表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/48

第一印象の最悪だった彼

 学校を出ようとしたところでノートを忘れたことに気付き、慌てて階段をのぼる。私の教室がある三階まで上がった瞬間、廊下から声が聞こえてきた。


「俺、ナスが好きなんだよね」


 その不意打ちにドキリと胸を刺される。声の主はすぐに廊下を曲がって階段に顔を出し、硬直した私を見つけた。


「あ、那須さん。どうしたと?」

「うっ、佐藤くん。いや、別に……」


 彼は気付いていないようだったが、となりにいた彼の友達がすぐにハッとして笑った。


「お前が言ったセリフだよ。よく野菜を食べるけど特に茄子が好きってやつ。ほら、同じナスやけん」


 今なら顔どころか全身から火が吹き出てもおかしくないと思った。


「あはは、そういうことか。びっくりさせてごめんね」

「いや、全然! じゃあ私もう行くね!」


 とにかく姿を消したくてさっさと会話を切り上げる。去りぎわにまた彼の声が聞こえた。


「まあ那須さんのことも好きやけど」


 私と彼の友達は同時に「ええっ!?」と驚きの声を上げる。


「……茄子の次にね」


 チラッと舌を出していたずらっぽく笑う彼。

 それを見た私は煮えた湯のような熱いものがふつふつと頭にわき上がってくるのを感じた。


「おい、今のはちょっとからかいすぎじゃ」

「ううん、気にせんでいいよ! 私は気にしとらんけん」


 友達の気づかいを断ってずんずんと大股で彼に近寄る。そして目の前に立つと、できるだけ険しい顔を作って言い放った。


「せっかくやけん私の苦手なものを教えちゃあ。サトウよ。ああ、調味料の砂糖のこと。甘すぎるのがダメなんよ。佐藤くんのことは別に苦手じゃないけん。苦手じゃなくて嫌い!」


 気にしてないと言ったが嘘だ。実はめちゃめちゃ気にしていた。


1でも2でも評価していただけると今後の参考になるのでとても嬉しいです!

ツイッターで新作の投稿もしているのでぜひページ下部のリンク(たきのツイッターアカウント)よりご覧ください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ