一度勝てればいい戦い
「話があるわ」
私が言うと、彼は少し困ったような笑顔を見せる。
「それは、また告白のこと?」
「そうよ。いい加減イエスと答えたらどう?」
「でも今はまだ、誰かと付き合いたいとかそういうのを思わないんだ」
「あのね、私がいつまでもあんたを好きでいると思ったら大間違いよ! 無償の愛なんてそう長くは続かないものなの。愛さざる者愛されずだわ。毎年あんたのために手間暇かけてチョコ作ったり誕生日のお祝いしたりするのなんて私くらいなんだから。いっつもすました顔してありがとうなんて言っちゃって。これからはそう上手くはいかないわ。試しにでも何でもいいからそろそろ観念して私と付き合いなさい!」
彼は目を丸くして、それからあははと声に出して笑った。
「何よ、私は本気よ」
「ごめん。その、思ってたのとずいぶん違う内容だったから」
「普通にしてもいつもみたいにあやふやにされちゃうでしょ」
彼の眉尻が申し訳なさそうに下がる。
「それで返事はくれるの?」
「まだ色々わからないままだけど、今の話を聞いて、君が離れてしまうのは嫌だと思った。だから……でも、あとでがっかりしても知らないぞ」
「あんまり私を見くびらないでちょうだい」
こうして、ただ一度勝てればいい戦いに私はようやく勝利することができた。
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