今はもう
駄作ですが
気が付けば遠くにいて、
気が付けば私の手の届かない所にいて、
小さい頃は、ずっと一緒にいたのに、
いつからか声も掛けれなくなった。
遠くから見ているだけで、
何もしなくなった。出来なくなった。
きっと向こうは気にしていないのに、
迷惑になるんじゃないかと思い込んで、
関わらないようになった。
ずっと近くにいたのに、ずっと遠かった。
私を見て、時折寂しそうな顔をするのを、
見なかった事にした。
これで良い、これで良い。
そう言って自分を抑えつけ、縛りつけた。
『あの人』が他の女の子と話すのを見て、
何度も泣きそうになった。
そんな自分が心底嫌になった。
気が付けば自分でも見失っていた。
中学を卒業したら、会えなくなるのは
分かっていた。
それでも、何も出来なかった。
それからもずっと、
頭の中に『あの人』の笑顔が
残っていた。
寂しそうな顔が
残っていた。
未練たらしく『あの人』の事を
覚えていた。
忘れられなかった。
『あの人』の顔を、声を、後ろ姿を、
忘れられなかった。
もう終わったのに、終われなかった。
今はもう、見えない。
今はもう、会えない。
今はもう、話せない。
でも、それでいいんだと
今はそう思う。