7:『人は見かけによりません。』
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次の日、二人は先日の情報を頼りに町を探していました。ですが、情報と違い森を抜けても全然見えてきませんでした。夜になり痺れを切らしたかんながこう言いました。
「町は!どこなんだ~~~!」
お怒りのご様子です。村で買った地図では森からそう遠くはないはずなのに、周りは草のみが広がっています。隣で死んだ顔をしているさくらが立ち止まりこう言いました。
「お腹……空いた……」
そうです。町はすぐだろうと思っていた二人は、到着してから昼食を食べる予定だったので、何も食べていません。まさか、こんなことになるなんて思っていませんでした。今日も野宿かと考えていると先に人影を見つけました。
それは女の子のようで周りには、魔物が3体もいます。危ないと思った二人は慌てて助太刀に入ることにしました。
「大丈夫か!」
後ろから一体仕留めたかんなが女の子に声を掛けます。さくらは遠くで魔物の種類を調べていました。すると、餅豚と言う食用の魔物であることがわかりました。あまり強くもないのでかんながササッと片付けてしまいました。
「ありがとうございました。あなたたちは?」
辞書のような本を持った背の高い長い黒髪の女の子は無表情のままお礼を言い、二人に問いました。ですが、二人は先ほど仕留めた餅豚をよだれを垂らしながら見えていてそれどころではありません。そんな二人に黒髪の女の子はこう言いました。
「近くに町があるので持って帰って、食事にしましょう」
それを聞いた二人は目を輝かせ、すぐに餅豚を担ぎました。
黒髪の女の子に連れられて歩いていると灯りが見えてきました。二人はようやく町に到着し、さっそく晩御飯を食べることにしました。
「酒場に行けばちゃんと調理してくれますよ」
黒髪の女の子にそう言われて、酒場に向かうことにしました。酒場はたくさんの人がいて凄く活気に溢れていました。餅豚三頭をカウンターに持っていき、調理をお願いして三人はテーブルで待つことにしました。すると、黒髪の女の子はこう言いました。
「自己紹介がまだでしたね、私は夏野ゆりといいます」
二人も自己紹介をして軽く会話をしていると、お待ちかねの料理が運ばれてきました。待ちに待ったご飯を前にしてさくらとかんなはガツガツと食べ始めました。きれいに食べ終えた二人が満腹感に浸っていると、ゆりがコップを置き二人にこう聞きました。
「お二人はノアさんに選ばれた人で間違いありませんか?」
ゆりの問いにさくらが「そうだよ」と、答えました。
「やっと会えましたね。下手に動き回っても出会えるか分からないので、この町を拠点にして誰かが来るのを待っていました」
無表情だが安心した言い方でそう言いました。
「これからご一緒させて頂いても構いませんか?」そう聞かれた二人は笑顔で「イエス!」と答えゆりを仲間に加えた。かんながゆりの職業について聞くと魔法使いであることがわかりました。続いてさくらがこんなことを聞きました。
「ゆりちゃんって、大学生?」
「いいえ、高校生です。まだ18歳です」
「大人っぽいね~~」
そういわれたゆりは特に反応はなく無表情でした。
「さくらさんは中学生ですか?」
その言葉にさくらは固まった。
「ここに来て何回子供扱いされるのだろうか」と、「あの時、好き嫌いせず牛乳を飲んでいればこんな体にはならなかったのでは?」と、俯いて考え込んでしまいました。
「あいつこう見えて高一なんだよ」
かんなが耳打ちでゆりにそう伝えました。すると、ゆりがさくらに言いました。
「さくらさん私も周りの女の子に比べると、背も高いですし高校生として見て貰えないことがあります。でも、これは個性なのだと私は受け入れています」
それを聞いたさくらは顔を上げてゆりの目を見て、続けて話を聞きました。
「子供っぽく見られるのは嫌かもしれませんが、私は今のさくらさんは個性があって良いと思いますよ」
さくらにはそう言ったゆりに後光が差し、まるで女神のように見えたのでした。
「そうだよね!別に小さい高校生がいたっていいよね!個性だよね!」
すぐに元気になりました。かんなは「こいつ単純だな~」と思いながら隣で見ていました。夜も更けて来たので、明日から情報集めをすることにして、宿に向かい休むことにしました。
次の日の朝、街に並ぶ店が開店するのを見て、三人は行動を始めました。
手分けして情報集めするほうが効率が良いと思うのですが、さくらを一人にするのは心配だったかんなが、ゆりに強引にさくらを押し付けて自分はそそくさと行ってしまいました。残った二人は町を探索することにしました。
「ゆりちゃんはどうすれば家に戻れるのか知ってるの?」
「いいえ、私は知りません。ノアさんに後で三人送るからと、言われていたので誰かが聞いているかと……」
ノアの説明不足には本当に困りました。二人ともお手上げです。とりあえず、二人は他の町の場所や出会うかもしれない魔物に関して情報を集めました。
すると、街中を歩いているとさくらに男の人がぶつかりました。
さくらは「ごめんなさい」と、謝ったが男はササッとどこかに行きました。
それを見てゆりが持ち物を確認するよう、さくらに言いました。
「銀色の鈴が無い!」
おじさんに貰ったあまり役に立たない鈴が盗まれてしまい、二人は男を追いかけます!一瞬ですが顔を見ていたゆりはあたりを見ながら犯人を捜します!
さくらはゆりとはぐれないように後ろから付いて行きます。
「見つけました」
目の前で犯人が路地に入っていくところを目撃します!二人は走って追いかけます!すると、気づいた犯人も慌てて走り出しました!そのまま、追いかけ続けて行き止まりで、犯人を追い詰めました。
「さっき取った鈴を返して!」
「鈴~?なんのことだよ。知らねえな~」
さくらの言葉に対して、犯人はとぼけて鈴を返そうとしません!すると、ゆりが辞書のような本開き、コツンコツンと靴を鳴らせながら犯人に近寄っていきました。
「私に無駄な時間と体力を使わせましたね。いいんですよ、あなたが盗んだことは分かってますので」
そう言った途端、ゆりは犯人に電気の魔法を浴びせました。突然だったのでさくらもびっくりして目を丸くしています。すると、もう一発!もう一発!と何度も魔法を浴びせました!
「これは……返すまで続きますよ」
とてもとても冷たい目をしてそう言いました。普段は無表情な彼女でしたが、怒っているのがすぐに分かりました。隣で見ていたさくらは巨大蜘蛛に襲われた時以上の恐怖を感じていました。この人は絶対に怒らせてはいけないとさくらは心に決めました。
10回ほど電撃を浴びせた頃に犯人は完全に気絶し、手に持っていた鈴はそばに転がっていました。拾った鈴をさくらに渡し、次は無くさないように言いました。
この時、日も落ちかけていたので集合場所の酒場に戻ることにしました。
三人はご飯を食べながら今日の事を報告し合っていました。
さくらが鈴を取られて大変だったという話をしていました。
「せっかくおっちゃんに貰った大事な鈴なんだから大事にしろよな!」
そう言いながらさくらの頬っぺたの両方をつまみ引っ張りました。じたばたしながらさくらが謝りました。すると、笑い声が聞こえた気がした二人はゆりの方を向きました。そこにはとても優しい顔をして笑っているゆりの姿がありました。びっくりした二人が顔をじっと見ているとゆりがこう言いました。
「すいません。二人のやり取りが面白かったので……つい」
そう言ったゆりに二人はこう返しました。
「ゆりちゃん笑ってるほうが可愛いよ!」
「そうだな。怖さが半減するな(笑)」
少し照れた表情で聞いていたゆりは、間を置いて言いました。
「ありがとう。あと、別に……怖くないですよ」
優しい笑顔でそう言いました。
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