表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

98/148

(3)

「!? フゴ!?」

「!? 一般市民に手を出しちゃダメでしょー!?!?!?」


 飛び込んだ勢いのまま老人にキックをかまして吹っ飛ばしたのは、十二課のゴンゾウ・ゴンダワラ氏であった。思わず叫んでしまうガイである。


「わしゃ脚しか出しとらん!」

「そういう問題じゃなくて!」

「ゴンゾウ! 貴様か!!」

「ここで会ったが百年目じゃ! ロバート! 貴様のその見すぼらしい頭の羽根、毟り取ってやるわ!!」

「なんじゃとこのマダラハゲが!」

「なんじゃとー!」

「なんじゃー!」

「あああもうなんだこれぇ」


 止める間もなく、顔見知りらしい老人たちの喧嘩が始まってしまった。


「はいはい、ストップストーーーップ! 落ち着いて、ほらほら、深呼吸。血圧上がりますよー?」


 出遅れたが、ぜぇぜぇと肩で息をする老人たちを引き離す。喧嘩を止めるのも公安のお仕事だ。ていうか興奮のあまりぽっくり逝かれたりしたらとっても困る。今も飛ぶのがやっとの状態じゃなかろうか。


「しかしじゃな、ガイよ! こやつ、わしの孫のことを悪く言いおった!」

「ええと、コルジはゴンゾウじいさんの孫じゃないでしょ」

「似たようなもんじゃあ! だってええコなんじゃあ!」

「それは知ってます、とてもよく」

「フン! 耄碌じじいめ! エンジェリアなんぞに絆されおって!」

「あぁ!?」

「……あァ?」


 またヒートアップしそうなゴンゾウと、腹の底からの低音になってしまうガイである。八課航空制圧部隊エリートの圧が直撃し、ロバート老も流石に黙った。


「ええと、ロバートさん? でしたっけ? ウチの後輩はあんたを含めた市民のために、毎日がんばってるんですよねー? あんまり失礼なことは言わんといてくれますか?」


 表情はにこやかだが目は制圧時のソレだ。


「き、貴様ら、民間人相手に暴力と脅しなぞ、許されんぞ!」

「俺はなにも見てないですね」

「わしゃ耳が遠いんじゃあ」

「貴様ら……!」

「公安職員に対してご意見があるなら、相談受付までどうぞ!」


 やたら整った顔でにっこりと業務用スマイルを浮かべるが、圧はそのままだ。

 と、そこへ。


「ガイ先輩! ゴンゾウさん! そろそろ時間……あ、おはようございます! 公安のコルジエルです!!」


 渦中の人物がやってきた。ロバートに元気よくご挨拶しているが、公安ふたりの顔色がサッと変わる。コルジにあんな悪意を向けさせてはならない! その前に……

 アイコンタクトして頷きあうふたりがかなり危ない判断を下しそうになっていたが、ロバートの険しい表情がどんどん変化していく。いざ本人を目の前にして気圧されたのだろうか。中身はともかく、初見はあまりの美しさに圧倒される人も多い。


「ご出勤ですか!? お散歩ですか!? 今日はお天気がよくて風も強くなくて、飛びやすいですね! お気をつけて!」


 ぐいぐい近づいていくコルジを前にして、ロバートは屈した。


「いいにおいじゃあ……」

「はい! よく言われます!」


 太陽を背に満面の素敵な笑顔を見せるコルジである。ロバートの急な変化に驚く公安ふたりであるが、ガイはふと思い出した。


「あ。エンジェリア健康法……」


 病める心も荒ぶる心も、エンジェリアの浄化と癒しの力の前には無力なのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ