表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/13

現状

「……わからないな。お前は私を助けてまで何がしたかった?」

桜の木の下でローブの人物が地面に向けて話しかけていた。昔、まだこの世界の巫女が小さかった時に神器を返してやったあのローブの人物だ。実際には彼女は吸血鬼。名を、乱赤 紅蓮らんぜきこうれん。実際には彼女に名はないのだが、こんなものでいいか、と適当につけた名前である。神器を返してやった時より少し違ったイメージなのは、さっさと終わらせたかったため。実際には結構ひねくれた性格である。彼女が地面に話しかけていたのは、ここにかつての親友が眠っているから。巫女たちは、死ねば皆ここに埋められる。357代前となった彼女の死んだ理由は、自分の霊力を95%も使って、紅蓮を事故死出来ない身体にする呪いをかけたこと。紅蓮がナイフを手に死のうとしていた所に出てきて、呪いをかけて、親友だよね、と笑いかけて紅蓮に強制的にうんと言わせ、神器を押し付けて死んだ彼女。今でも紅蓮は彼女を大事に扱っている。ただ、人間とは脆いものだな、と思うときもある。彼女以外の人間なんて大嫌いだし、食料としか考えていない。だが、今日はここに長く留まる時間もないようだ。

「見つけたぞ!」

「……まるで追いかけっこだな。」

後を追ってくる人間に軽く爆弾を投擲とうてきした後、ひょいっと上に舞い上がる紅蓮。世界中どこにいても彼女は人間につけ狙われる存在。だったらどこにいてもいいじゃないか、ということでいろんな所にいったり好き勝手しているのだ。空高く舞い上がった紅蓮。そこであるものを目にした。真っ黒なドームのように折り重なったそれは、紅蓮ですら気持ち悪いと思う光景だった。闇の住人と呼ばれる黒い変幻自在の塊。紅蓮も闇の住人だが、この闇の住人とはまったく違う。それですら人間たちにはわからず、紅蓮を襲う。ローブを着てフードを深くかぶっている、というのもあるだろうが、(格好は昔と一切変わっていない。)実際怪しげだからだろう。あの中ならあいつらも追ってこないと考え、突っ込む。ついでに鎌を取り出して闇の住人をぶっ飛ばし始める。まるで野球でバットを降っているような状態だ。戦っている最中に気付いたのだが、中に何かいる。大方巫女でも閉じ込められたのだろう、など考えながら、面倒くさくなったか、小さくぼそっと呪文を唱える。ボゥッと周辺の闇の住人に火がつく。それからどんどん引火していき、あっという間に全滅した。

「まぁ、当然だな。」

くるっと背を向けて去ろうとした紅蓮に声がかかる。

「ちょっと待って!あなたって……」

「闇の住人だけどあいつらと一緒にすんなよ。つか人間バカじゃねえの?よく考えて行動を起こせってな。」

「え、ち、違うの!あなたあの時のローブの人でしょ?また会いたいと思ってて……」

「人間嫌いだから嫌だ。」

バッサリと切り捨てて翼を広げる紅蓮。そこでふと思い立ったように止まった。

「もしも会いたいなら、館まで来てみろ。そこまでの道のりで試してやる。お前に神器を渡した崖のある山だ。一人で、とは言わない。まぁ頑張るんだな。来るなら、だが。」

そう言って、今度こそ飛び立つ。頭の中で、来なくても今後のことのために使えるだろうと、いろんな罠を考え始める紅蓮だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ