におかしい。
3回目だ。
俺はそこで立ち止まった。
俺、遅刻してたんだよな……俺、朝に起きたんだよな……俺、パンを食べてたんだよな……俺、学校に……そもそも、俺は学生か?
俺は記憶が曖昧だが、止まった足を俺が覚えてる『学校』に足を進めた。
そして、車に轢かれた。
確かその車に乗っていたのは『美少女』だったはずだ。
「やっばーい!!!遅刻遅刻!!!」
……これで4回目だ。
絶対にこれはおかしい。ループしてる。
足を止めた。
そして、『俺』が『覚えている』『家』に帰ろうとした。
「ちょっと!!!そこはぶつかるところでしょ!!!そして、あんたは死ぬ!!!」
目の前に美少女がいた。確か車に乗っていた。デジャヴの女に……似て……
誰だこいつ?
「じゃないと話は進まないんだから!!!」
話ってなんだ?
「おい、ここはなんだ?『俺』は誰だ?」
『俺』は……誰だ?
記憶がない……?
「なんだよ。誰だよ。お前は誰だ?ここはどこだ?『俺』は誰なんだ?」
美少女は耳を塞いだ。
「あーあーうるさいーきーこーえーなーいー」
『俺』はポケットの中のナイフを出した。
「あれ?ナイフ?なんで、こんなところに……」
こちらを望み込むようにこちらを美少女が見た。
「君の名前は無い!!!そして、私の名前もない!!!ここは漫画の世界!!!作者は何故か死んだ……」
ここは漫画?作者は死んだ?どゆことだ?
「だから、君が思ったことが現実になる」
ナイフも出せるし記憶が無いのに美少女とぶつかる想像は鮮明に浮かぶ……
「じゃどうやったら進む……」
美少女は『俺』が持ってた。ナイフで『俺』を刺した。
痛い……
「これは『漫画』君は『主人公』そして、私は『ヒロイン』きゃ!!!ヒロインって言っちゃった!!!自分の口で!!!恥ずかしいー!!!」
『美少女』は……いや、女は自分の口を抑えてウサギのようにぴょんぴょんと跳ねた。
「あ、君はそろそろ、死んじゃうか!?」
お前がヒロインで『俺』が主人公?
ダメだ。考えがまとまらない。これは作者が『俺』に対する『設定』を作らなかったからか?それとも、ナイフで刺されたからか?
でも……『俺』は
「やっばーい!!!遅刻遅刻!!!」
5回目のループ……
一応、一応だ。『お決まり』の『セリフ』を言ったがもう、味を覚えたパンも轢かれる記憶もここがループしたというのも覚えている。
走る足も止めていた。
ポケットにはナイフが……無かった。
「おい……神!!!いるんだろ!?」
この世界の創造主いわゆる神様がいる。
あいつは死んだと言ったが『俺』はそうとは思えない。
「神様か……私の話信じてくれたんだ」
後ろを向くとあの女がいた。
「ナイフは無いよ?私が取り上げたからね?てか、君も単純だね?世界の創造主だから神様?」
人に見せるために動くようなヤレヤレといった動きは『俺』には腹が立つ
「私は信じられなかったよ。ここが『話』であって『漫画』の『ストーリー』で私がその『話』の『キャラクター』なんてね?」
「『俺』は……」
女は『俺』の唇に人差し指を置いた。
「今は私が話してるの……いい?聞いてくれる?」
女は『ナイフ』を持っていると言っていた。
『死ぬ』のは簡単だ。
ただ、『死』んだらまた、『ループ』される。
「そういえば!!!前の『ループ』で『私』の『存在』を『認識』して『私』は作者が『死』んだと言った。『ループ』して『君』は『神様』と言った。「『創造主』いるんだろ」とね?」
女はハァとため息をついた。
「『君』、『私』が嘘をついてるとでも思ったのかい?そうだよ?嘘だよ」
「なんで、そんな嘘を!!!」
あ、『俺』は喋って……
『グサッ』
「あぁあ、刺しちゃった!!!また、『ループ』入っちゃったね?だけど、『今回』は嬉しかったよ。だって、私のことを大事に思ってくれたんだもんね?少なくても私のことを重要だと思ったんだもんね?だって、私に『』をつけてくれたんだもん!!!」
すこし、笑った女を見ながら『俺』は意識を失った。
「やっばーい!!!遅刻遅刻……あの、女はいったい」
6回目のループ……少なくともわかったことがある。
ここは漫画の世界じゃない……ただ、『物語の世界』だ。
ループしてる。そして、『作者』は死ー
「んでない」
『女』は車のドアの窓を開けて『俺』に話しかけた。
「そうだ……思考を読んでるのも『作者』だからか?『ヒロイン』だからか?」
女は笑った。ただ、ただ、笑った。
「アハハ、『君』は面白いことを言うね?『私』が『作者』?『ヒロイン』?じゃ『君』はなんだい?『主人公』だって言うんかい?」
「『君』が言ったんだろ?『ヒロイン』で轢かれることで『僕』が『主人公』になる」
嗚呼、そうだ。君は思考を読めるんだよな
なら、頭の中で考えても話は通じるか……
これは物語である。読んでるのは今、読んでるあんただろ?
まぁこれが投稿、本誌に出てるんなら読んでるのはあんただ。
「ねぇ?黙ってないでさぁ話そうよ?思考を読むのも疲れるんだよ」
「じゃ聞くけど……作者はあんただろ?」
女は車から出た。女は確かにヒロインではある。
そして、作者は死んでいない。
『書く』ことを諦めたのさぁ
そして、作者であるこの女はこの『ものがたり』に逃げ込んだ。
では、なんで、読者のあなたに声をかけたか?
それは『ものがたり』を読まれない。
その悲しみを読んでるあなたに知って欲しかったから
「そうだろ……」
嗚呼、そうさ……そうに決まってる。
そう、そうで……あって欲しい……
「違うよ?思考を読めるのは私が『ヒロイン』であり『作者』だからそれはあってる。だけど、これをループする話にしたのは理由がある」
なんだ。話は終わらない。書かれてから終わることの無い『物語』に逃げ込んだ。ループにした理由?『物語』が終わらないから読まれる意味が無い?
「わからないみたいだね?これは『物語』であって『物語』じゃないからさ……この話には『意味』が無い。『話』は『終わる』から『物語』なんだよ。終わらない『話』はただの『駄弁』に過ぎない。終わることの無い物語を……君に贈ろう」
「だって」「だって」
「「それはこれが作者の想像で『物語』に過ぎないから」」
これを書いてるのは原稿用紙なのかはたまた電子機械なのかそれは不明だ。
ただ、ループしている。それは彼、彼女らのデジャヴ……
既視感しかないからさ……
さぁ、読者よ。この話は面白かったかね?詰まらない話かね?愚弄するような話かね?
私は原稿用紙を破り捨て、あらゆるデータというデータを消して……
また、新しいループに入る。
机に入った。毒薬を口に入れ水を飲み悶え苦しんだ。
さぁ、新しいループに入るとしよう。
「やっばーい!!!遅刻遅刻!!!」
私は可愛い可愛い『ヒロイン』として『主人公』にぶつかり話しかける。
これがループにならぬことを願い
また、
『作者のデジャヴ』とならぬことを
また、私と一緒に始めようか
終わらない話の終わりにむかって
『物語』に逃げ込んだ。この作者と一緒に