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ダンジョンコアの闘争  作者: ライブイ
1章 ダンジョンコアに取り憑きました
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9話 次の街へ

 セイとララは村に戻ると、まず冒険者ギルドの出張所に向かった。

 雑貨屋も宿屋も兼ねている中に入ると、すぐにミラを見つけ、ララが近づいていく。


「ミラさんミラさん!戻りました!」

「あああっ!!ララさんにセイさん!無事だったんですね!

 昨日帰ってこなくて心配で……スレイさんたちはほっとけっていうし……本当に無事でよかったぁ……」

「あっはっはっは。心配しすぎですって、たまにあるじゃないですか」

「どの時も心配しなかったときはないですからね!?」


 ララとミラが親し気に話しているのを後ろで見ていると、階段からスレイが降りてくる。


「おー生きてましたか。何日か帰ってこなかったら代わりに攻略するつもりでしたが、怪我も無いようでよかったです」

「微妙に心配されていなかったように聞こえるんですが。まあいいか。それより、ちゃんと攻略しましたよ」

「おお!弱っちいのにすごいですね。あのダンジョンは駆け出しに攻略できるとは聞いてませんでしたが。それに少し強くなってる気がします。魔力も増えたみたいですね……?ん?剣士ですよね?魔術師系にジョブチェンジでもしましたか?」

「魔術も使ってますからね。その影響でしょうよ」


 セイは適用に言葉を返すが、実際は少しギクリとしていた。

 実際に、異常なほどの魔力量が伸びている。


・名前:セイ

・ランク:1

・種族:ダンジョンコア

・ジョブ:剣士

・レベル:100

・ジョブ履歴:なし

・ダンジョンコア純度:1

・年齢:16歳


・能力値

生命力:150(75UP)

魔力 :350(250UP)

力  :45(30UP)

敏捷 :26(10UP)

体力 :56(38UP)

知力 :125(100UP)


・パッシブスキル

剣装備時能力値増強:小

魔術力強化:2Lv(NEW)

魔力増大:1Lv(NEW)

状態異常耐性:1Lv(NEW)


・アクティブスキル

剣術:2Lv

闘気:2Lv

結界:1Lv

全属性魔術:3Lv(2UP)

魔力操作:5Lv(1UP)

高速思考:4Lv

並列思考:4Lv


・ユニークスキル

ダンジョンコア接続:2Lv (1UP)


 今回は魔石を取り込みダンジョンコアとして肥大化したため、魔物としてのランクとダンジョンコアの純度が上がっていた。


 通常、人間が持っているステータス補正はジョブだけであり、魔物はランクだけだ。

 【剣士】ならば剣術や剣術に関するスキルへの補正と、剣術を使うための生命力や力、耐力に補正がかかる。【魔術師】ならば魔術や魔力操作などの魔術に関するスキルの補正と、魔術を使うための魔力や知力に補正がかかる。

 魔物はジョブとは違うが、同じように種族ごとに補正がかかっている。魔物は人間よりもスキルよりも能力値に大きな補正がかかるのは共通として、特にオークならば力が、コボルトならば俊敏に補正がかかる。もちろんドラゴンなどの全ての能力値が大幅に上がる、生き物としての格が違う魔物もいるが。


 ともあれ、それぞれ持っている補正は一種類だけ。新種族は二種類持っているが、セイはそれを超える三種類の補正を持っている。特に魔力は種族とダンジョンコアとしての性質も一致し相乗効果で人外の成長速度を誇る。

 それゆえにセイは常人よりも早く成長するのだが、魔物としてのランクやダンジョンコアを肉体にしていること、ダンジョンコア純度の話は出来ないので、適当に流すことにした。


「ところでダンジョンコアって今持ってますか?」

「持ってますよ。ララ、獣の巣のダンジョンコアを出してくれる?」

「あっ、すみません話し込んじゃって。えーっと、これです!」


 ララは大きな背負子から真っ二つに割れたダンジョンコアを取り出すと、スレイに持ってくる。

 スレイは腰の鞄から取り出した紙をダンジョンコアに当てると、その紙は淡く輝きだした。


「この輝きなら純度3ですね。ダンジョンの危険度にしては結構純度が高い方です」

「へー、魔道具ですか?そんな便利なものがあったのか」

「街ではこういうのも売ってますからね。今後もダンジョンに挑むなら買っておくといいですよ」


 しばらくセイとスレイが雑談していると、背負子を軽くしたララとミラがやってきた。


「あのー、セイさん。宝物庫の中身、ここじゃ買い取れないらしいです。街に行ってほしいって」

「へ?……あー。買い取るお金がない、みたいな話ですか?」

「はい……ごめんなさい。あくまでここは出張所なので、弱い魔物の討伐素材の買取りくらいしか出来ないんです……。宝箱が一つ出るだけでも街にいく行商に頼む必要があって、とても宝物庫の中身全部なんて絶対に買い切るためのお金がここには無いんです……」

「謝らなくていいですよ。俺も浮かれてうっかりしてしまいましたが、たしかに俺たちが初めての攻略者だからか、宝物庫普通よりも沢山入ってましたしね」


 セイは気にした様子もなく言葉を返す。

 小さな出張所に宝物庫の中身を売却に来るなど、駐車場にキッチンカーでやってきた飲食店に宴会用の料理を予約も無しに買いに来るようなものだ。

 もし謝るべき誰かがいるとしても、セイ達の方だろう。


「じゃあその行商人が来るまで待つのか……、ん?いや、街まで俺が行けばいいのか」

「おっ!じゃあ私たちと一緒に来ます?どうせここから行ける街って一か所だけですし」

「いいんですか?道が分からないので助かります」

「ええもちろん。そうだ!なんならうちの傭兵団に入ります?ライオスさんもセイは骨があるって言ってましたし、入団試験もセイなら余裕ですよ!」

「傭兵団?ああ、そういや冒険者でもあり傭兵でもあるって言ってましたね。……考えておきます」

「期待して返事を待ってますよ?うちには私の稽古に付き合ってくれる人っていないので、セイが来てくれると私も嬉しいんですよ」


 あっさりと次の方針を決めたセイはスレイと出発の予定を決めてしまう。

 スレイがライオスにも話してくると階段を上がっていくのを見送ると、セイは傍で黙っているララに目を向ける。


「そんなわけでララさん。俺は自分の分は街に持っていくので、お互いの取り分を決めま‥‥‥」

「私もついてきます!」

「うわっ、びっくりした」


 覆いかぶさるように大声を出して来たララに驚き、仰け反ってしまう。


「まだ命を助けてもらった恩を返しきれていません。なので、お邪魔でなければ、同行させて下さい」

「邪魔ではないし、むしろ俺の方が助けられたからいいんだけど……。んー、先に言っておくか。俺には人に言えない秘密がある。俺についてくると普通の冒険者じゃしないようなこともするし、普通の冒険者じゃ考えられない危ない目にもあうと思う。それでもいいの?親とも生涯の別れになるかもしれないよ?」

「そういう時は適宜離れるから大丈夫です」

「あ、はい」

「それに私、この村の出身じゃないので、親とももう会う気は無いですよ」

「あ、そうだったんだ……。ま、本人がいいならいいか。

 じゃあ改めて、よろしく。ララさん」

「ララでいいですね。私もセイって呼びますから」

「あいよ、ララ」


 セイは穏やかに、ララは朗らかに笑顔でハイタッチをし、その光景をミラはさみしくなるなぁと眺めていた。


 翌日、セイたち四人の姿は街の入り口にあった。


「いやー旅をするにはもってこいのいい天気!これも私の日ごろの行いがいいからに違いありませんね!」

「何あほなこと言ってんだ。それよりセイ、街まで十日はかかる。ちゃんと備品の確認をしておけよ」

「ララが買い出しから全部やってくれたそうなので大丈夫ですよ」

「ええもちろん、任せてください!」

「……役割分担も必要だが、最低限は出来るようになっておけよ。うちの傭兵団じゃそれは通じないぞ」

「ですねぇ。私もよくやらされました。そういえばセイは街への道を知らないんですか?」

「ええ。こっちの道は使わなかったので」


 四人とも社交的な性格をしているためか、旅は穏やかに、進んでいく。


(この道を使わないだと……?北は山脈、南は海、残るは東の草原だが、そのさらに向こうは死者の王がいる荒野。どっから来たんだ?

 ……そういえば、東の草原は流刑地になっていたな)


 背も高く眼光も鋭く、恐ろしい風貌のライオスは武闘派に見えるが、傭兵団の副団長を務めているだけあって頭は非常に良い。セイの不審な点に直ぐに気が付いた。


(まあ、いいか)


 しかし、追求することは無かった。

 冒険者も傭兵も、法の外と内の境界線上にいるような職業だ。明確に何か悪いことをしたならばともかく、不確かな理由では裁かれることも、保護されることもない。そんな存在だ。

 脛に疵持つ者も多い。ライオスたちの傭兵団もそうだ。


 ならば、気にすることもない。


「セイ、結局お前はうちの傭兵団に入るのか?」

「考え中です」

「悩んでるくらいなら入ったほうがいいぞ。特にスレイの世話をしてくれる奴は貴重だからな」

「ちょっとー私を問題児扱いするのは辞めてくださいよー」

「黙れ。新人を稽古づけるとか言って何人脱退させたと思ってるんだ。」

「わざとじゃないんですって!それにセイはちゃんと付き合ってくれたんですし、あの人たちが貧弱だったんですよ!」


 セイは静かな生活が多いが、賑やかな生活が嫌いなわけではない。旅は楽しく続いた。

 そして二日目、セイに念話が届いた。


『マスター、侵入者です。冒険者と思わしき四人組がダンジョンに侵入しました』


 その念話はナビからだ。

 念話自体は毎日しているが、その内容には驚いた。


(オッケー、モニター回して。撃退する)

『かしこまりました。では私はハナビ様の子守に戻ります』

(お願いね)


 セイは三人との会話に不自然さが出ないように気を付けながら、意識の大半を視界に映したモニターに向けた。

私事ですが、この春新社会人になりました。

疲れが全く取れず困惑しています。ふらっと1回休むようなことがあるかもしれないので先に謝罪します。

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