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本日二話目の更新です。

「待て」ができないStyle

 今までも、コルジ(と、お守りのサンリ)は零室以外の他の部署の手伝いに行ったことはある。なにも甘やかされてただ見守られているわけではないのだ。いや確かにちょっとみんなコルジには甘いけれど、それだけではないのだ。

 大人数相手の制圧に人手が必要なときなどにも、駆り出される。そのため、保護種といえども荒事の経験はあるし、実は適性も高い(とはいえ、狭い室内だと有翼人種は翼がつっかえることがあるため、そういう場所では小回りの利くサンリのような猛獣系の獣人が担当することが多い)。

 素直でよく指示に従う(※結果は不問とする)し、種族の特性かコルジの個性かは不明だが、剣や槍といった長物の扱いになぜかやたら優れているので、代わりに棒や刺股を持たせれば、制圧においてかなり優秀な人材なのである。息をするように超常現象を起こしさえしなければ。それさえ……それさえなければ……。

 

 だが今回のように、制圧ではなく本格的な捜査、主に頭と足を使う捜査を、しかも十二班単独で行うのは初めての経験だ。

 それも、上層部の若干の悪意を含んだもの。

 コルジを知る捜査員たちには不安しかない。


 だがコルジ本人にはわくわくしかない。


 やる気が漲っている。やる気に併せて、ただでさえコルジがいると周囲の空気が清浄になるのに、コルジの足跡に幻想的な光の花や謎のきらきら光る蔦や草などが生えてたりしている(※余談だが、そういう植物(仮)たちは実体があるわけではなさそうなので、証拠を毀損したりはしない。安心! ただ、空気清浄機能のせいで、証拠になりうる残留ガスなどが消えてしまうおそれがある。注意!)。


「やっと初めての単独捜査ですね! 班長!」


 翼がばっさばっさと忙しない。


「そうだね。嬉しいかい? ……聞くまでもないか」

「はい!!」


 それはもう素晴らしい笑顔だ。誰かの思惑など関係なく、こんなに無邪気に喜んでいる。

 クラウデンは腹をくくった。


「よし、じゃあ始めよう! 今日は全員で行く。僕が捜査のあれこれを指導する」

「お願いします!」

「私も、色々教えてあげるからねぇ」

「お願いします!」

「お願いします!!」

「サンリくんが急にやる気になって怖いなぁ」

「えへへ」


 お年頃の男の子なので、サンリはデルタに色々教えてもらえるのはちょっとなにか嬉しいのである。


 それはまあそれとして、サンリもやはり嬉しいのだ。

 ずば抜けた制圧能力を買われて、単独で手伝いに行くこともあったが、捜査は任せてもらえていなかった。上司や先輩であれ、自分が認めていない相手からの指示にあまり従わないところが大きくマイナスなのだろう。これは性格というより本能に近いものなのでちょっと抑えがたい。逆に尊敬する相手にはむしろ従順なのだが……。


 そういうわけで、研修時代から尊敬するクラウデンとデルタのいる十二班に配属されたのは当然っちゃ当然である。エンジェリア保護のために、代わりに荒事に向かわせやすい、腕の立つ捜査員も入れておきたかった上からすれば、降ってわいた恵みの人材(読み:人身御供)である。


 ちなみに、研修時代からコルジのことはアホと思っている。すごいとは思っている。超常現象製造機として。ある意味すごいとは。


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