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第二十三話 冬

 秋が終わり、信州の寒い寒い冬がやってきた。

 遺跡の発掘作業は大詰めを向かえていた。どこまで広がっているか検討もつかないこの広大な遺跡は、全てを一度に調査することは、ほぼ不可能と判断され、無理矢理収束に向かって舵を切られた。

 多くの著名人から、この遺跡の保存が熱望されていたようだが、あまりにも広大なために、全てを保存することは難しいと判断され、来年からは、再び、小学校の建設が始まることが決定した。

 ただし、ストーンサークルをはじめ、特に重要な部分は、小学校の中庭や、校庭の一部として、残されることが決まったようだ。それに関しては、国からの補助金なども期待できるようだった。


「春になる頃、東京に戻ろうと思うんだ」

夕食を食べながら、父さんが言った。父さんは曖昧な表現をしているが、このことは、最初から決まっていたことだった。

 僕は驚かなかった。

 しかし、脳裏には、マモルとサユリの顔が浮かんでいた。

「タケル。大丈夫か」父さんが言った。

父さんは、僕が、友人との別れをどう乗り越えてゆくかを心配しているのだ。僕にはそれがよくわかった。

「大丈夫って? 何が?」

僕の返事は、僕が思っているよりも遥かにぶっきらぼうなものになっていたようだ。父さんが、僕のことを気遣ってくれていることはわかっているし、とても感謝している。でも、僕は自分の弱いところを見せたく無かった。例え、それが父さんだったとしても。いや。それが父さんだからこそ、僕は平気なふりをしていたかった。

「うん。大丈夫ならいいんだ」

こうして、この時は、何事もなく話が終わった。


 本当は引っ越しなんかしたくないんだ。僕は、みんなと別れたくないんだ。油断すると、そんな言葉が口からほとばしってしまいそうだった。そして、一方で、そんな子供っぽい態度をとりたくないという自分がいた。そんな自分の中の矛盾をどう捉えて良いのかわからずに、僕は少しだけ無口になっていった。


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