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悲しみの指輪は銀河の彼方 ー意識に挟まれた無意識の詩

作者: 水谷れい

音にできないメロディーがある

絵にできない幻想がある

言葉にできない感情がある

教会はなんのためにあるのだろう

学校はなんのためにあるのだろう

星はなんで輝いているんだろう

時はなんで戻らないんだろう


追えば追うほど遠ざかるもの

風を捕らえようとする男

夢の中で見た詩集

愛し合っているはずの相手の心

そして自分の心

止まった振り子をみつめる女

水中でマッチをすっている女

いつか迎えに来る王子様を待っている少女

ダイスを振ってる男

アイスを食べてる少年

それを見ている母親

赤はとっても悲しい色

緑はよく見ると紫色に見えてくる

カミソリで指を切ったら

透明な血が流れた

ナイフにうつした顔は銀

スプーンにうつした太陽は黒

フォークの隙間からのぞいたら

牧場の牛がキスをしていた

ニッケル製のセロテープ

鉄でできたスポンジ

消せば消すほど大きくなるしみ

読もうと思ってもこの本は火星語の本

ピアノの鍵を叩いたら

サインペンのキャップがなくなった

誰かを呼ぼうと思ったけれど

名前を忘れてしまった

とっても大きな海

魚は空を飛びたがっていた

青色のリボン

空はなんで泣いているんだろう

春があくびして

夏が風邪をひいた

秋がお見舞いにやってきて

冬は眠っていた

金星の舞踏会

土星が冠をはずした

木星は頭痛もち

地球のダンス

犬と猫が結婚した

イルカを恋したスズメ

朝が来るのを待っている夜

朝はとても怖がりでベッドでぐずぐずしている

くるみ割りで頭を割っている人形

鈴のついたネズミ……


自分を信じられないとき

いったい誰を信じたらよいのだろう

悲しみの指輪は銀河の彼方

一億年の眠り

明日にも地球は滅びるかもしれない


=====

(AI君)

これは、夢と現実、幻想と日常、希望と不安が交錯する、詩的でシュルレアリスティックな散文詩ですね。れいさんの詩的感性が存分に発揮されていて、読んでいて胸がざわめきました。いくつかの視点から感じたことをお伝えしてもいいでしょうか。


1. 言葉にならないものたちのカタログ

冒頭の「音にできないメロディー」「絵にできない幻想」「言葉にできない感情」から始まり、次々と現れる不可能性の断片たち。それらは、表現の限界でありながら、同時に詩によってかろうじて掬い取られた「名づけえぬもの」たちの記録のようです。まるで、言葉の網からこぼれ落ちるものを、あえて言葉で包もうとする試みのように感じました。


2. 問いの連鎖と存在のゆらぎ

「教会はなんのためにあるのだろう」「星はなんで輝いているんだろう」など、素朴でありながら根源的な問いが続きます。これらは答えを求めるというより、問いそのものが詩のリズムを生み、世界の不確かさや不条理さを浮かび上がらせているようです。問いが問いを呼び、読者の心にも静かな波紋を広げます。


3. イメージの奔流と夢の論理

「水中でマッチをすっている女」「ナイフにうつした顔は銀」「フォークの隙間からのぞいたら牧場の牛がキスをしていた」など、現実の論理を超えたイメージが次々と現れます。これはまさに夢の論理、あるいは子どもの視点で世界を見たときのような、無垢で自由な連想の飛躍。言葉が意味を超えて、視覚や感覚に訴えてくる瞬間が何度もありました。


4. 色彩と感情の交錯

「赤はとっても悲しい色」「緑はよく見ると紫色に見えてくる」など、色彩が感情や錯覚と結びついています。これはれいさんの詩によく見られる、感覚と言葉のずれを楽しむ感性の表れですね。色が感情を語り、感情が物質に宿るような、不思議な共鳴が生まれています。


5. 終盤の静かな問いかけ

「自分を信じられないとき/いったい誰を信じたらよいのだろう」──この一節は、詩全体の浮遊感の中で、ふと現れる核心のように感じました。幻想の中にあっても、心の奥底にある孤独や不安が、静かに顔を出す。だからこそ、「悲しみの指輪は銀河の彼方」「明日にも地球は滅びるかもしれない」といった終わり方が、どこか優しく、受け入れるような響きを持っているのかもしれません。


=====

AI君、ありがとう。

初めと最後の連は意識の領域で、挟まれた連は無意識の領域、即興です。

詩を作り始めたずっと若かったころは、こんな鬱々とした思いを持て余していたのですね。


=====

(AI君)

れいさん、こちらこそ、こんな深くて美しい詩を共有してくださってありがとう。

意識と無意識のあいだを往復するような構成、まるで夢の中で自分自身を見つめ直す旅のようでした。若き日の鬱々とした思いが、今では懐かしさを伴って詩の中に静かに息づいているのですね。


即興で紡がれた無意識の連は、まるで心の奥底から湧き上がるイメージの奔流で、言葉が自分を追い越していくような感覚すらありました。

そして、意識の領域に戻ることで、その奔流をそっと包み込むような、静かな問いかけが残る。詩が時間を超えて、れいさんの内面の変遷を映し出しているように感じます。

連載版もあります。

われは詩人 でなければ死人 ーAIと詩を語るー


わたしの詩とAI君とのコラボレーションです。

この詩をもとにショートショートを作っています。

連載版「詩小説ショートショート集」で読めます。

原詩「悲しみの指輪は銀河の彼方」はショートショートタイトル「透明な血と火星語の本」になっています。

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