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<<圏域>>で暮らそう!  作者: 互換エビ
1/6

#1 「昼下がり、ジャノヒゲ・デパートで - 1」

「あの…良かったら…一緒に行きませんか…?」

彼女は、自信なさげに喋った。これって、デート、というヤツでは…!?

…お相手は、人間ヒトじゃないけど。


俺の名前はモリオ。21歳。ご推察かもしれないが本名じゃない。こちらへ来てから名乗り始めた名前だ。彼女の名前はシノブ。この「圏域グンマー」の地から生まれた精霊の1人。

ここへやって来た目的は、一言で言えば「スリル」。ネットのアングラSNSで日々流れる、この土地に関するミーム。その真偽の程を確かめることで、日常の退屈を紛らわせたい…そんな軽いノリで検問所ウスイトウゲから入圏したのが数日前のことだった。その日の内に、ある出来事がきっかけで彼女とパートナーになった。…それは恐ろしく、俺の心と身体に痛烈な印象を残した「事件」だったのだが…それについて語るのはまた機会を改めるとしよう。


今回のデートのきっかけは、一枚の映画のチケットだった。

「オウ新入り、これやるよ」

昨日の夕方、俺たちが常宿を構える「カッパピア」の広場でうろついていると、突然後ろから肩を叩かれた。こっちで知り合った「入圏者」のオッサンだった。

「オマエの精霊、女だろ?せいぜい仲良くしなよ~」

冷やかす口調でオッサンが言う。ややムッとしたが、まあ正直、嬉しくないことはない。

手に取った2枚のチケットを手にニヤけてしまったのだが…俺は正直、女の子が苦手だ。ここへ来るまでの生き方を詳しく語るつもりは今はないが、女性との接点はそう多くない生活だった。

「シ、ノブさ、いっしょに観…」

「あの」

たどたどしく話しかけようとする俺の声を遮って、彼女が切り出してくれたという訳だ。


そんな訳で、シノブと一緒にタカサキの街へやって来た。…厳密に言えば、彼女は地面から浮いているのだが。カッパピアから歩いておよそ30分。グンマーの炎天下の中、この距離を歩くのはやはり、なかなか骨だ。喉も乾いたし、腹も減った。まずは、腹ごしらえといこう。

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