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序章
皆さんはデジャヴを経験したことがあるでしょうか。
初めて来たはずなのに見たことがある景色、聞いたことがある会話。
頭に靄がかかったようなあの何とも言い表せない違和感は、自分が世界から置いてきぼりにされてしまったようで、少し寂しいような不思議な気持ちがします。
デジャヴの最も辛い所は、なんといっても友人に話しにくいことでしょう。
「あ、この景色デジャヴだ!」などと言っても、その話を聞かされる側からすればまるで興味が湧かない話でしょうし、やはり自分の胸の内にだけ秘めておくのが最良の選択だと思います。
しかし誠に申し訳ないのですが、これから私が語るのはそのデジャヴの話なのです。
お忙しい方々の大事な時間を頂戴するような勇気は、私には毛頭ございません。
時間がお余りの方々。少々の時間を私に預けて頂けるなら、それ以上の幸福はないでしょう。
せめて皆さんが退屈しないよう精進致しますので、どうか私の愚痴と与太話に、わずかな時間ですがお付き合いくださいませ。