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ダンジョンコアの闘争  作者: ライブイ
3章 豊穣の国
58/119

49話 砂漠へ

この章はあと五話くらいで終わるかな

 トトサワルモ地方の南西部、西と東を分ける境界山脈の南端。そこには無法者が集まって出来た街ティパーラがある。

 境界山脈はかつて愛と生命の女神が最後の力で創造した山脈であり、その向こうには女神の寝所やその護衛であるヴィーナの新種族、そして強大な魔物が大量に巣食っていると言われている。


 ティパーラはそんな境界山脈西部と境界山脈東部を繋ぐ唯一の陸路、砂の聖領ガルダブブグナルを塞ぐようにして出来た街だ。


「結構いいもん揃ってるな」

「だろぉ!砂漠に行くならうちで買っていきな、冒険者ギルドのお墨付きだからな!」


 そんな街の隅にある露店にセイの姿はあった。


 この街は強いて言えば都市国家であるが、無法者が集まって出来た経緯ゆえに国と呼べるほど纏まりはないため、行政は複数のギルドが連合して代わりを務めていた。

 中でも魔物の脅威に対抗できる冒険者ギルドの力が最も強く、冒険者ギルドからお墨付きを貰うことはその商品の品質を最も保証している。

 

「じゃあその瑞々しい果実と、魔物除けの聖水を三瓶、ついでに布を二枚くれ」

「あいよ!」


 補給を済ませたセイは砂の聖領へ向かう。





 砂の聖領ガルダブブグナル。この世界に存在する五つの聖領の一つであるが、森の聖領ユグドラシルと同じように極めて強力な魔物が中心にいるわけではない。ここだけは例外的にダンジョンを中心にして発生した。


 そのダンジョンの名は『砂地獄』。S級ダンジョンだ。


 この砂漠の中心にあった古代都市で発生した地下ダンジョンであり、遺跡型に分類され、文字通り遺跡の様な内装をしている。

 厄介なことに地下にあるため防波堤が作れず、ダンジョンから吐き出された魔物はそのまま砂漠を泳いで移動し、魔境の中心に行けば行くほど魔物は強くなり遠いほど弱くなるという原則を無視する。

 海の強力な魔物が波に流されて人間の街に迷い込むように、強力な魔物でも砂に流されて魔境の外周部までやってくる可能性がある。極めて危険な聖領だ。


 これが原因で砂の聖領ガルダブブグナルの正確な領域を測ることが出来ず、まともな国は傍に街を作れない理由の一つになっている。


 そして強力な魔物が生息しているのも危険だが、空の聖領アルカディアと森の聖領ユグドラシルとは違い、外周部でも危険な環境であるのも特徴だ。

 外周部でも昼は気温が五十度、夜はマイナス五十度になるほど寒暖差が激しく、戦闘能力よりも環境への適応能力が必要になる。


(魔力もかなり増えたし、ダンジョンを本格的に創ろうかなー)


 そんな危険な砂漠をファッションとしてぼろ衣を身に纏っただけのセイは悠々と歩いていた。


(もう十分に強力な魔物のデータも集めたし、魔力も集まった。自分の拠点にもなるダンジョンを作ったほうがいい……とも思うけど、創造に取り掛かると動けなくなるし……もっと魔物の情報を集めて魔力も増やしたほうがいい様な気もする。あー辞め時が分からない!)


 セイは【ステータス】を表示し視線を移す。





・名前:セイ

・種族:ダンジョンコア

・年齢:22歳

・称号:【暴竜】【遍歴の聖者】【神鉄の肉体を持つ男】【龍殺し】(NEW)【到達者】(NEW)

・魔物ランク:14(8UP)

・ダンジョンコアランク:14(8UP)

・ジョブ:剣神

・レベル:0

・ジョブ履歴:剣士、瞬剣士、魔術師、術式使い、指揮官、魔剣使い、魔戦士、超戦士、錬金術師、裁縫士、裁縫師、武術家、武闘家、武神、大魔術師、剣聖


・能力値

生命力:839,818   (89,818UP)(750,000UP)

魔力 :3,015,054,012 (27,006UP)(3,000,000,000UP)

力  :42,933    (22,095UP)

敏捷 :39,908 (22,097UP)

体力 :84,085 (46,839UP)

知力 :138,985 (4,381UP)(75,000UP)


・パッシブスキル

戦闘時能力値増強:大

戦闘時敏捷強化:大

剣装備時能力値増強:極大(NEW)

魔術力強化:大(魔術力強化:中よりUP)

魔力増大:7Lv(2UP)

生命力増大:9Lv(NEW)

魔術耐性:9Lv(6UP)

物理耐性:10Lv

状態異常無効(状態異常耐性:10Lvから覚醒)

全属性無効(全属性耐性:10Lvから覚醒)

超力:9Lv(8UP)

気配探知:10Lv(3UP)

気配遮断:10Lv(3UP)

再生:10Lv(2UP)

暗視

従属強化:5Lv

全能力値増強:大

魔糸精製:3Lv(糸精製:3Lvから覚醒)

精力絶倫:3Lv



・アクティブスキル

剣神術:6Lv(剣術から覚醒)

槍術:8Lv(7UP)

弓術:8Lv(7UP)

斧術:8Lv(7UP)

杖術:8Lv(7UP)

鎧術:8Lv(7UP)

盾術:8Lv(7UP)

指揮:1Lv

連携:3Lv(2UP)

短剣術:8Lv(7UP)

投擲術:10Lv(9UP)

格闘術:10Lv(6UP)

解体:9Lv(8UP)

龍闘気:1Lv(練闘気より覚醒)

結界:6Lv

大魔術:2Lv(全属性魔術から覚醒)

魔力掌握:7Lv(6UP)

超速思考:3Lv(高速思考から覚醒)

群列思考:8Lv(並列思考から覚醒)

魔闘術:10Lv(4UP)

限界超越:6Lv(限界突破から覚醒)

聖剣限界突破:2Lv(魔剣限界突破から覚醒)

霊体化:1Lv

錬金神術:6Lv(錬金術から覚醒)

裁縫:9Lv(4UP)

鍛冶:6Lv(3UP)

家事:6Lv(3UP)

料理:6Lv(3UP)


・ユニークスキル

ダンジョンコア接続:9Lv(4UP)

分解魔法

構築魔法(NEW)

神鉄骨格

魂砕き:6Lv(5UP)

完全記憶能力

意思思考

異形精神

神殺し:8Lv(6UP)

万物同化:8Lv(6UP)

魔王の欠片(NEW)





(かなり上がったなー)


 この一年、聖領というこの世界でも屈指の危険地帯にいたことでセイのステータスは急上昇していた。


 まず、ステータスの称号の欄から【悪魔】が消えている。称号とは多くの人がある人をそうだと認識することで付与されるので、消えたということはセイをそう認識している人が減ったのだろう。


 次のスキル、【剣術】は【剣神術】に覚醒し、他の武術系スキルも軒並み上昇している。セイよりも格上のトトキに稽古をつけてもらったおかげだろう。トトキは【格闘術】の達人であり、セイが本気で切りかかっても殺せないほど強かった。そんな相手から学べることを学んだ結果だ。いまなら武術の腕だけでもスレイの足元には及ぶかもしれない。

 その反面【指揮】、【連携】は伸びなかったが、使っていないのだから当然だろう。


 魔術の腕もだいぶ伸びた。【全属性魔術】から【大魔術】という聞いたことのないスキルに覚醒したが、おそらく魔術であれば普遍的かつ強力に行使できるスキルだろう。

 【全属性魔術】の時点で前例がなかったので、あまり驚きはない。

 そもそもの話、魔術系スキルを習得したから魔術が使えるのではない。魔術が使えるからステータスに魔術系スキルが表記されるのだ。どのようなスキル名であろうと、セイの出来ることに変わりはない。


 【家事】に【料理】、【裁縫】スキルも伸びたが、これはトトキの分までセイが家事全般を担当したからだろう。トトキはいい人だが、自炊が壊滅的だったのだ。そのためトトキの分まで料理や家事を担当し、服の修繕まで行った成果だと思われる。

 ついでに【糸精製】が【魔糸精製】に覚醒したことも喜ばしい。もとより簡単な糸なら作ることが出来たが、魔糸で編んだものはそれだけでマジックアイテムになる。上質な素材の方が上質なものを作れるのは自明の理、自分で使うのもいいし、次にハナビにあったら前回以上に高性能な服をプレゼントしよう。


 そして構築魔法。魔法という己の心を反映するユニークスキルに目覚めたことは大きいだろう。

 最も、セイは分解魔法と構築魔法は表裏一体であると考えているため、この二つを合わせた一つの魔法もある気がするが。


 そして、なにより大量のダンジョンコアと魔石を取り込んだことによる能力値の上昇が最も大きい。


 セイは人間であり、魔物であり、ダンジョンコアであるという三つの生き物を掛け合わせたようなステータスをしている。そのため人間のジョブ、魔物の魔物ランク、ダンジョンコアのダンジョンコアランクの三つの補正を全て受けているのだ。


 ジョブチェンジと魔物ランクの補正は乗算だが、ダンジョンコアを取り込んだセイは加算。森の聖領ユグドラシルの深層にあったA級以上のダンジョンを攻略し、ダンジョンコアを取り込んだことでセイの能力値は激増した。

 全ての能力値の下限がS級冒険者に匹敵し、一部はS級冒険者の上限さえ超えている。


 前回は大きいダンジョンコアは口に入らず取り込めなかったが、今回は取り込めた。これは魔王の欠片を取り込んだことが大きい。

 魔王、つまり神代に異世界からこの世界を侵略するためにやってきたに古の大魔王アンティカイネンの欠片。

 つまりは神の肉体だ。


 本来は魔王の欠片は細胞一つ一つが生きており、欠片となっても原始的だが自我を持っている。寄生されると怨嗟の声を聞かせ続け肉体を乗っ取ろうとしてくるが、セイは【万物同化】により完全に取り込んだことでそのデメリットと踏み倒した。


 そして取り込んだ魔王の欠片の一つである【魔王の顎】を参考に自分の体を改造し作った【迷宮の顎】で大口を開けて取り込んだのだ。

 S級ダンジョンのダンジョンコアは直径が五メートルもあったので、本当にどうしたものかと困っていたので謎の原種吸血鬼が魔王の欠片を持ってきてくれて本当にありがとうと言いたい気持ちだ。


(そういやあの時の原種吸血鬼、死んだのかな。大陸龍の経験値が多すぎて死んだか分からん)


 今のセイの魔力は三十億。たしか最下級の神が一億程度だったらしいので、魔力量だけなら中堅くらいの神に匹敵するかもしれない。

 神の力を魔力に換算したデータはないので推測だが、おそらく合っているだろう。

 

(いいかげんダンジョンでも作るかなー)


 セイの種族はダンジョンコア、ダンジョンを作る核であり、ダンジョンを作る者。本来はダンジョンの最奥に鎮座する存在であり、こうして外を出歩いていることは異常事態である。

 

 人間で例えると、心臓が自我に目覚めて体の外に飛び出しているような状態だ。

 異常すぎる。


 ゆえに早急にダンジョンを作るのが望ましいが、人間としての記憶と知識、そして経験を持つセイは即断出来ないでいた。


(魔力はまだ増やせるから増やせるだけ増やす方がいい……けど、寿命がないからやめ時がない。どうしよう)


 ダンジョンを作った場合、魔力を使って様々なことが出来る。

 それは収集したデータをもとに創造した魔物であり、過去に世界に溶けた貴金属やマジックアイテムであり、魔力によって変質した動植物全般など、多岐にわたる。

 百の魔力があるとして、百の強さの魔物が一体、十の強さの強さの魔物を十体、一の強さの魔物を百体作れる。もしくは百の魔力相当の貴金属や武具など、まさに極小の神の力と言えるだろう。


 今のセイは何かを創るのではなく、それ以前の魔力を全て自己強化に充てている。

 これも一つの選択肢としてはアリだが、もう十分に強くなったセイにはもう不要だろう。


(中堅くらいの神に匹敵する魔力量なら十分だと思うけど、この世界は選択一つで命に関わるからな。信頼できるデータがない以上、蓄え続けることが正解、かな?)


 セイはあまり魔力量が三十億という事実に安心を覚えていない。なせならこの場合の魔力は総資産のようなものだからだ。


 現代日本で百万円を持っていると言えばお金持ちに聞こえるが、実際のところ、資産という意味では大したものでは無い。

 資産とは資本に出来ることが出来る資本の事。つまりは現金を持っていなくとも、家や土地を持っていれば数千万に相当し、車があれば数百万、そのほかスマートフォンやパソコン、食器類衣類など全ての価値を現金化して計算する。

 そうすると、百万円など軽く超えるだろう。


 セイの魔力量が三十億というのは確かに素晴らしい。

 しかしセイがいざダンジョンを作るとなると、満足のいくダンジョンを創るまでにこの魔力量で足りる保証はどこにもない。


 階層が十階層なら足りるだろう。配置する魔物のランクが5なら足りるだろう。残りの魔力を全て自己強化につぎ込めば、計算は合う。

 しかし、それでは現在の放浪生活の方がましだ。


 階層を五十階層にしても足りるだろう。配置する魔物のランクを10にしても足りるだろう。

 しかし、これにセイの居住空間の快適性を上げればどうだろう。

 足りるだろうか。足りないだろうか。


 もし計算上は足りるとして、「もっとここにこだわりたい!」という衝動が湧いてきてしまう可能性もある。そうなると計算が狂う。


(ダンジョンを創る時は内部に居なきゃいけない縛りがきつい。ナビに一部を任せて、強力な魔物を配置して……いや、それでもS級冒険者が攻めてくれば攻略される。

 ならば俺は外に居て高位の冒険者や傭兵が来ないように手まわしを……って、それじゃあダンジョンを創るメリットは何だよ!くそっ!)


 足りない。足りない。魔力ではない、不安を消し去る理由が足りない。

 もっともっとという衝動が沸き上がりそうで怖い。子育てを放置出して放浪している自分なんかが一か所に定住できるわけがない。


 だが、ダンジョンを創らないということは出来ない。これはセイの……、いや、ダンジョンコアという生き物の本能の様なものだ。

 ダンジョンコアと接続した生き物はダンジョンを守る本能が組み込まれる。これは三大欲求に匹敵し、自堕落で本能に忠実なセイでは我慢が出来ない。


 一部は体内にダンジョンを創ることで誤魔化しているが、瘴気の浄化という役割を果たさなければこの欲求は解消されないだろう。


 ならば魔力をもっと増やすか、それとも直ぐにダンジョンを創るか。

 

 セイ自身の成長は打ち止めだろう。この世界のレベルアップは同格か格上と戦うことが必要だが、セイのステータスは人間で言えばS級冒険者、魔物で言えばランク14。セイと同格の相手など、そうそう居ない。

 聖領の深層は既に経験済み。これからも聖領に引きこもって自己鍛錬にだけ人生を捧げるなら強くなれるが、それは趣味ではない。

 あとは神々の軍勢とでも戦うくらいだろうか。


 結局のところ、魔力を増やすなら野生のダンジョンコアを吸収し続けるしかない。


(まあ、この探索で答えを出そう)


 今回の目的地は世界でも屈指の危険なダンジョン。

 等級はSだが、Sとは『Aよりうえ』という意味であり、同じS級でも幅がある。今回の目的地である『砂地獄』のダンジョンコアを取り込めば、それ以降の人生で吸収するダンジョンコアの魔力など誤差になるだろう。





 急ぐ旅でもないので歩いて移動し、夜になると休憩。一般的な冒険者と同じスタイルだ。

 襲ってきた巨大な牛の様な魔物の肉が美味しい。全長五十メートルのギガントバイソンという魔物だ。たしか資料にはランク7とあったが、ランクの高い魔獣の肉ほど美味しいという法則はこの砂漠でも健在のようで何よりだ。


「ん」


「なにっ!?」

「防がれた!?完璧に不意を突いたはずだぞ!?」


 襲撃者の不意打ちを結界で防いだが、楽しい夕食を邪魔されるのは不愉快だ。


 基本的に【収音】の魔術は排泄音や聞きたくない話まで聞こえてしまうため使わないようにしているが、こういう襲われそうな場所では使っておくか。

 いや、面倒だな。


 視線を向けると、二人の男性。貴族の様な美しい顔をしているが、病的なほど白い肌と赤い目、そして牙をみれば正体は見当がつく。


「吸血鬼か。夜とはいえいい度胸だな。こんな遮蔽物がない砂漠で。明け方までに帰れなければ全員死ぬだろうに」


 セイから放たれた【大流砂】が吸血鬼たちに襲い掛かった。

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