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ダンジョンコアの闘争  作者: ライブイ
1章 ダンジョンコアに取り憑きました
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4話 一日目

 変わらない日常が続くどこにでもある村に、その日は見慣れない異邦人が訪れた。

 静穏が村にたどり着いたのだ。


 門は無く門番もいないが、街道の正面だけは柵がないので入り口なのだろうと静穏はあたりをつけ村に入る。


 村は農地と住宅地が入り交ざっている。居住区域と農地が分かれておらず、住宅とおそらくはその家の農地が最小単位のようだ。世界が違うので断言はできないが、感じ取れる雰囲気が田舎っぽいので最近できた開拓村ではなく昔から続く村なのだろうと推察できる。


 村人はいないかと視線を彷徨わせると、三十代程度の農作業中らしき男性が見つかった。


「そこの人、この人はどこに連れていけばいいですか?」

「うん?見ない顔だな……って、担いでるのはララちゃんか!?いったいどうした!」

「魔物に襲われてたんで助けたんですよ。病院……じゃないか。けが人を運び込む場所ってこの村ではどこですか?」


 先ほど助けた少女、ララを担ぎこんだことで村は大騒ぎになった。人口が百人ほどのこの世界の村としては小規模な村は住民全員が顔見知りらしく、この少女が冒険者としてソロで活動しているのは周知の事実であるらしい。


「ララちゃんはいい子だがどんくさい面があってな。女一人で冒険者なんて危ないからやめてほしいんだが、一人でやるって聞かなくてな。みんな心配していたんだ。

 ともあれ、あんたには感謝しないとな。あんたは冒険者か何かかい?」

「そんなところですね。この辺にダンジョンがあると聞いてやってきました。ダンジョンについて知りたいのですが、どこに行けばいいですか?」

「それなら冒険者ギルドに行くといい。こんな田舎の村にでももちろんあるからな」


 そう言いながら教会を出て、男性は静穏を村にある唯一の酒場……酒場であり宿屋であり商店であり冒険者ギルドの出張所でもある、通称なんでも屋に連れて行った。

 この村では複数の業務を兼ねなければ食べていけないらしい。


 道中、村人たちはあまり静穏に注目しなかった。田舎は閉鎖的で排他的と思っていたのだが、意外とこの村に外から人が来ることは珍しくないのだろう。

 なので村人たちのことは気にせず静穏は腰に下げた剣の柄を弄りながら黙ってついて行く。


「ここがそうだ。この村にはララちゃんを含めて冒険者が三人いるから、仲良くしてやってくれ。まあ、いまはみんな出払ってるみたいだけどな」

「そうですね。ダンジョンの攻略を目指して頑張ります」

「そりゃあ頼もしい。じゃあ俺は戻るからな」


 案内してくれた男性から視線を外し、静穏は建物に入っていく。


「あら?見ない顔ね。他所からきた冒険者かしら」


 そう言って声をかけてきたのは冒険者ギルドの出張所の職員で、何でも屋店主の一人娘のミラだ。彼女は街で試験に合格し、冒険者ギルドの出張所の職員兼責任者らしい。

 小さい村では冒険者の有無で存続率が大きく変化するため、小さな出張所でも必要なのだろう。


 ぽんぽんと椅子を叩くので、おとなしくカウンターに座る。


「それで、ここに来た要件は何かしら?この村には村長から出されてる魔物の駆除依頼くらいしかないけど」

「ダンジョンを攻略に来ました。情報を下さい」

「……驚いたわね。そんな気概があるなんて。あなた、あんまり強そうじゃないけど、本当に挑むの?同じ魔物でも、ダンジョンの中だと危険度が上がるのよ?あ、もしかしてあなたってとても強かったりするの?」

「俺は弱いですよ。ですが攻略しなければいけない理由があるので」


 静穏は躊躇わずに即答する。


「そう……分かった。教えてあげるわ。とりあえず冒険者カードを見せてもらえるかしら」

「持ってません。俺は冒険者ではないので。ですが登録したいので、いま登録できますか?」

「はぁ!?」


 とても驚かれてしまった。

 どうやら彼女は、静穏は他所の街からやってきた冒険者だと思っていたらしい。


 静穏がそう振舞っていたせいだと思うが。


「そ、そう……。まあいいわ。じゃあこの紙に名前と年齢、特技とかを書いてね。文字は読める?」

「読めますよ」


 ミラから紙とペンを受け取り、必要事項をすらすらと埋めていく。しかしその動きは名前のところで止まってしまった。


(どうしようかな。俺の名前は打浪静穏だけど、一回『死んだ』しな……。よし今後はセイと名乗るか。特技は剣と魔術っと)


 静穏は少し考え、名前をセイと記入する。

 けじめの様なものだ。打浪静穏という人間は死んだ。いまここにいる自分と記憶は連続しているが、『死んだ』以上は、今ここにいる自分とは違う存在なのだ。

 少なくとも、静穏は……いや、セイはそう思っている。

 それゆえに、セイは親からもらった名を改めることにしたのだ。


(この人は字も書けるんだ。どこかの名家の人かな?武門の出身で修行中とか)


 すらすらと文字を書いているセイも見ながら、ミラはセイを考察していた。


 この世界は識字率が低い。義務教育がない、というのもそうだが、生きていくうえで名前すら文字で記す必要がないので誰も識字能力など身に着けない。身に着けることは無駄なことなのだ。

 そのうえで識字能力を身に着けているのならば、そんな無駄なことをする余裕のある者、仕事に出来るもの。つまり貴族やそれに準ずる家の生まれだと思った。


 そんな生まれの人がなぜこんな村に。訳が分からなくて、正直怪しい。


(ま、なんでもいっか。ララさんを助けてくれたなら、悪い人じゃないだろうし)


 しかしミラは少し考えた後、考えを放り投げる

 田舎の情報の伝達速度はその内部ならば凄まじく、セイが協会にいる間にララを魔物から助けたということは村中に伝わっていた。

 冒険者が魔物に殺されるなど、よくある話だ。冒険者同士でも助け合うのは可能な限りとしか求められていない。

 だと言うのに助けて、「無事でよかったです」とだけ言いお礼もせびらなかったという。きっといい人なのだろう。


 それに、いまセイがしようとしているのは冒険者登録であり、ダンジョンの攻略だ。危ない魔物を相手に戦ってくれるのだから、素性を気にする必要もないだろう。


「書き終わりました」

「分かりました。じゃあカードを発行する間に説明をしちゃうわね」


 ミラは軽く一礼して冒険者の説明に入る。

 冒険者とは国々が兵力を戦争に投入したことで世界中で魔物の被害が増加してしまい、これに対抗するために発生した職業だ。元は街を魔物の被害から守るための義勇兵であるが、あるときそんな彼らを束ねる冒険者ギルドが発足。現在では国に仕える兵士や騎士は人間を相手に戦い、魔物は民間人である冒険者たちが戦うという住み分けが出来ている。


 時代や場所によってはヤクザ者のような扱いを受けることもあるが、現在はどこも戦力が足りておらず魔物から守ってくれる存在として認識されているため、人々からは頼りにされることが多い。特に上級冒険者ともなれば尊敬を集めている。


 そんな冒険者ギルドは実力や実績に応じたランク制になっており、そのランクはGからA。そのさらに上にS級という八段階に分かれている。冒険者たちはランクごとに受けられる依頼を受けたり、魔物を狩ったりして、その素材や討伐証明部位を提出すれば金銭を得ることが出来る。


「あと、『冒険者同士は可能な限り助け合うように』……。こんなところね。なにか質問はある?」

「ないですね。次はダンジョンについてお願いします」

「はーい」


 十年ほど前、この村の近所にダンジョンが発生した。当初は角兎や丸猪といったランク1、強くてもランク2の獣型の魔物が発生する小規模なダンジョンであり、農夫たちが鍬を担いで小遣い稼ぎ出来る程度の難易度であったらしい。

 しかしここ数年なぜか急激に難易度があがり今ではランク3の魔物が出現するほどになっている。


 出現するのは変わらず魔獣型で、内装は平原。しかし到達しているのは三層までなので、その先は不明だ。


「なるほど。ありがとうございました」

「はいはいっと。冒険者への情報提供も冒険者ギルドの仕事だからね。お礼なんていいわ。宿屋はここしかないから、二階の一番手前の部屋を使ってね」

「はい。ありがとうございます」


 セイは部屋に案内され、そのままベッド倒れこむ。


(思ったより疲れたな……。朝から魔物を殺したり初めてこの世界の人間と喋ったりしたせいかな。まあいい、焦って死んでも笑えないし、おとなしく今日は寝よう)


 セイは泥のように就寝した。



・名前:セイ

・ランク:0

・種族:ダンジョンコア

・ジョブ:無職

・レベル:50

・ジョブ履歴:なし

・ダンジョンコア純度:0

・年齢:17歳


・能力値

生命力:30

魔力 :50

力  :7

敏捷 :5

体力 :8

知力 :18


・パッシブスキル

無し


・アクティブスキル

全属性魔術:1Lv(NEW)

魔力操作:2Lv(NEW)

高速思考:4Lv(NEW)



・ユニークスキル

ダンジョンコア接続:1Lv

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― 新着の感想 ―
[一言] レベル:50の割によっわ!、辛い世界だな
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