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こだわり

作者: 北野とほ

先日ラーメン屋に立ち寄ったとき、後から3人家族が入ってきた。男の子は4〜5歳くらいだろうか。家族でラーメンなんて実に微笑ましい光景だ。


男の子は正油ラーメンが食べたかったのだが、一緒に食べるお父さんは正油チャーシューを頼んでしまった。すると男の子は「正油チャーシューじゃなくて、正油ラーメン!」「正油チャーシューじゃなくて、正油ラーメン!」と大声でわめき始めた。


ははは...、正油ラーメンも正油チャーシューも、チャーシューが多いか少ないかというだけで味はまったく一緒だ、ていうかチャーシューが多いんだから正油チャーシューの方がいいに決まってる。子供のこだわりっていうのはかわいいもんだ。


その様子を見ていたラーメン屋のおばちゃんは、微笑みながらその家族を見ていた。たいてい子供が騒いでいると他の客の迷惑になるから、注意したり眉をひそめたりするもんだが、さすがに人間ができてる。僕はこの小さなラーメン屋が常に客に愛されている理由がわかった気がした。この優しいスープの味もおばちゃんの人柄が表れているのだろう。


そう思った瞬間、カウンター越しにおばちゃんがボソッとつぶやいた。

「うるせぇなぁ...。」

その時、おばちゃんの顔から微笑みは消えていた。


(完)

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