6:『情報収集は、RPGの基本だよ。』
依頼:【夜うさぎの捕獲(数自由)】場所:ナモリ草原
~早朝~
「そっちに、行ったぞ~~。」
そういわれて、伏せていたさくらが近づいてくる夜うさぎに向かって飛び掛かった!タイミングもバッチリで獲物を捕まえた。
「ナイス!さくら。」
「うん。流石に慣れてきちゃったよ。」
二人は討伐依頼をやめて、報酬が少し多い捕獲依頼をして宿代を稼いでいた。
うさぎの速さに目が追い付いてきたのを感じ、さくらはこんなことを言った。
「レベルが上がったってことかな?」
「レベル?なんだよそれ。」
「ここってゲームの舞台になったところでしょ?」
「そういえばそうだったな。」
そんな話をしながら二人は村の方へ向かっていた。
村で報酬を貰い、宿の食堂で朝食を食べながら先ほどの会話の続きをしていた。
「レベルってどうやって確認するんだ?」
「ん~。プリンセスシリーズならSTARTボタン押して、ステータスの項目から見れたけど。」
「いや、それゲームだろ。人とかに聞けば分かるとか無いのかよ。」
「教会とか、王様とかかな?」
「なんかスク〇ニのゲームぽいな。あと、どうすればここから出られるんだ?その辺の説明されてないんだけど。」
「わたしも知らないよ。」
情報量の少なさに二人はどうすることもできないと分かった。
さくらは自分のやったRPGの事を思い出してこういった。
「ゲームだと大きな町に行って情報集めをしたりするでしょ。そろそろ違う町に向かったほうがいいかもね。」
それを聞いて「なるほど。」と、頷いていたかんなは突然立ち上がりこう返事をした。
「そうだな。それじゃさっそく村を出るぞ~。」
「ええ!今から行くの?」
「おうよ!思い立ったが吉日だろ!」
かんなの行動力の凄さに若干ついていけてないさくらだったが、言い出したのが自分と言う所もあり、すぐに村を出る準備を始めました。
「宿のおばちゃんに町の場所聞いてきたぞ。」
「どっちに向かえばいいの?」
そう聞くと、かんなは村で買った地図を広げて説明を始めた。
「村から草原に出て道なりに進んで、先にある森を抜ければ町が見えるらしいぞ。」
ざっくりと書かれた地図だったので、どのくらいの距離なのか分からなかったけれど、さくらはこの時、「あ~、多分野宿だな~。」と心の中で静かに思った。
「よっし!じゃ出発するぞ!」
「お~~!」
宿屋のおばちゃんに見送られて、さくら達は村の出口に向かった。
出口には防具屋のおじさんや武器屋のお姉さんたちが見送りに来てくれていた。
すると、おじさんがあるものを差し出した。
「森にはいろんな魔物がいるからこれを持っていきな。」
そう言われて、『銀色の鈴』を渡された。おじさん曰く、これがあれば弱い魔物は襲ってこないらしい。
説明を聞いていたさくらがこう聞き返した。
「強い魔物が出たときはどうすればいいの?」
おじさんは少し間を開け、さくらの華奢な肩にポンッと手を置いてこう言った。
「全力で逃げろ。」
さくらは真顔でおじさんの顔を見ながら「この鈴いらなくない?」と心の中で思った。
「それじゃ、みんなありがと~。」
二人はお礼を言って、村の人たちに手を振りながら、ナモリ村を後にした。
「優しい人たちだったね。」
「そうだな。また来ようぜ。」
そういいながら二人は草原を歩いていた。すると、かんなが思い出したかのように道具入れから何かを取り出した。
「あ!アイススネークだ。ちょうだいちょうだい。」
渡された蛇の頭を咥えてチューチュー吸いだした。
美味しそうに食べているさくらを見て、かんなが一言こういった。
「おまえ、躊躇無くなったな。」
そういわれて、食べるのを止めたさくらは少し間を置いて蛇を見ながら真顔でこういった。
「慣れって、怖いよね。」
~森入口~
「特に何もなく森についちゃったね。」
「やめろよ。今から何か起きるフラグ立っちゃうだろ。」
太陽もまだ沈みそうではなかったので二人はそのまま森に入っていった。
一応森の中も道があり、迷うことは無さそうだった。
「そういえば、わたしが初めに出た所も森だったな。」
「そうなのか。」
「うん。その時、黄色い目の何かに追われて全力で逃げたんだけど、そのまま崖に落ちて、川で溺れちゃったんだよね。」
「なるほどな、それで流れて来たところをあたしが助けたってことだな。というか、よく死ななかったな。」
「自分でも不思議だよ。」
「運がいいのかもしれないな。」
そんな二人が出会った時の話をしながら森の中を歩いていると、気づいたら辺りは暗くなっていました。さっきまで明るかったのにもう夜と同じくらいです。
おかしいなと思いながらかんなはランタンをつけました。
すると、道の先に3つ光るものが見えました。何だろうと見ているとその光るものはこちらに近づいてきて、姿を現しました。
それは大きな蜘蛛でした。大きさを例えて言うと、初代バイ〇に出てくる奴と同じくらいの大きさでした。
「やばい!でかい蜘蛛だ!さくら鈴は付けてるのか?」
「付けてるよ!でも、寄って来たって事はヤバイ奴なんじゃ。」
二人は慌てて引き返そうとしましたが時すでに遅し、後ろにももう一匹。
どうすればいいか考えているときに、さくらはおもむろに村で買った本を読み始めました。
「おい!何やってんだよ!」
「魔物図鑑で特徴探してるから、かんなちゃん時間稼ぎして!」
このちびっこムチャ言うな。と思いながら、かんなは戦闘態勢に入りました。
でも、近づいたら大きな牙で噛まれる危険があると考え、距離をとって様子を伺っていました。
すると、さくらが大声でこう言いました。
「あった!かんなちゃんたいまつ付けて!」
「なんでだよ。灯りはランタンで行けるだろ!」
「灯りじゃないの!だから早く!」
そういわれ、慌てて簡易たいまつに火をつけました。すると、寄ってきていた蜘蛛は止まり、後ずさりして逃げていきました。
「よかった~。でもなんでだ?」
「熱に弱いって書いてあるよ。因みに名前が飴蜘蛛(食用)だって。」
「あれ、食えるのか。やばいなこの世界。」
二人は何とか難を逃れました。これ以上ここにいるのは危険と感じ急ぎ足で森を抜けることにしました。
「ふぅ、やっと抜けた~。」
「流石に疲れたぜ。」
森を抜けたとき、外はもう真っ暗でした。聞いてた話とは違い、町は見えておらず二人は森から少し離れた所で休むことにしました。
遅めの夕食を食べながら二人はさっきのことを話していました。
「流石にさっきのは死んじゃうかと思ったよ。」
「あたしも食われるかと思ったぜ。」
笑いながら話していますが、今生きているからこそ笑えることなのだと実感していました。もしかしたら、また死ぬ思いをするかもしれないと言う恐怖を二人は感じていました。夕食を済ませた二人は静かに寝る準備を始めました。
毛布をかぶって寝ようとしていたかんなに、さくらが声を掛けました。
「かんなちゃん。」
「ん?どうした?」
返事をしたかんなに対して、まじめな顔をしてさくらが言いました。
「何としても生きて帰ろうね。」
「もちろんだ。」
そう答えたかんなと顔を合わせ、フフッと笑いながら指切りをして二人は眠りにつきました。




