表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/25

第三話 引っ越し

 その年の四月。

 引っ越しというのは、僕が初めて体験する一大イベントだった。母さんは数日前からせっせと荷物の梱包を開始し、なんとかその日までに、生活必需品以外の片づけを終えていた。

 引っ越し当日。

 聞き慣れない大型車の音で僕は目が覚めた。窓から下を覗くと、白いトラックが見えた。運転しているのは父さんだ。どこかから四トントラックを借りてきたのだ。まさかとは思ったが、引っ越し業者に頼ることなく、全部自分でやるつもりらしい。

「まじ?」

「まじ」僕が恐る恐る聞くと、父さんが一言、そう答えた。

 非力とはいえ、僕も弟も、戦力としてカウントされていた。箪笥などの積み込みは、父、母、そして子供二人だけではとても無理だと思われたが、ノウハウさえあればなんとかなるもので、父さんはなぜかそのノウハウというやつを身に着けていた。

 こうして、三時間ほどで、大方の荷物の積み込みは終了したが、ベッドと冷蔵庫、大型の箪笥などが部屋に残された。さすがに四トントラックには、積み込めなかったらしい。

「このベッドどうするの?」

愛着のある二段ベッドが子供部屋にポツンと残されている姿は、なんとなく寂しいものだった。

「残念だけど、これは持っていくことができないんだ。ま、来年また戻ってくるわけだし、それまではベッドなしでがまんだな。」

父さんの言葉に多少の不満はあったものの、僕はそれ以上文句を言わなかった。

 やがて、全ての作業が終了すると、父さんはトラックに乗り込み、僕と弟は、母さんの運転する乗用車に乗って、出発した。振り向くと、これまでの我が家が、いつもより小さく、寂しそうに見えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ