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ねこねこ戦記〜猫たちの異世界狂想曲〜  作者: 志雄崎あおい
2章 グレートキャットフォレストの戦い
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35話 結果発表

 それから、身支度を整えて帰路につく。

 広場に戻ると、すでに多くのパーティが樹海から戻ってきており、そこかしこで、どれくらい倒したとか、こんなすごいのが居たとか自分達の武勇を自慢する声が聞こえてくる。

 そんな中、リィリィが一歩前に踏み出してクルリと振り返った。


「じゃあ、リィリィは行くアル。みんなと一緒出来て楽しかったアルよ」

「うん、ありがとね」

「ありがとうございました」

「ああ、サンキューな」

「えへへ」


 わたし達がそれぞれ礼を言うと、リィリィがにっこりと笑みを作る。


「きっと一位アルよー」

「モチよ」


 手を振りながら、ネコエルフが詰めているテントへと駆けて行く。そんなリィリィにわたしは親指を立てた。

 リィリィとお別れを済ませてから程なくして結果発表が始まった。


 アリエルとの勝負は、結果の前にアリエルが帰ってしまったからなんともいえない感じになってしまったが、間違いなく確実に数でも勝っていると思っている。


 たとえアリエルが勝負を放棄しなかったとしても、結局の所変わらないはず。

 そしてもちろん、わたし、いやわたし達が狙っているのは一番である。


 いつの間に作ったのか、広場には一段高くしたようなステージが設営されていた。

 式が始まり、その場にいる猫達がステージに注目する。


「本日はまことにありがとうございます――」


 まずはネコエルフの長の男が前に立ち、最初は軽い挨拶があった。

 それから、森の為に戦ってくれた使い魔〈サーヴァント〉に対して、ひとしきり感謝の言葉を述べた後、奥に下がると、代わりに露出の多い格好をしたネコエルフのお姉さんが出てきて、聴衆を煽るように「準備はおっけーかなー?」とテンションMAXでマイクを突き上げる。


「それじゃー、結果を発表するよー!」


 おおお、と会場が低い地響きのような声に包まれる。

 長い前置きを経て、ついに結果が発表される時が来た。


「じゃあ、まず三位から。撃破数五十二体。マイティボガード!」


 お姉さんがマイクでパーティの名前を叫びながら、手のひらを向ける。

 おお、と歓声が上がる。ボディビルダーのような筋骨隆々な男達が両腕を空に突き上げると、雄たけびをあげた。


「では、次に二位! 撃破数百二十体で裏徒流魔愛冥土〈リトルマーメイド〉! ……ってあれ?」


 会場がシーンとなる。スタッフが慌てて紙切れみたいなメモ用紙をお姉さんに渡す。


「え、何? 帰った? ちょっとどういう事よ。それ。へ、適当に繋げ? えー、なんなのよー。はっ! えっと、いないみたいなんで次いってみよー」


 にゃははと引きつり笑いを作ると、無理やりにテンションを戻すためなのか投げやり気味に拳を突き上げる。

 本当にアリエル達帰っちゃったんだ。

 わたしもキョロキョロと見渡すが、その姿は確認できなかった。


「さて、おまたせしました。それでは一位の発表です」


 その声に、再び視線を戻す。


「もっとも多く、MTTBを撃破したパーティは――」


 ゴクリと群集が息を飲む音が聞こえる。わたしも固唾を飲んで、言葉の先を待つ。


「撃破数三百三十三体で、家猫同盟でしたー!」


 わたし達の、パーティの名前がコールされる。そりゃね、本当におかわりし放題なくらい倒していたから当然だよね。

 多分、あの囲まれた時に倒した数だけで、二百体近く倒している。


 しかし、その場に居た多くの者達にとっては意外な名前だったのだろう。

 家猫同盟の名前がコールされると、会場がざわざわと俄かにざわつき始める。


「ちょっと、何?」


 広場を支配しつつある、妙な空気に素直に喜ぶことも出来ずに眉を顰めるしかない。

 耳をよく凝らすと「家猫が?」「三百三十三っておかしくない?」「不正?」といったようなひそひそ声が、そこかしこから聞こえてくる。


「おいおい、どんな裏技使ったんだ? あんたら」


 先程、三位の時に名前を呼ばれた――、確かマイティボガードとかいうパーティのリーダーと思われる男が、ニヤニヤとした意地の悪い笑みを浮かべながら、わたし達に声を掛けてくる。

 そのあからさまな敵意に、返すわたしの目も自然と険しくならざるを得ない。


 全身筋肉質の巨漢。

 背の高さはわたしのゆうに二倍はあり、その肥大した筋肉を見せ付けるように上半身に衣服は身に付けていない。

 わたしはミケとショコラを制すると一歩前に出た。


「裏技って何のこと?」


 男を見上げながら言う。すると、男は「おいおい」と手を上げた。


「三百三十三体なんて数ありえねぇだろ」

「別に数えてたわけじゃないけど、そんくらい倒したんじゃない?」

「はん、どうだか。家猫ってのは媚を売るのだけはうまいらしいからな。もしかして、集計してたネコエルフを買収でもしたんじゃないのか?」

「はぁ、何言ってんのっ。そんなわけ――」

「そんなわけないアル!!」


 ビィィンというマイクのハウリング。そして、大きな声が広場に響いた。


「リィリィ」


 ステージを見ると、発表をしていたお姉さんからマイクを奪い取ったリィリィが、憤怒の表情を浮かべながら叫んでいた。


「ルナ達を馬鹿にするのは許せないアルよ。それにネコエルフは買収なんてされてないアル。集計だって正確アル。ネコエルフ野鳥の会の皆さんは百匹のシジュウカラの中にゴジュカラが混ざっていたとしても見破ってしまうほどアルね」


 リィリィの例えはよくわからなかったが、一応は伝わったらしい。

 もっとも、それはネコエルフが買収されていないという部分だけで、相変わらず会場はざわざわしている。


「おい、なんだ?」

「猫が、吹き飛ばされてるぞ!」


 群集の中の誰かが言った。


「……!」


 指をさしている方を見ると、確かに数人の猫が宙を舞っていた。

 更に目を凝らすと、その中心に大剣を持った人影が見える。


「やっと森から出られたと思ったら、なんかつまんねーことしてんじゃん」

「え? アリエル」


 ショコラの呟く声。その声の言うとおり、現れた人影はアリエルだった。

 アリエルとザクロの二人がスタスタとわたし達の方へと歩いてくる。

 周りはすっかりビビッてしまっているのか、海を割るように二人の前を猫が避けていた。

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― 新着の感想 ―
[一言] まぁ確かにね。 疑うのも分かるよ。 実際、家猫同盟に敵が集中したのは異常だし。 MTTBを引き寄せるような要因があったと思わなくもない。 え、倒せた方が問題? いやいやそっちは実力でしょぉ…
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