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プリンセス・ブレイド  作者: 貴乃まさ吉
2/12

2:『チュートリアルは、無しです。』

めっちゃ笑顔だ。


少女がとてもうれしそうにさくらの事を見ている。

右から、左から、下から、後ろから、前から、場所を変え嬉しそうにはしゃいでいる。

どうすればいいのか分からないさくらは固まっていた。

すると、少女は言った。

「お返事はイエスですか?それともハイですか?」

拒否権が一切ないのは変わらないみたいだ。

どうしたものかと考えていると、少女は目の前にしゃがみ込み上目遣いでさくらを見つめていた。

「か、かわいい。」

純粋にそう感じた。小動物のような愛らしさ。子猫にじっと見つめられているみたいな。今にも抱きしめたくなる可愛さ。

すると、少女はさくらの服をギュッと掴み、今にも泣きそうな顔をしてこう言った。

「おねえちゃん、助けて。私の世界が危ないの。おねえちゃんにしか頼めないの。」

「いいよ!おねえちゃんに任せて!」

即答だった。だっておねえちゃんなんて呼ばれて嬉しかったんだもん。

「ニヤリ」

「ありがとー。おねえちゃん大好きーー。」

「一瞬悪魔の微笑みが見えた気がしたんだけど気のせいかな?」

「???」

可愛くとぼけた顔をしているけど、気のせいなのか?

「にこっ」

うん、気のせいだ。絶対。可愛いは正義。


コホンと咳払いをして少女はこう言った。

「改めまして、私の名前は『ノア』です。」

「さくらちゃんには、異世界を救って来てもらいます。」

「うん。ん?」

違和感を感じた。だがその違和感にはすぐに気づいた。

「どうして私の名前知ってるの?」

こう聞くとノアも不思議そうにこう言った。

「だって名前の入力してくれたでしょ?」

そう言われてさくらは3秒ほど固まって思い出す。

「でも、あれはゲームキャラの名前だし。」

「そうなの?嫌ならまだ変更できるよ。変える?」

「そうじゃなくって。」

微妙に話が噛み合わない。

「!」

思い出したかのようにノアは言った。

「ここもゲームソフトの中だよ。」

「なん・・だと・・。」

「正確には私の世界をもとに作られたゲームだよ。」

無い胸を張りながら、ドヤ顔でノアはそういった。

「もっと言うと、ここはさくらちゃんの世界と異世界の間で、ソフトは出入口みたいなものなの。」

さくらは少し間を置いてこう言った。

「な、ナルホド~」

理解したのか、してないのか分からない顔で、曖昧な返事しか出なかった。

だが、そんなことは御構い無しで、話は進んで行く。

「あー、ジョブの選択まだだったよね。さくらちゃんは戦士かな~?魔法使いもいいかも~。」

「わたしは、パラディンとか竜騎士とかがいいな~。かっこいいし。」

「よ~し!じゃあ、魔法剣士で!」

「ちょっと待って!少しは意見聞いてよ!」

「えー、いいじゃない魔法剣士。カッコいいよ!それに、レベル的に上級職は無理だよ。」

「ん!レベルって分かるの?ちょっと気になるかも。」

「さくらちゃんって今何歳?」

「え?16歳だけど。」

「じゃあ、16レベルだね~。」

「年齢=レベルなの!それじゃあ、年に1しか上がらないよ!」

「なんちゃって~☆嘘だよ~。はじめはみんな1からだよ。向こうで魔物とか倒したらちゃんとレベル上がるよ~。」

ノアのボケに突っ込みを入れていたらどこからかアラーム音が鳴った。

「わぁ!もう時間か。」

さくらはそのアラームをどこから出したのか、なんてもう突っ込まなかった。

「他の三人ももう着いてると思うから、さくらちゃんもそろそろ行こうか。」

「えっ!そんな急に!」

「他の3人って何?私の他に誰かいるの?」

「うん。みんなと仲良く力を合わせて頑張ってね!」

そういうとさくらの周りに光が集まって来た。

「ちょっと待って!チュートリアルとか無いの?」

ノアは天使のような笑顔で言った。

「チュートリアルは、無しです。」

もう悪魔の微笑みにしか見えない。

光は消えさくらも居なくなっていた。

そこでノアは気が付いた。

「あ。装備と武器とお金渡すの忘れちゃった。」

少し考えて出した結論はこうだった。


「まあ、いいか~。」


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