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家庭科の調理実習を休んだら

「どうしてこんなことになるんよ」


 彼女は玉ねぎを切りながら不満を漏らす。


「俺たちが2人とも調理実習を休んだことと、君が料理部に所属していることと、あとは先生のきまぐれのせいだ」

「ええい、しゃーしい!」

「理不尽な……」


 まさかの放課後補修。家庭科室の前では、一応、監督のため先生が退屈そうに座っている。


「あんたちゃんと手洗ったやろうね?」

「洗っとるわ」

「じゃあ、ひき肉に牛乳とか混ぜるのお願い」

「洗ったばかりなのにもう手をよごすのか」


「それは皮肉をこめてるの?」

「ああ、ひき肉をこねる代わりにね」

「全然上手くないけん。あと、その微妙にニヤッとした顔ほんとウザい」


 それから20分ほどかけてハンバーグが完成した。先生を交えて3人で一緒に食べる。


「うん。ちゃんとおいしいじゃないか」


 先生の言う通り、味はよかった。自分(と彼女)の料理の出来栄えに内心、嬉しくなる。ふと横を見ると彼女も幸せそうにご飯をほおばっていた。その表情を見て、彼女がなぜ料理部にいるのかわかったような気がした。


「ところで菅原は料理部に興味ないか? 先輩が卒業して、今は坂上しかいないんだ」


 なるほど。今日の補修は決して先生の気まぐれなんかじゃなかったわけだ。となりで坂上は寝耳に水の表情をしている。そして、悔しくも俺の心は揺れていた。


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