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プリンセス・ブレイド  作者: 貴乃まさ吉
1/12

1:『この世界を救ってください!』

ここに、ひとりのゲーマーがいた。


「早く来い。速く来い。はやくこい。」

『桃原さくら』はとてもソワソワしていた。

何故なら、待ちわびていたゲームソフトの発売日だからだ。

どうして、ネットで買ってしまったのか、お店で予約しておけば朝一番で買いに行ってすぐに遊べたのに。

多分、夏の日差しに臆してしまったのだろう。

なんて事を考えていると、時計は午後十二時を指そうとしていた。

すると、不意に待ちわびていたベルが鳴った。

「ピンポーン!」

さくらからしたらこのベルはスタートの合図だった。

あらかじめスタンバイして置いた印鑑を手に取り、二階の部屋から猛ダッシュで一階まで駆け降りてすかさず玄関のドアを開けた。

そこには荷物を抱えた宅配業者のおじさんが笑顔で立っていた。

「まいどー。いつもありがとねー。ここにハンコお願いね。」

「はぁーい!」

無事荷物を受け取った。だが、まだゴールではない。むしろここからが重要。

荷物を抱えままリビングへ行き、冷蔵庫からキンキンに冷えたコーラとグラスを取り出し、猛ダッシュで二階の部屋まで駆け上がった。

冷房の効いた部屋でやっと腰を下ろす。一息つくためグラスにコーラを注ぎ一気に飲み干す。

「さあ、開封の儀を始めよう。」

まずは見慣れたア〇ゾンの箱からソフトを取り出す、新品だけど一応パッケージにキズ等が無いか確認。

「うん。超美品。」

キズ等の確認が終わるとパッケージとの正式な顔合わせだ。


アクションRPG『プリンセス・ブレイド』

プリンセスシリーズの最新作で今作からマルチプレイとPvPが追加されていてボリュームは前作からの3倍増し。凄過ぎる。


「はぁ~。今回もイラストめっちゃきれい。」

思わずため息が出てしまうほどの美しさ。

タイトルのロゴ・表紙イラスト・裏のちょっとした説明これだけで小一時間は楽しめそうであるが、またの機会にとって置こう。

では、フェイズ2に移行しよう。


フェイズ2それはシュリンクを開ける、ただこれだけ。

だが、新品のソフトを買った時しか味わえない限られた至福の時間なのである。

物によっては剝きにくかったり、剥きやすかったりするけど、ぺりぺりしてるこの時は、とても気持ちがいい。

さあ、次はディスクとの対面だ。

ディスクに印刷されているイラストもとてもキレイでついうっとりしてしまう。

少し前までは横に説明書もあったけど、今はディスクに電子説明書として入っていることが多くなって少し残念な気分になってしまう。

まあ、大人の事情という奴なのだろう。


よし。あとはディスクをハードに入れてインストールすれば準備完了なのだが、珍しいことにこのソフトはインスト無しで遊べるらしい。

ありがとう開発者、ゲーマーの事を良くわかっている。

インストの時間って何とも言えない気分になる。

例えば、エサを前にして待てと言われている犬の気分。みたいなそんな感じ。


すぐに遊べるみたいだしプレイして行こうではないですか。

「今回のオープニングはどんなのかな~。」

毎回力の入ったオープニングが有名で今作も期待しつつ待っていると、現れたのはタイトル画面だった。

「あれ?オープニングは?プロローグ終わってからかな?」

疑問に思いつつニューゲームを選択すると、名前入力画面が現れた。

「ん~。まあ、さくらでいいや。」

入力後決定を押して画面が切り替わり、ロード中のアイコンが出ている。

「ロード長いな~。インスト無しだから?」。

なんて思いつつアイコンを眺めていると、突然画面がぶれたように見えた。

目を凝らして見ようとすると、自分の視界がぶれていくのが分かった。

でも、気付いた時には遅かった。その場で気絶してしまった。


気が付くとそこは自分の部屋ではなかった。

何もない白い空間。

白過ぎて壁があるのかどうかもわからない。

そんな場所に白髪の少女が一人立っていた。

さくらは少女にこう聞いた。

「ここはどこ?あなたは誰?」

少女は笑顔でこう言った。

「あなたは選ばれました~~~。」

「???」

何の事か分からず頭上には?が並んだ。それと私の質問に対しての返事は?

さくらは詰まりつつこう聞いた。

「・・何に・・・選ばれたの?」

すると、少女はまた質問を無視して嬉しそうこう続けて言った。

「この世界を救って下さい!お返事はイエスかハイでお願いします。」

複雑そうな顔をして、さくらは心の底から思った。



「家で・・・ゲームやりたい・・・。」


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