本当の……
Guten Rutsch ins Neue Jahr!(新年あけましておめでとうございます)
今年もどうぞサクラクイーンをよろしくお願いします
今回は短いです
抱き合っている二人を屋敷の使用人は少しうるうると見守りながら少しため息をついた。
二人の甘い空気を破ったのはローズの母、セシリアだった。
「あの、ローズとアグレット公爵様の前世では愛し合っていることは生前から知っていたのになぜ夫婦にならなかったのですか?それにそんな暮らしで心は救われたのですか?」
ローズの表情が暗く沈むのを横目で見ながらノワールはセシリアに向き直ると背筋を伸ばす。
「本当は好きだと知ったのは互いに別の方と結婚した時のお祝いの手紙で知りました。ルージュ姫様は結婚はしましたが、知っての通り後継者だったため降嫁ではなく婿養子をとることでした」
そう、ルージュ姫は後の女王様出会ったが可憐さは消えずただ優しくルージュ女王が治めた時代は戦もなく、そして息子の時代も平穏な国だった。その平穏な日々は今に続いていて、ルージュ姫の父王の時代は戦は絶えなかったにも関わらず一度も戦をせず統治たルージュ姫……女王様はこの国の歴史史上最高の人気を誇っている。
「歴史書にもそう記載されていますから存じております」
「凄い人ってのはよく分かるけど」
そんなふたりに当時治めていたルージュの記憶を持つローズは恥ずかしそうに俯いた。
「戦がなかったのはそれは臆病だっただけです…」
辛そうに声を出したルージュ。
(専任騎士だからありえないけど、戦をすればノワルが離れてしまうような気がしてやだったし、王族のみ勝手な考えで民を巻き込むわけにはいかなかったもの)
眉を顰め見つめたノワールは話を再開させた。
「その為専任騎士が絶対そばにいなければならなかった。ルージュ姫様は父王に信頼しできるものしか私の騎士としてそばに置くつもりはないとそう仰り私はその後もルージュ姫様のお傍にいることができた」
落ち着かせるために途中で紅茶を手に取ったローズは少しカタカタと震えていたが溢さずにソーサラーにカップを戻した。
「それは私の身勝手な我が儘。ノワル以外の男の人が傍にいるのが不快だったこともあるし、愛していたノワルと離れるのがとても嫌でしたから」
セシリアは二人の甘いようなでも、焼きすぎて苦くなってしまったスイーツのような昔話にため息をついた。
「ですから私は本当の愛のある結婚をしたい、偽りの結婚ではない家庭を築きたい」
ノワールは立ち上がり、セシリアとアベルの前に立つと片膝を床につけ頭を下げた。
「あなた方の大切なローズ様を僕にください!必ず護ります。この事は再度あなた方の父上にも話しますので」
ノワールの心のこもった誓いを聞いた二人は顔を見合わせ苦笑いを見せた。
「夫はこうなる事はわかっていますからアグレット公爵様だったら娘を渡せると仕事に行く前に言ってましたから後から私が経緯を話すだけですのでお気になさらないでください」
「キスされていた時点でアグレット公爵様の元にローズ姉ちゃんが行くのはわかってたから覚悟の上で僕や母は来ていますから。というかその言葉が来るのが長すぎて焦れったかった」
「こ、こら!アベル!」
アベルの言葉にセシリアは慌てて叱るがノワールはクスリと笑って止めた。
「いえ、構いません。アベル君の顔にまだかと書いてありましたから」
本当に書いてあるわけではないが腕で顔をこすったアベルはにへへと笑って見せた。
「結婚を認めてくださりありがとうございます。他の貴族からの厄介なことが起こる可能性もありますから……」
チラリとローズに視線を送り、ローズはニッコリと微笑みて返し胸に手を置いた。
「貴族達の暇つぶしの嫌がらせなんて他国の嫌がらせよしは可愛いものだから平気。だけど、ノワル…じゃなかったアグレット公爵様が前世で愛したルージュ以外結婚しないと公表してるから私も前世の記憶のことを公表する。それでも貴族の令嬢達からやっかみがありそうだけれど」
確かに今警戒すべきなのは貴族の令嬢達からの嫌がらせだろうがルージュだった頃の他国の嫌がらせよりかは優しいだろうと踏めるので安心してた微笑んだのだ。ノワール自身もそれをわかっていた。だからわざと視線を送ったのだが、ルージュであるローズは甘い彼でも一つ気に食わなかった点があった。
「すみませんがローズ様……いえ、ルージュ姫様、親族とここ公爵家の使用人の前では私のことを前のようにノワルとお呼びください。そして、ルージュ姫……ルージュ様と呼ぶこととこの口調をお呼びすることを許して欲しいのです」
真剣な眼差しに圧巻され、見とれしてしまうが我に返りぎこちなく頷くも、少し納得がいかない顔であったが、唇にキスされた。
キスで不安を打ち消されたが周りに人がいたのでギュッと目を瞑りノワールの胸に手を乗せた。