幼なじみが引っ越すことになった
小学6年生の冬。卒業まであと4か月というタイミングで幼なじみが引っ越すことになった。それを知った当時の俺はすぐさま彼女の家へと向かった。
玄関のチャイムを鳴らすとドアが開いて中から彼女が現れる。彼女はすっかり肩を落としていた。
「……引っ越しするって本当なのか?」
俺がおそるおそる尋ねると、彼女は目を伏せたまま小さな声でうんと答えた。
「学校は?」
「転校しなきゃって、お母さんが」
「そんな、これまでずっと一緒にいたのに」
途端に彼女は両手で顔をおおって肩を震わせた。
「私だって、もっとずっと、一緒に遊びたかったよ……」
彼女につられて俺の目にも涙がたまる。だけど、このまま一緒に泣いたらダメだと思った。そしたらどこまでも崩れ落ちてしまいそうで、もう立ち直れなくなってしまいそうで怖かった。だから、必死に自分を奮い立たせた。
「俺、電話とか、手紙も書くから! 引っ越した後もずっとやり取りしようよ。それに必ずまた会いにいく! 約束する!」
彼女が顔を上げる。その目にはまだ涙があふれていたけど、それでも彼女はとても嬉しそうに笑ってくれた。
「私、待っとるけん! 電話も手紙も、絶対にすぐ返事する!」
お互いにその時は、まさか引っ越し先がとなり街で、すぐにまた中学で再開することになるなんて思わなかったんだ。
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