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ダンジョンコアの闘争  作者: ライブイ
1章 ダンジョンコアに取り憑きました
8/119

7話 四日目

《【剣士】にジョブチェンジしました》

《【剣装備時能力値増強:小】スキルを獲得しました》

《【剣術】【闘気】スキルのレベルが上がりました》


・名前:セイ

・ランク:0

・種族:ダンジョンコア

・ジョブ:剣士

・レベル:0

・ジョブ履歴:なし

・ダンジョンコア純度:0

・年齢:16歳


・能力値

生命力:75(25UP)

魔力 :100

力  :15(5UP)

敏捷 :16(4UP)

体力 :18(7UP)

知力 :25


・パッシブスキル

剣装備時能力値増強:小


・アクティブスキル

剣術:2Lv(UP)

闘気:2Lv(UP)

結界:1Lv

全属性魔術:1Lv

魔力操作:4Lv(1UP)

高速思考:4Lv

並列思考:4Lv


・ユニークスキル

ダンジョンコア接続:1Lv


 セイはララと共に村の西にあるダンジョンに向かい、攻略を始めた。

 セイは典型的かつ完成された戦闘職だ。剣と身体能力、そして魔術を駆使して戦い魔物を仕留める。セイ自身はまだまだ能力は低いが、何事にも動じず体を最適に動かすことで既に一人前の成果を出せるまでになっていた。

 なにせセイは異世界転生を経験したのだ。通り魔に刺され、気が付けば異世界で幽霊になっていた。それを思えば魔物が物陰から飛び出してこようが空から強襲してこようが背後から刺されようが驚くほどの事ではない。冷静に思考をめぐらせ剣と魔力を動かし相手に対応できる。


 ララも荷物持ちとして非常に優秀だった。セイも初めは身の丈以上に大きいバックパックに面食らったが、素材や討伐証明を入れて百キロ近いはずの荷物を背負っても立体的に動き回りセイが戦う時は邪魔にならない位置に移動するように立ち回るすばしっこさを持っていた。

 おそらく直線でなければ狼からも逃げきれただろう。

 

 そんな二人ならば、ダンジョン攻略の効率が上がるのも当然だった。セイが一人の時とは違い、ほんの数時間で三層まで到達できた。


「セイさん、いきなりダンジョンに向かうって言って時は驚きましたけど、たしかに実力はあるんですね」

「そう?それはありがとう」

「いや褒めてるんじゃなくて、ちょっと呆れてます。そして怒ってます。私が居なかったらどうするつもりだったんですか」

「その辺で雑魚寝とか」

「死にますね。絶対」


 そして三層に着いて半分を過ぎた時、順調ではなくなった。

 

 三層の景色はこれまでと同じようにダンジョンの周囲の光景と同じ草原、だが出現する魔獣たちはその強さと凶悪性が増しているうえ、草木をそよぐ風は背筋を凍らせるほど冷たく、遠くから響く魔獣の鳴き声は精神を蝕んでくる。


 現在のセイは【剣士】にジョブチェンジしたためその実力は一つ上に上がっている。

 身体能力の高さはそのまま武器になる。剣の素人と剣の達人が戦えば剣の達人が当然勝つが、剣の達人と剣の素人のゴリラが戦えば当然剣の素人のゴリラが勝つ。技量の高さは身体能力の低さを補うためであり、基本的には身体能力が高いほうが勝つのだ。

 加えて今回は【剣術】スキルのレベルも上がっている。レベル1からレベル2へ。たった1の違いだが、素人の趣味と半人前ほどには力量が違う。二日前に挑んだ時よりも明確に強くなっている。


 しかしそれでも、三層の半ばで遭遇した赤い猪には叶わなかった。


「まさかダンジョンボスがボス部屋から出てくるだなんて……」

「ボス部屋はあくまで生まれる部屋だからね。ダンジョンからの支援も受けられるから基本出てこないけど、出れないわけじゃないんだよ」

「そんなの初めて聞きましたよ……。というかセイさん、本当に知識が偏ってますね」

「自覚はある。でも俺も知識で役に立てるのは嬉しいよ。俺は役に立てた?」

「そうですね。これでテントか、せめて布も持ち歩いてくれていれば言うこと無しでしたね」

「はっはっは。野宿とか考えてなくて手拭きしか持ってなかった」


 一目で演技と分かる笑い声を上げながら、セイは視線を先ほどの猪に思い出す。


 その魔物の見た目は猪をそのまま大きくしただ。オークのように二足歩行する豚人ではなく、日本にもいる一般的な猪そのものである。

 ただし、大きさは全長五メートルもあるが。


 加えて体毛が赤く遠目には燃えているように見える。

 セイたちも最初はそうとしか思わず不用意に近づいたが、本当に炎が噴き出し全身に纏い始めたことで慌てて撤退、打つ手がなく逃げるしかなかった。


「俺の魔術では倒しきれるか怪しいな。いや、倒すことは出来るけど、そのあと地上までは絶対もたない」

「うーん……そうですか……。言うまでもないと思いますが、私も打つ手は無いですからね」

「知ってる。テントに入れてくれただけでも感謝してるよ」

「いいですって。あなたに助けられたのでうっかりしてましたが、あなたは冒険者になり立てなのでしょう?なら冒険者としては私の方が先輩です。後輩を助けるのは当然ですよ」


 セイがあっさり助けることができたように戦闘能力は低かったが、ララは冒険者として非常に優秀だった。冒険者の実力とは単に腕っ節が強いことが条件ではない。魔物や採集物の知識、情報収集から事前準備まで含まれる。

 今回で言えばテントやポーション、予備の武器などをしっかり準備していたのは明確にリタの方が優れている点だ。

 特にテントは大切だ。冒険者に野宿は付き物であり、周囲の樹々や地面に布と杭を使い仮設住居を作ることは必須技能と言ってもいい。

 セイは村のどこで布が買えるのかすら知らなかった(調べてもいなかった)ので、頭が上がらないとはこのことだろう。


(しかし、戦いは俺がやるって言ったからな。ダンジョンに行ってこともない彼女を連れてきたのも俺だ。……驕りがあったな。一人くらい足手纏いが居ても何の問題も無いって。ちっ!)


 内心で舌内しながらも、その心中は荒れていた。

 現状を仕事で言えば、雑務担当のララは仕事を完璧にこなし、戦闘担当のセイは仕事をこなせていないようなものだ。

 しかも自分の失敗でもう一人にも迷惑をかけている。それはセイの心に負担をかけていた。

 自分の失敗は自分で取り返さなければならない。しかし一度失敗した自分が即座に失敗を取り返すなど出来るのか?そんな自罰的な思考が循環してしまっていた。


「セイさん?お顔が怖いですよ?」

「えっ?」


 声がする方に目を向けると、ララが手を伸ばして来た。


「眉の間に皺が寄っていますね。私が伸ばしてあげましょう」

「ありがとうございます……?」

「いえいえ。怖いのはお互い様ですからね。あの魔物が遠くに行くまでの辛抱です。必ず生きて帰りましょうね」

(怖い?)


 セイはふとリタを見つめ、続いて自分の手を見る。するとどちらも震えていた。


(そっか、俺は怖がっていたのか。それに、ララさんも)


 セイに残された時間は少ない。ダンジョンの残りの保有魔力量から計算すると十日という結果になり、明日で折り返しだ。それに加えて目の前にいる強いダンジョンボス。


 ダンジョンボスとダンジョンの命は同じものだと言ってもいい。セイのようなダンジョンマスターがいるダンジョンは例外であり、ダンジョンボスを倒した先にあるダンジョンコアを砕けばダンジョンは崩壊し竜脈が開放される。

 ようするに、このダンジョンのコアを砕けばセイは延命できるのだ。


 しかし、延命出来たとしてこのダンジョンを生きて脱出できるかは別の話だ。このダンジョンを攻略してもセイの力が急激に高まるわけではない。ダンジョンボスを避けて攻略しても、帰りで遭遇すれば敗北し殺される可能性も非常に高い。


 そんな状況だ。セイだってここまま問題を打開できずに死ぬんじゃないかという考えがよぎり、当然怖い。


(なら、リスクと取ってでもここで殺す方がいいな)


 しかし、怖いと自覚してうえで、セイから戦う選択が消えることは無かった。

 死にたくない、生きたい、生きるためには戦うしかない。至極端的かつ論理的で当然の考え方だ。ゆえに戦うことに躊躇いはない

 加えて、いまは傍らにリタがいる。


 本人も言うように冒険者であり、自分でついてくると選択した。

 しかしララだけでここから地上まで生きて帰ることは出来ないだろう。私だって怖いと冗談めかして言っているが、それが本音であることはセイにも分かった。


 自分が勝てば、もう一人も助かる。それはセイにとって重荷ではなく、頑張る理由になることだった。


「ララさん。あれを倒す目星がつきました」

「えっ!?本当ですか?」

「ええ。あれを倒して、一気にダンジョンを攻略する。なので……」

「なので?」

「今晩の見張りはお願いしてもいい?」

「いいですけど、冒険者なら徹夜もよくあるので、今回だけですからね」

「ありがとうございます。おやすみなさい……ぐぅ」

「寝るのはやっ!」

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― 新着の感想 ―
[一言] こう見ると村民を殺して得たDPが高いな、実はとんでもない人達?
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